今回、代表に選出された野手陣はこちら。昨年のシーズン打率順に並べると以下のようになる。
坂本勇人(巨人):打率.344/23本塁打/75打点
鈴木誠也(広島):打率.335/29本塁打/95打点
筒香嘉智(DeNA):打率.322/44本塁打/110打点
菊池涼介(広島):打率.315/13本塁打/56打点
山田哲人(ヤクルト):打率.304/38本塁打/102打点
内川聖一(ソフトバンク):打率.304/18本塁打/106打点
秋山翔吾(西武):打率.291/11本塁打/62打点
青木宣親(マリナーズ):打率.283/4本塁打/28打点
嶋基宏(楽天):打率.271/2本塁打/17打点
田中広輔(広島):打率.265/13本塁打/39打点
松田宣浩(ソフトバンク):打率259/27本塁打/85打点
中田翔(日本ハム):打率.250/25本塁打/110打点
平田良介(中日):打率.248/14本塁打/73打点
大野奨太(日本ハム):打率.245/5本塁打/35打点
小林誠司(巨人):打率.204/4本塁打/35打点
(※嶋と大野は規定打席未満。青木はマリナーズでの成績)
ざっくりとキャラづけして分けるなら、「チャンスメーカー」と「ポイントゲッター」、そして「両方を兼ね備えた選手」に3分できる。
今回の選出メンバーをこれに当てはめれば、チャンスメーカーは、秋山翔吾(西武)、青木宣親(マリナーズ)、菊池涼介(広島)、田中広輔(広島)。ポイントゲッターが筒香嘉智(DeNA)、中田翔(日本ハム)、内川聖一(ソフトバンク)。そして、両方を兼ね備えているのが坂本勇人(巨人)、山田哲人(ヤクルト)、鈴木誠也(広島)、松田宣浩(ソフトバンク)、平田良介(中日) といったところか。
チャンスメーカーのなかで、カギとなるのは青木だろう。メジャーリーグに在籍して今年でもう6年目。しかも、第1回、第2回のWBC優勝メンバーでもある。
試合での戦力としてももちろんだが、国際大会に向けての心構え、アメリカの球場(準決勝以降)での注意点、外国人選手の情報など、随所で青木のアドバイスが生きる場面があるはず。この1月に35歳となり、今回の侍ジャパンでは最年長。よき兄貴分としてグラウンド内外で存在感を発揮して欲しい。
ポイントゲッターでは、なんといっても筒香だ。小久保監督は4番について「中田か筒香」と明言を避けたが、昨秋に行われたオランダとメキシコとの強化試合4戦では、4番に入った中田は11打数2安打3打点。5番だった筒香は13打数4安打5打点。筒香は全4試合で安打と打点を記録した。
中田も、筒香が4番に座ることにより、5番や6番で肩の力が抜いて打席に立てば、打棒が爆発する可能性は十分ある。「4番・筒香」の相乗効果が出れば願ったり叶ったりだ。
そして兼備タイプでは、山田や坂本の活躍は不可欠だが、松田の大暴れにも期待したい。侍ジャパンでも、声出し番長はこの男。試合が厳しい展開になればなるほど、ベンチ全体が重苦しくなっていく。松田の元気が必要な場面がきっとあるだろう。そのために、松田自身も、結果を出して波に乗っていくことが必要だ。
捕手の3人は、打撃は二の次とまでは言えないが、まずは投手との連係も含めてディフェンス面でのブラッシュアップが先決。ここで手応えが感じられれば、打撃面にもいい効果が出てくるに違いない。
最後にもうひとり、打のキーパーソンを挙げておきたい。稲葉篤紀打撃コーチだ。
WBCの首脳陣に、選手としてもWBC出場経験がある人物が入るのは、今回の稲葉コーチが初めて。しかも、中田や大野奨太は日本ハム時代、そして青木とも1年だけだが、ヤクルト時代のチームメイト。ほとんどのメンバーとも、現役時代に対戦経験がある。選手の心技体のケアにおいて、稲葉コーチの存在も大きいのではないか。
上記を踏まえて、先発オーダーをこう予想してみた。
1(二)山田宣親(ヤクルト)
2(中)青木宣親(マリナーズ)
3(遊)坂本勇人(巨人)
4(DH)筒香嘉智(DeNA)
5(右)鈴木誠也(広島)
6(一)中田翔(日本ハム)
7(三)松田宣浩(ソフトバンク)
8(左)秋山翔吾(西武)
9(捕)大野奨太(日本ハム)
本稿をご覧の方々も、自分なりのオーダーを組んで、ぜひとも3月7日に1次ラウンド初戦を迎える侍ジャパンとの比較を楽しんでみてはいかがだろうか。
文=藤山剣(ふじやま・けん)