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キューバ選手がやって来た! ヤァヤァヤァ

 今季のプロ野球を語る上で外せないのが、キューバ出身選手の存在だ。昨年9月末に、これまで自国選手の海外移籍を認めなかったキューバ政府が、野球を含むスポーツ選手の国外プロ活動を認めると発表。新たな外貨獲得の手段として、代表クラスを世界へ派遣する方針を打ち出した。この影響で今季はNPBにも、キューバ人選手が続々やって来たのだ。

 このコーナー第4回目は、キューバから他国へ移住または亡命した選手も含めて、今季大アタリした選手からハズレ選手までキューバ出身選手を総ざらい。さっそく紹介していこう。
(年俸は推定。成績は9月21日現在のもの)


■大アタリ選手

ユリエスキ・グリエル(DeNA)

内野手/右投右打/30歳(1年目)/1億円


▲2013年WBCでのグリエル

 「キューバの至宝」はいったい何人いるのか? その答えを出してくれたのがグリエルだ。シーズン途中に来日してから「至宝はこの男1人で十分」といえるプレーを随所に披露。チームメイトも惚れるそのプレースタイルはとにかく格好良く、ベンチでバナナを食べる姿すらカッコイイ。チームの円陣そっちのけでマスコットと戯れるなど、お茶目な面も見せるグリエルは、緊張感ある大事な試合でこそ、その実力を発揮する選手かもしれない。

 キューバの選手たちは基本的に単年契約で、今季と同じチームに所属するとは限らないが、是非ともフルシーズン通して活躍を見たい選手である。

アルフレド・デスパイネ(ロッテ)

外野手/右投右打/28歳(1年目)/7000万円


▲2013年WBCでのデスパイネ

 本塁打も2ケタにのせ、6割近い長打率を誇っているデスパイネも、本物感を漂わせる活躍を見せている。

 あるときは右脇腹痛で全治2週間以上と診断されるも、なぜか最短10日で完治させて、1軍復帰すぐに本塁打を放ち、あるときは500ミリリットルの缶ビールを何本も飲んで、翌日の試合で走塁中に気分が悪くなったという「リアルあぶさん」ぶりを発揮するなど、我々ファンに十分過ぎるインパクトを残してくれた。その活躍から、NPBに慣れればもっと打つことは明白だ。是非とも来季もNPBでプレーしてほしい。

■アタリ選手

レスリー・アンダーソン(巨人)

外野手/左投左打/32歳(1年目)/6000万円



 優勝目前の巨人の、前半戦の立役者といえばこの選手だろう。来日時はそれほど目立たなかったが、不振の阿部慎之助の代わりとばかりに安打を連発。1年目ながら日本の投手にも対応して、適応能力の高さを見せてくれた。

 今季は2度のケガで戦線離脱。練習も試合も一生懸命やりすぎて、パンクしやすいと評されるアンダーソンが、メリハリを作ってシーズンを通して活躍すれば、首位打者争いも演じることができるだろう。ポストシーズンでの活躍にも注目したい。

ホアン・ミランダ(日本ハム)

内野手/左投左打/31歳(1年目)/5000万円

 アタリ選手にするか、評価に迷う部分もあったミランダ。中田翔、陽岱鋼に次ぐ14本塁打を放つなど、1年目にしては及第点を与えられる成績を残しているのではないだろうか。

 ただし100を超える三振数や、低打率は改善の余地アリ。日本ハムが来季の契約を継続するか注目したい。

■ハズレ選手

フレデリク・セペダ(巨人)

外野手/右投両打/34歳(1年目)/1億5000万円


▲2013年WBCでのセペダ

 2013WBCでキューバ代表の4番を務め、実績も抜群と期待も大きかったが、これといった成績を残せなかったセペダ。キューバからの正規ルートでNPB入りした1人目の選手で、誰よりも注目度が高く、また、巨人の選手層の厚さ、指名打者がないセ・リーグと、マイナス条件が重なってしまったのも痛かった。

 しかしながら、5月17日の広島戦で前田健太から放った来日1号はまさにワールドクラスの1発であり、巨人以外のチームであれば中軸を打てる能力を持っているはず。日本で来季もプレーするなら、その評価が一変するかもしれない。

バーバロ・カニザレス(ソフトバンク)

内野手/右投右打/35歳(1年目)/4500万円

 名前だけインパクトを残して、結局、謎のまま終わったキューバ人助っ人。長距離砲として期待されたカニザレスは、2軍では70試合に出場して打率.302、8本塁打、33打点と、及第点は残している。

 しかし、2軍で活躍してよかった、と考えられる年齢の選手ではなく、打席数の違いはあるが、17本塁打を放っている猪本健太郎や14本塁打の塚田正義ら、若手選手より本塁打が少ないのはいただけない。また、あの松中信彦も、結果が出なければ、2軍に落ちるような選手層が厚いチームでは、相当インパクトを残した成績を挙げなければ、なかなか1軍からお呼びがかからないだろう。21日に1軍昇格を果たしたのは、来季も残留するかどうかのテストでもあるのかもしれない。

■大ハズレ選手

ユニエスキー・ベタンコート(オリックス)

内野手/右投右打/32歳(1年目)/1億円

 開幕直前にNPB入りした、この選手を覚えているだろうか。昨季までメジャー9年間で1156試合に出場し打率.261、1057安打80本塁打457打点を記録。年間150試合以上に出場したシーズンは5度を誇り、2013年も137試合に出場した現役バリバリのメジャーリーガーとして注目されたベタンコート。

 ところが、開幕から不振で全く打てず、自慢の守備もNPBの細かいプレーに対応できないまま。18試合に出場して打率.141、本塁打0打点4と散々な成績を残してアメリカに帰国してしまった。ちなみに、帰国の理由は両足の外反母趾治療のためと、ハイヒールを履く女性がかかりやすい病状だったことも記しておこう。

ミチェル・アブレイユ(日本ハム)

内野手/右投右打/35歳(2年目)/5000万円

 昨季のパ・リーグ本塁打王は、腰痛に苦しんだ。開幕直後に検査を受けるため、アメリカに帰国。軽度の腰椎ヘルニアと診断され、リハビリ治療。7月終わりに1軍復帰を果たすも、腰痛は改善せず6試合の出場に止まった。

 結局、ペナントレース正念場の9月に出場できないことから、契約も打ち切り。バナナをおかずに、白いご飯を食べるのが大好きだったアブレイユ。来日1年目からタイトルを獲れたのは、マジメで投手や配球の研究を欠かさなかった成果だという。1日も早く、腰痛が良くなることを祈りたい。


 他にも、巨人はキューバ国内リーグ「ラ・イスラ」でプレーしていた20歳のエクトル・メンドーサと7月に契約。190センチの長身から投げ下ろす速球が武器の若き左腕だ。さらに巨人にはキューバ人コーチも1名入団。キューバとのパイプ作りに余念がない。

 次週はクライマックスシリーズやその先の日本シリーズなど、ポストシーズンで活躍を期待したい助っ人たちを紹介する予定だ。


■ライター・プロフィール
鈴木雷人(すずき・らいと)/会社勤めの傍ら、大好きな野球を中心とした雑食系物書きとして活動中。自他共に認める「太鼓持ちライター」であり、千葉ロッテファンでもある。Twitterは@suzukiwrite

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