小久保監督がもっとも頭を悩ませるのが内野の布陣だろう。「WBC使用球は滑る」というのが定説にもなっており、ボールに触れる機会が多い内野手は、より安定したグラブさばきと安定したスローイングが求められる。
指揮官のメンバー決定時の記者会見、さらには2月14日までに終えた12球団のキャンプ視察後の発言などをまとめると、各ポジションに入る可能性がある選手はこのあたりか。
■一塁
中田翔(日本ハム)
内川聖一(ソフトバンク)
■二塁
山田哲人(ヤクルト)
菊池涼介(広島)
■遊撃
坂本勇人(巨人)
田中広輔(広島)
菊池涼介(広島)
■三塁
松田宣浩(ソフトバンク)
菊池涼介(広島)
田中広輔(広島)
打撃との兼ね合いもあるので、簡単には決められないところだが、上記のなかで、各ポジションの最上段に置いた選手が、まずはスタメンに名を連ねる可能性が高そうだ。
ただ、人工芝の東京ドームで行われる1次、2次ラウンドを突破した場合、準決勝、決勝の舞台は天然芝のアメリカ・ドジャースタジアム。そうなると、同じ天然芝のマツダスタジアムが本拠地の広島勢、とくに菊池涼介の起用がポイントになってきそうだ。
二塁・菊池、遊撃・坂本勇人(巨人)の二遊間で、打力を生かしたい山田哲人(ヤクルト)をDHに回すというオプションも発動されるだろう。
一方、外野は、内野に比べると守備の負担は少ないだけに、本職ではない位置に入れることも予想される。ポジションごとに振りわけると、以下のように予想される。
■左翼
筒香嘉智(DeNA)
秋山翔吾(西武)
内川聖一(ソフトバンク)
■中堅
青木宣親(アストロズ)
秋山翔吾(西武)
■右翼
鈴木誠也(広島)
青木宣親(アストロズ)
平田良介(中日)
秋山翔吾(西武)
昨シーズン、主に中堅を守ったのは秋山祥吾(西武)のみ。秋山が中堅に入るのが定石とも思われるが、小久保監督は、中堅は青木宣親(アストロズ)で考えている様子。メジャーでは右翼中心の青木だが、ヤクルト時代は不動の中堅でゴールデン・グラブ賞の常連だった。中堅でも問題はないだろう。
そうなると、右翼は鈴木誠也(広島)か。プレミア12で見せた平田良介(中日)の勝負強い打撃も捨てがたい。
左翼は、筒香嘉智(DeNA)が本命だが、DHでの起用となれば、小久保監督が外野3ポジションでの起用を示唆している秋山が入ることになる。内川聖一(ソフトバンク)も、昨シーズンは一塁中心だったが、2015年は左翼で114試合に出場。非常事態になれば出番があるかもしれない。
捕手は、大野奨太(日本ハム)、嶋基宏(楽天)、小林誠司(巨人)の3名。昨秋の強化試合では、小林が2試合、嶋と大野が1試合にそれぞれスタメン出場。トータルの経験では嶋がリードしているが、キャンプで足の張りを訴えており、本調子で臨めるかどうか。
昨秋のオランダとの強化試合でのサヨナラ打を放ち、キャンプでは小久保監督視察時の紅白戦で2安打を放ったことで、大野の印象がアップしている感はある。いずれにしても、強化合宿や壮行試合での調子、投手との相性を考慮しての起用となるだろう。
文=藤山剣(ふじやま・けん)