【侍ジャパン】ネームバリューはなくとも、野球大国アメリカを侮ることなかれ
選手のレベルは落ちるが、意欲は高く、油断禁物
今回のメンバーは、夏に行われたパンアメリカン大会の出場者が中心だ。3Aが17人、2Aが7人、シングルAが1人。先の見えた3Aのベテランにプロスペクト(若手有望選手)という構成になっている。
メジャー経験者は6人。現在は3Aでプレーする彼らが今大会の核になることは間違いない。ホワイトソックスの3Aとシーズン途中に移籍した韓国の新球団・KTでともに3割をマークし、計18本塁打を放ったダン・ブラックが4番を務めることになるだろう。
先発の軸は、メジャー26勝のアーロン・ラフィー(ロッキーズ3A)か。今年、メキシカンリーグと3Aで計13勝4敗の好成績を挙げたジャレット・グルーブ(インディアンス3A)も先発陣に入るだろう。変化球を低めに集める投球術は、アジア向けで、新たな契約先を探そうと、本人も気合十分のはずだ。
戦力的には正直、恐れるに足りない。このような陣容になったことが、この大会の立ち位置、というよりMLBにとってプレミア12という大会は「見本市以下」であることを示している。
マイナーリーガーの参加に関しては、各球団の承諾が必要らしいが、球団にしてみれば、この時期の選手育成は、自軍のスカウトや指導者がいる中南米カリブあるいはオーストラリアのウインターリーグで行いたいのが本音だろう。
しかし、何事にも負けるのは大嫌い、というお国柄。観光旅行気分でやってくるメジャーリーガーのオールスターツアーより、あわよくばアジアのプロリーグに移籍しよう!というベテラン陣が顔をそろえる、このチームの方が本気度ははるかに高く、油断すると侍ジャパンが足をすくわれるかもしれない。
*明日は侍ジャパンと対戦するベネズエラを紹介
文=阿佐智(あさ・さとし)
1970年生まれ。世界放浪と野球観戦を生業とするライター。「週刊ベースボール」、「読む野球」、「スポーツナビ」などに寄稿。野球記事以外の仕事も希望しているが、なぜかお声がかからない。一発当てようと、現在出版のあてのない新刊を執筆中。ブログ「阿佐智のアサスポ・ワールドベースボール」(http://www.plus-blog.sportsnavi.com/gr009041)
記事タグ
この記事が気に入ったら
お願いします