「最下位争い」など、本来自分からは言いたくない言葉。それを事も無げに言葉に出してしまうのがつば九郎だ。6月14日、交流戦開けに福島県で行われるヤクルト対巨人(28日@県営あづま球場)のPRとして福島県庁を訪れ、「まさかの5い6いのちーむです」とチームの現状を釈明(?)した。
その前日13日には、神宮球場で始球式の大役を務めた女優・剛力彩芽に「おとなになった。けっこんしてもいいかな」とプロポーズ。剛力彩芽といえばジョアのCMキャラクターとしておなじみ。お似合いといえばお似合いのカップルか。
11日、ZOZOマリンスタジアムで行われた千葉ロッテマリーンズとの交流戦では、MLB公式サイトに加えて、まさかの英国BBCでも取り上げられたマリーンズ話題の新キャラ「謎の魚」と初共演。不気味すぎるビジュアルと設定に各方面で戸惑いの声があがるなか、率先してこの「謎の魚」の口に手を突っ込んでみせたつば九郎先輩の度胸は「さすが」のひと言だ。
以前にも、ソフトバンクで謎のマスコット「ふうさん」が登場した際、真っ先にいじり倒した(というよりも脳天パイルドライバーをお見舞いしてみせた)のがつば九郎。先輩マスコットとしての威厳を示した格好だ。
交流戦であろうと神宮球場でなかろうと、平常運転を繰り返すつば九郎。そんな傍若無人な振る舞いをもっともっと堪能したい、というつば九郎ファンにオススメなのが、先月発売されたコミックス『天に向かってつば九郎』だ。
『月刊少年シリウス』(講談社)のWebマンガ「水曜日のシリウス」で連載されてきた同作がついに単行本化。発売に際してはオフィシャルグッズショップ「つば九郎店」で、つば九郎自らによるお渡し会も開かれた。
この『天に向かってつば九郎』、球団が監修しているだけあって、つば九郎の“畜生ぶり”も本物。「だい1わ」から大好物の“るーびー”をあおり、焼き鳥を食べる共食いスタイルを披露。ほかにも、試合中に競馬中継に夢中になったり、女性にだけ(しかも美人だけ)写真撮影に応じたり、年俸査定のためにストレスを抱えながら善行を重ねたりと、ありのままのつば九郎の姿が描かれている。
競馬中継、といえば、5月28日に行われた日本ダービーの予想を的中させ、「ぷらすしゅうし」とご満悦だったのも、交流戦中の出来事。漫画を見て普段のつば九郎の姿を思い出すもよし。つば九郎を知らないファンにしてみても、「こんな無茶苦茶な……」と衝撃を受けるのも一興だ。
ヤクルト(飲み物の方)の乳酸菌の数がわかったり、ジョアの栄養素がわかったり、「やくるとのにゅうさんきんはいきてちょうまでとどく!!」ことを教えてくれたりと、球団公式マスコットとしての(意外と)真面目な仕事ぶりも、稀にではあるが描かれている点も注目ポイント。筆者自身、つば九郎が毎年、新宿シティハーフマラソンの手伝いをしていることをこの漫画で知ったほど。沖縄にいるマスコットの大先輩・ヤー坊&スーちゃんがぶっ飛んだ設定で登場するなど、コアなスワローズファンでも充分楽しめるはずだ。
連載中のWeb版は毎週水曜日に更新。最新話では梅雨らしく、神宮らしく、傘とつば九郎がテーマで描かれている。こちらもぜひオススメしたい。
文=オグマナオト