現在、野球界ではプロ、アマを問わず、記録的な猛暑に負けじと各地で日々熱戦が繰り広げられている。
8月に入るとプロ球界では優勝争いとCS進出争い、アマ球界は甲子園に焦点が当たっていくが、ここに至るまでの経過を思い出しておくと、さらに後半戦が楽しくなってくるはず。
そこで、筆者が独断で選んだプロ・アマそれぞれの「前半戦のできごとベスト10」を2週にわたってお届け。まずはプロ野球編だ!
今季から中日に移籍した松坂大輔が、オールスターゲームのファン投票で魅せた。先発投手部門で2位に約15万票という大差をつけて出場を決めた。
実に12年ぶり、干支一周ぶりというオールスターゲームの舞台。プロ野球ファンを超えて世間の注目を集めたマウンドだったが、秋山翔吾、森友哉(ともに西武)ら古巣の後輩に本塁打を打たれ、散々な結果に。
とはいえ平成最後のオールスターゲームに平成の怪物が還ってくるというめぐり合わせに、多くのプロ野球ファンが感慨深い思いを抱いたに違いない。
9年にわたるメジャーリーグでのプレーを終え、巨人に復帰した上原浩治。先発から始まったキャリアは、抑えを経て中継ぎへと変わったが、与えられた場所でしっかりと結果を残してきた。
開幕当初は調整不足もあり打ち込まれたが、徐々に調子を上げ、7月20日の広島戦で日米通算「100勝・100セーブ・100ホールド」という快挙を成し遂げた。今年で43歳を迎えるため、オフには引退も考えたが、それでも、この大記録にこだわり、現役続行を選んだ。
これで思い残すことはない……と言わず、これからも一流の投球を堪能させてほしい。
好調西武の原動力の1人である源田壮亮。今季も走攻守でスーパープレーを披露しているが、7月11日のロッテ戦で、新人開幕から221試合連続フルイニング出場を達成。ミスタープロ野球・長嶋茂雄氏(巨人終身名誉監督)が持つ記録を抜いた。
とはいえ、この数字はあくまでも通過点。その後も連続フルイニング出場を続けており、どこまで記録を伸ばせるか注目が集まる。
今季も様々な助っ人選手がやってきたが、「前半戦で最高の助っ人は?」と問われたならば、真っ先に名前が挙がるのがボルシンガー(ロッテ)だろう。
5月4日から7月7日にかけて10連勝という離れ業を演じ、先発の柱としての役割を十二分に果たしている。
ただ、この大活躍を受けて、どこからともなく「来季は違うチームのユニフォームを着ているのでは?」という声も囁かれている。ロッテファンは複雑な心境か……。
近年のプロ野球は「コリジョンルール」など大きな規定改正の動きが見られるが、今季は「二段モーションの解禁」と「申告敬遠」が加えられた。また、ジャッジをめぐっては「リクエスト」が導入された。
このなかで「申告敬遠」に関しては、投手が4つのボールを投げる間のドラマがなくなってしまうと、開幕前から懐疑的な意見もちらほら……。
過去を振り返ると、松井秀喜(ヤンキースGM特別アドバイザー)の甲子園5打席連続敬遠や、新庄剛志の敬遠球打ちなど、敬遠をめぐるたくさんのドラマが生まれてきた。あらためて、日本の野球ファンが敬遠にもドラマを求めていることを考えさせられるルール改正だった。
いよいよプロ野球選手としての人生を歩み始めたスーパールーキー・清宮幸太郎(日本ハム)。開幕前に体調を崩したこともあり、1軍デビューはいつかとファンをやきもきさせていたが、5月2日の楽天戦に6番・DHで出場。
すると、その試合から5月9日のオリックス戦まで毎試合1安打を放ち、デビュー戦から7連続試合安打という新記録を打ち立てた。
ちなみに記録達成となった7安打目はプロ第1号本塁打。“もってる男”だと証明して見せた。
めったにお目にかかることができない記録として挙がるノーヒットノーランとサイクル安打。しかし、今季に限っては少々事情が異なる。
ノーヒットノーランこそ7月27日の中日戦で山口俊(巨人)が達成した一度きりだが、サイクル安打は、4月21日・日本ハム戦での柳田悠岐(ソフトバンク)、7月9日・阪神戦での山田哲人(ヤクルト)、7月20日・阪神戦での桑原将志(DeNA)と早くも三度、飛び出した。
この10年間でサイクル安打が生まれたのは、上記の3度を含めて6度。ここまで頻繁に達成されると“レア度”が下がってしまいそうだ……。
上原(巨人)と同じく、メジャーリーグでのプレーにひと区切りをつけた青木宣親(ヤクルト)。かつて背負っていた「23」を再び古巣でまとい、チームの上位進出に貢献している。
個人記録に目を向けると、5月3日の中日戦で通算4000打数の大台に到達した。その時点で、レロン・リー(元ロッテ)の通算打率.320を上回る、打率.327となるため、NPB通算打率1位に立った。
また、6月14日の西武戦では初回に先頭打者ランニングホームランを放ち、未だ衰えぬ脚力を披露した。ちなみにこのランニングホームランは36歳5カ月で達成。最年長記録のおまけつきとなった。
近年「昭和の偉人が逝く」訃報が増えてきたが、プロ野球界でも今年に入って星野仙一氏、衣笠祥雄氏が亡くなった。
いずれ劣らぬ名選手で、引退後の星野氏は監督としてプロ野球界の発展に尽力。人生最後の監督を務めた楽天で悲願の日本一を掴み取った。
また、解説者となった衣笠氏は温かな目線を選手へ注ぐ話しぶりで、野球ファンの心をほぐした。亡くなる直前まで解説席に座った生き様は、これぞ鉄人の矜持だった。
NPBきっての人気球団として君臨している広島。6月27日の巨人戦では、主催33試合目にして入場者数が100万人を突破。これは球団史上最速の大台突破で、その人気はますます過熱している。
こうなると4年連続の200万人動員は間違いないが、今季、目を見張るのはマツダスタジアムでの試合でまだ入場者数が3万人を一度も切っていないこと。昨季まではちらほらと見られた2万人台の数字が、どこにも見当たらないのだ。
このまま動員数が伸び続ければ記録の更新はおろか、マツダスタジアムの座席数増加改修にまで話が発展するかもしれない。
前半戦だけでも、これだけ内容の濃いランキングとなった。皆さんも自分のランキングを作ってみてはいかがだろうか。次回は「アマチュア野球&メジャーリーグ編」を発表。どんな出来事がランクインするか、予想しながら待っていてほしい。
文=森田真悟(もりた・しんご)