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【1軍生き残りを懸けて、懸命にアピールする選手】ランキング

 ミットを叩く乾いた捕球音、球場に響く会心の打球音……。オープン戦も本格化するこの時期、開幕に向けて必死にプレーを続けている選手がいる。実績ある選手ではない、1軍生き残りを懸けて首脳陣にアピールを続ける選手たちだ。

 オープン戦序盤こそ、1軍定着を狙う選手にとってはチャンスの場。ベテラン陣たちが独自調整を続けている今だからこそ、自らの存在価値を首脳陣に印象づける機会でもあるのだ。今回はそんな「開幕1軍」を狙って、サバイバルレースを繰り広げている選手たちにスポットを当て、ランキング形式で紹介していこう。


ライトを狙え! 開幕1軍目指して必死の毎日
―岡 大海(おか・ひろみ)/日本ハム・1年目

 ルーキーながら連日、存在感をみせているのが日本ハムの岡。2月20日のロッテとの練習試合では8番ライトでスタメン出場。2軍から招集され、いきなりの初安打を含む4打数2安打をマーク。さらに22日のオープン戦でもスタメン出場してしぶとく1安打。続く23日のDeNAとのオープン戦では2試合連続フル出場。オープン戦1号となる“プロ初本塁打”を放つなど、その勢いは止まらない。

 中田がサードへ転向し、大谷はピッチャー中心の調整を続けている今季の日本ハム。現時点では陽岱鋼が守るセンターを除き、外野は2つ席が空いている。打撃好調な北篤、谷口雄也らライバルは多く、熾烈な外野のレギュラー争いが続くだろう。開幕ライトのスタメンを狙って、岡は毎日を必死で過ごしていく。

首脳陣大絶賛! ケンカ投法で猛アピール
―森 唯斗(もり・ゆいと)/ソフトバンク・1年目

 度胸満点の投球で首脳陣にアピールを続けている、こちらも新人の森唯斗。ドラフト2位で三菱自動車倉敷オーシャンズから入団した右腕だ。2月4日にチーム“昇格1号”となり、1軍に上がった森は、ブルペンで72球を投げ込み首脳陣へ猛アピール。9日のシート打撃では4番候補の李大浩ら、打者8人に対して圧巻のノーヒット投球。さらに16日、20日の紅白戦では、それぞれ1回を無失点に抑えた。

 森の良さは何といってもそのマウンド度胸。先輩打者たちに臆することなく内角を投げまくるケンカ投法に、加藤投手コーチは「投手に一番必要な闘争心を持っている」と絶賛。秋山監督も好印象を持ったようだ。

 さかのぼること自主トレ期間中の1月14日、新人でブルペン一番乗りを果たしたのが森だった。入団当初から猛アピールを続ける、怖い物なしの若き右腕が、どこまで登り詰めるか注目だ。

育成枠から這い上がれ! 背番号3ケタ投手の挑戦
―土田 瑞起(つちだ・みずき)/巨人・3年目

 背番号108がマウンドで躍動した。2011年育成ドラフト2位で巨人入りした右腕・土田の評判がうなぎ登りだ。今キャンプは育成選手ながら1軍に抜擢され、18日の中日との練習試合では2回無失点と好投。22日のDeNAとのオープン戦では、先発してメッタ打ちをくらった内海哲也を尻目に、2回をパーフェクトに抑えた。派手さはないものの、テンポ良い投球は使い勝手の良さを十分アピールできただろう。

 苦労人だ。長崎の鎮西学院高卒業後は四国・九州アイランドリーグ(当時)の長崎セインツに入団。月給はわずか9万円で、バス移動時は堅い通路で雑魚寝をして、8時間かけて遠征に出たこともあり、シーズンオフには人参を仕分けするアルバイトも経験した。チーム解散を機に、同リーグの愛媛マンダリンパイレーツに移籍し、2011年のドラフト会議で巨人から育成2位指名を受けた。

 プロ入り後は順調に力をつけ、昨季はイースタン新記録となる62試合に登板するなど、タフネスさがウリの右腕に成長。昨秋のウインターリーグでは先発も経験するなど、その使い勝手の良さをアピールしていけば、支配下登録だけではなく、開幕1軍に残ることも!?

今シーズンこそ……復活を期すかつての本塁打王!
―T-岡田/オリックス・9年目

 今季こそ完全復活だ! オリックスファンならずとも、その復活を期待するT-岡田が結果を出し続けている。19日の紅白戦でも3安打3打点をマークし、オープン戦初打席となった22日の中日戦では同点二塁打を放つ活躍をみせ、続く23日のヤクルトとの練習試合では右中間スタンドへ特大の一発を放ち、3安打3打点を記録。森脇監督も「素晴らしいバッティングだった」と絶賛。結果を出し続けることで、首脳陣の信頼も回復しつつある。

 キャンプ途中に下半身を痛め、別メニュー調整していた時期もあった。理由は長内打撃コーチから受けた広島流“地獄キャンプ”指導。一日最低1000スイング以上のノルマを課され、疲労はピークに達した。しかし、その傷も癒えたキャンプ打ち上げ後に結果を出すあたり、猛練習の効果が確実に身についている証拠ではないだろうか。今年こそ…ファンはT-岡田の復活を信じている。

先輩の意地! 将来性十分の左腕がライバル心メラメラ!
―森 雄大(もり・ゆうだい)/楽天・2年目

 今キャンプ中、楽天の星野監督が「(その投球を)見たいと思わせる」と言わせた森が、22日のヤクルトとのオープン戦に先発。初回は無失点に抑えたものの、3四死球と不安定さを露呈。バレンティンとの対決ではフルカウントまで追い込みながら、結局四球を与えてしまった。結局、2回を4安打1失点とやや期待外れの投球に終わってしまった。

 しかし、19歳の2年目・左腕の闘争心には確実に火がついている。キャンプ中の早朝声出しでは「今年の目標は、まずプロ初勝利をめざし、シーズン終了後に5勝を目標として頑張っていきたいと思います。そして、松井裕樹だけでなく、森雄大も覚えてもらえるように絶対に頑張っていきたいと思います!」と宣言。年齢が近いこともあり、松井に対しては相当なライバル心を持っていることは間違いない。

 そして翌日の23日には、その松井裕樹がオープン戦初登板。2回を無安打無失点、2奪三振と堂々のプロデビューを飾った。この結果を受けて、森は何を思うか。開幕一軍入りをかけた、2人の左腕のサバイバルレースは始まったばかりだ。


■ライター・プロフィール
鈴木雷人(すずき・らいと)/会社勤めの傍ら、大好きな野球を中心とした雑食系物書きとして活動中。“ファン目線を大切に”をモットーに、プロアマ問わず野球を追いかけている。Twitterは@suzukiwrite

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