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中日ドラゴンズのスカウト部長・中田宗男氏は実際にドラフト候補たちをどのようなに評価しているのだろうか

秋のドラフト会議に向け、今夏もスカウトたちは各地の球場スタンドから目を光らせるはずだ。その前に、スカウト部のトップ二人に、現時点ではどんな選手が評価されているのか訊いてみた。今週は中田宗男氏(中日ドラゴンズ/スカウト部長)、来週は鳥原公二氏(東京ヤクルトスワローズ/編成部次長チーフスカウト)が登場する。

中日ドラゴンズ/スカウト部長
中田宗男(なかだ・むねお)

<プロフィール>
1957年生まれ、大阪府出身。上宮〜日本体育大〜中日。現役時代は投手。78年、ドラフト外で中日に入団。83年に引退後スカウトに転身し、主に関西地区で今中慎二らを担当した。2003年にスカウト部長に就任。



例年以上にスカウトの目が重要になる
 今年は指名確実と思える選手が少ない、というのが本音です。高校生も松井裕樹くん、森友哉くん、上林誠知くん、若月健矢くん…。このあたりに続いて次々と名前が出てこない。

 ただ逆の見方をすると、まだ力を出し切れていないとか、一つ足らないけど魅力を感じるというタイプが結構いるのかと。例年ならこの時期には残す選手、切る選手を分けていることが多いですが、今年はもう1回見てみよう、夏まで見て判断しよう、という選手が増えてきそうです。そのあたりでどう判断するのか。スカウトの目、球団の姿勢がいつも以上に出るドラフトになる気がします。

松井 裕樹
桐光学園(神奈川・3年)
投手/174cm74kg/左投左打


プロでも武器にできる変化球
 真っすぐはもちろん、プロで武器にできる変化球がある。カーブは一度浮き上がってから曲がり込んでくる。スライダーは打者からすれば本当に消える球筋。「真っすぐと同じ腕の振り」ではなく、真っすぐ以上の腕の振りとボディーアクション。あれだけ体を使って右の外にチェンジアップも。感覚を完全につかんでいる。本物です。

安樂 智大
済美(愛媛・2年)
投手/186cm85kg/右投左打


野茂を思い出した春の快投
 甲子園の投球を見ながら野茂を思い出しました。野茂の素晴らしさは、あの体にしてゴムまりのように柔らかい筋肉があったこと。それが爆発力にもつながったのですが、通じるものを感じます。まだ2年生。上体が沈むフォームも体ができてどうなっていくのか。右打者のアウトローに球を引っ張ってこられるようになった時が楽しみ。

森 友哉
大阪桐蔭(大阪・3年)
捕手/170cm80kg/右投左打


上背気にならない打撃技術
 打ち損なった打席が記憶にない。軸回転がしっかり身につき、対応できるポイントが広い。ここまでの技術があれば上背を気にすることもないでしょう。ただ、先を考えた時に、打撃を生かすために捕手以外のポジションを…と考えるのか、捕手をやってきたからこその打撃と考えるのか。このあたりが各球団の考え方になるでしょう。

上林 誠知
仙台育英(宮城・3年)
中堅手/184cm80kg/右投左打


走攻守評価高く、体次第で糸井級
 バランスのよさとスピード感。体ができてくれば、糸井嘉男(オリックス)のようなスケールまで出てくるかもしれません。現状ではバットコントロール、肩の強さ、走力の評価が高いですが、守備範囲の広さ、打球判断力も素晴らしい。

園部 聡
聖光学院(福島・3年)
一塁手/184cm88kg/右投右打


打は十分、カギは三塁ができるか?
 将来的にはサードができるかどうかで起用の幅も変わりそうですが、現状はこの打力をどこまで評価するか。本物の長距離砲の資質を秘めながら、荒っぽさがない。柔軟性とつかまえて運ぶ技術。中村剛也(西武)に通じるものを感じます。

若月 健矢
花咲徳栄(埼玉・3年)
捕手/178cm80kg/右投右打


肩も松井撃ちの打撃も魅力が大きい
 肩の強さと送球のスピード。下半身をしっかり使って投げられる。打撃は少し右手がかぶりますが、その中でもとらえる感覚がいいので、結果が出せる。関東大会でも松井くんから1つ甘くきた球をきっちりとらえました。魅力大です。

平良 拳太郎
北山(沖縄・3年)
投手/180cm70kg/右投右打


強い興味が湧く独特なフォーム
 大変興味を持っています。少し変則気味も、最近では珍しくテークバックで腕を大きく使って、そこからうまく畳んで投げてくる。腕の振りにしなやかさと瞬発力を感じます。まだ素質で投げていますが、あと何回か見たいですね。

中田宗男スカウト部長が気になる4選手

大竹 耕太郎
済々黌(熊本・3年)
投手/182cm72kg/左投左打


進学希望も成長度が大きく注目したい
 もともと右打者を手玉に取る投球術は素晴らしく、僕らが見ていても楽しい投手。普通に考えれば進学の可能性が高いのでしょうが、今年の投球を見ていると、こちらの評価を迷わせるボールがくるようになりました。

石川 亮
帝京(東東京・3年)
捕手/179cm83kg/右投右打

動きにキレが増し、今春で評価一変
 去年までは素質の高さをまだまだ生かし切れてなかった。一言で言えば打つも守るも“もっさり”としていた。それが春に見ると、動きにキレが出て私の中では評価がはっきり上がった一人。この感じで夏までいってほしい。

乾 陽平
報徳学園(兵庫・3年)
投手/179cm72kg/右投右打


早く使える投手だが伸びしろはどうか
 無理無駄のないフォーム、回転の効いた真っすぐの質。高校生では完成度が高く、投手出身者からすれば非常にいい投手。もしプロへ進んでもわりと早く使えるイメージが持てる。逆に、伸びしろという部分をどう見るかでしょう。

和田 恋
高知(高知・3年)
遊撃手/179cm80kg/右投右打

独特なムードが高評価
 球をつかまえた時の音がほかの高校生とは違う。インパクトの一瞬に力をしっかり集め、ボールに伝えているのでしょう。打球も見ている感じ以上に伸びる。バットもうまく使い、ウチの和田一浩に通じる独特の雰囲気を感じます。


他にもこんな選手が
 投手で気になる一人が鈴木翔太くん(聖隷クリストファー)。春は故障がちでしっかり投げられませんでしたが、昨秋に見た時は順調なら来年のドラフト上位候補という内容。柔らかさがあり、いかにも先々伸びるだろうとイメージできるタイプ。

 野手ではいろいろなところから最近、噂が聞こえてくるのが奥浪鏡くん(創志学園)。通算本塁打も多いそうですがパワー頼みのタイプではなく、三塁の動きも悪くないと。この取材の後、実際に見に行く予定です。

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