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呪いより怖い!? 監督&コーチたちの「キャンプ“カミナリ”列伝」

 今も昔も変わらない、プロ野球界の厳しい「縦社会」。彼らにとっては呪いやジンクスよりも、先輩からの厳しい言葉のほうがよっぽど怖いはずだ。特に監督やコーチからの叱責やカミナリは、試合出場の可否にもつながりかねず、生きた心地がしないだろう。そこで今回は、「呪いよりも怖い“カミナリ”列伝」と題し、過去のキャンプで落ちた監督・コーチ陣のカミナリ伝説を振り返ってみたい。


●「ミスター赤ヘル」の聞き間違い

 毎年、何かと話題を提供してくれるDeNA。今年のキャンプでも相変わらず中畑清監督が絶好調だが、もうひとり、今年からコーチ兼任選手になった三浦大輔投手も元気だ。コーチとなって遠慮がなくなったのか、若手への厳しい激がメディアを賑わせるとこも多い。そんな、「コーチ兼任選手」が生んだ悲劇をひとつ。

 1984年、「ミスター赤ヘル」こと山本浩二がコーチ兼任選手になった年の春季キャンプで、事件は起きた。ある若手選手が「山本“コーチ”」と声をかけたのだが、これに山本が怒ったように言葉を返したという。

「オウ、オウ。1軍でちょっと活躍するようになったら、すぐに生意気になりおって」

 自分の何が山本の気を害したのか……その理由がわからない若手選手は戸惑うばかり。その後、山本“浩二”はこう言った。

「先輩の名前を呼び捨てにするとは、最近の若い奴は礼儀を知らん連中が多い!」

●「球界の紳士」藤田元司の大喧嘩

 かつて「球界の紳士」と称された巨人でエースとしても監督としても活躍した藤田元司氏。そんな紳士のカミナリは1992年の監督時代、グアムキャンプのブルペンで落とされた。落とした相手は木田優夫(現石川ミリオンスターズGM兼投手)。

 だが、事態はそこで終わらなかった。まだ若手で血気盛んだった木田は、このカミナリに応酬、大喧嘩に発展してしまったのだ。翌日のスポーツ紙の一面を飾るほどの騒ぎとなったが互いに譲らず、キャンプ中は口もきかない状態が続いた。まるで子どもの喧嘩だ。結局、キャンプ終了前日に木田が肉離れを起こし、そのケガの報告をしにいったのが10日ぶりの会話だったという。

 ところが、その「負けん気の強さ」を買われたのか、この年の木田は前年の19試合から29試合の登板へと大幅増。その後も、先発、中継ぎ、抑えのどこでも任される「何でも屋」として重宝された。後に木田は「監督退任後にも『良くなってきたな』と声をかけられた。ずっと見ていてくれたんだと嬉しかった」と、その師弟関係の深い繋がりを語っている。


木田優夫が描く藤田元司元監督(『木田優夫のプロ野球選手迷鑑』より)

●「鬼」の星野、楽天での初カミナリ

 今年のキャンプでも、挟殺プレーの練習で笑いが起こったことに「お前ら笑ってるんじゃねえ!」と一喝した星野仙一監督。ちょうど2月3日の出来事だっただけに「鬼の星野」と評された男が、楽天の監督就任後、最初にカミナリを落とした相手は誰だったのだろうか?

 楽天での初カミナリはキャンプイン前の2011年1月21日。その日はキャンプのメンバー編成やスケジュールを最終決定するコーチ会議だった。その会議に先立ち、星野監督グッズの宣伝用に写真撮影が行われたのだが、そこでカメラマンが大胆にも「監督、もっと怒ってください!」とリクエストを出したのだ。

 人間、怒りたくて怒るわけではない。それだけに「怒ってください」とはかなり失礼なお願い。実際、この言葉を聞いて、球団スタッフは全員その場に凍りついたという。にもかかわらず、「怒っているデザインなんで、もっと怒ってもらわないと困るんです!」と繰り返すカメラマン……。冷たい空気が流れる中、星野監督が苦笑いしながらついに口を開いた。

「シーズンに入ったら放っておいても怒るわ!!」

 果たして、この年シーズン5位に終わった楽天。一体どれだけのカミナリが落とされたのだろうか?


 「キャンプ“カミナリ”列伝」はまだまだたくさんあるが、今回は、ちょっと微笑ましい部類のカミナリを集めてみた。今年のキャンプでも、日本ハム・栗山監督が大谷翔平に対して「バカヤロー!」と檄を飛ばしたのを始め、各球団でカミナリは落ちている。それらを後で笑い話にできるかどうかは、選手自身の奮起にかかっているのは間違いない。


 直接怒られるくらいなら、まだ「呪い」のほうがいい? そんな「呪い」といえば……


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 野球とは“失敗”のスポーツです。打者は10回のうち7回は凡打。守備陣はエラーしようと思って守っているワケでもないのにエラーを犯し、投手は打たせまいと思って投げても、打たれてしまう。そして応援するチームが日本一になることなんて、そうそうありません。でも、だからこそ、僕らは応援するのです。

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■ライター・プロフィール
オグマナオト/1977年生まれ、福島県出身。広告会社勤務の後、フリーライターに転身。「エキレビ!」では野球関連本やスポーツ漫画の書評などスポーツネタを中心に執筆中。また「幻冬舎WEBマガジン」で実況アナウンサーへのインタビュー企画を連載するなど、各種媒体にもインタビュー記事を寄稿している。ツイッター/@oguman1977

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