メジャーは憧れから身近な存在に。『ニックネームで振り返る野球昭和史』
「ビッグレッドマシン」。
今季の野球界では、何度となくこのフレーズを耳にする。イチローの安打記録に際して世間の注目を集めたピート・ローズを説明する上で。そして、セ・リーグの首位を独走する好調、広島打線を称して。
元をたどれば、1970年代、メジャーリーグで圧倒的な強さと人気を誇ったシンシナティ・レッズの強力打線のニックネーム、それが「ビッグレッドマシン」だ。
その中核を担ったのがピート・ローズ。そして、広島は、レッズと同じ赤がチームカラーであることから、このニックネームを借り受けたわけだ。今季だけでなく、1990年代の三村敏之監督時代にもこのニックネームが使われていた。
野球界には、いつの時代にも愛すべきニックネームがあり、そして、そのニックネームが似合う個性派選手たちが歴史を作ってきた。ニックネームで野球史を振り返る、というのも野球ファンであればまた一興。むしろ、昭和の時代にこそニックネームで呼びたくなる選手たちであふれていたことを、今こそ、若い世代の野球ファンにも語り継いでいく必要がある。
そこでぜひ、オススメしたい本がある。先頃上梓された『ニックネームで振り返る野球昭和史』(澤宮優著/ベースボール・マガジン社)だ。
本書に収められた「球界ニックネーム」は実に120以上。それぞれのニックネームや愛称がどのように生まれたのか、選手やチームの特徴や出来事を振り返りながら、野球史を探求できる構成となっている。
本書を読んであらためて感じたのは、メジャーリーグに影響を受けたニックネームが実に多いこと。それだけ、昭和の時代においてはメジャーリーグが憧れの存在だった、というわけだ。いくつか、代表的なものを本書から紹介したい。