◎第六回 いざアメリカへ！ 日本代表が1位通過で決勝ラウンドへ
＜はじめに＞
今回から始まったこのコーナー「侍JAPAN×2013WBC完全攻略法」。「週刊」の枠を外して、大会中不定期で更新して参ります。「攻略」の名の通り、日本代表が勝つためにはどうしたらいいのか？ という観点からの記事も掲載していきますのでお楽しみに！
＜過去の記事＞
◎ 第一回 2013WBC日本代表メンバー発表とみどころ
◎ 第二回 コメントで振り返る、WBC初戦＆第2戦レビュー
◎ 第三回 3.6キューバ攻略大作戦！＜ベスト5＞
◎ 第四回 3.6キューバ戦の光と影〜明暗分かれたキューバと日本〜
◎ 第五回 WBC東京ラウンド中間報告
◎ 第六回 いざアメリカへ！ 日本代表が1位通過で決勝ラウンドへ（今回）
やっぱり野球は面白い。
改めてそう感じさせてくれたWBC第2ラウンドだった。日本代表の試合はもちろん、ライバル国同士の戦いも印象に残った試合が多く、野球ファンは充分に「世界の野球」を堪能できたのではないだろうか。キューバの豪打、チャイニーズ・タイペイの粘り、オランダの勝負強さ、そして第2ラウンド・プール1を制した日本は1位通過に相応しい試合内容をみせてくれた。各試合の詳細は他に任せて、あくまでも個人的な目線で各国代表のMVPを選出し、東京ラウンドを振り返ってみようと思う。読者の皆さんにも独自のMVP選手がいるのではないだろうか。
1位 日本「まさに“侍”！ バットを刀に世界を斬る！」
個人的MVP：阿部慎之助
第1ラウンドは苦戦続きだったが、読者の皆さんもご存じの通り、3月8日(金)のチャイニーズ・タイペイ戦の「激闘」を制して一気に息を吹き返した日本代表。9回二死から盗塁を決めた鳥谷敬(阪神)、あと一球で試合終了の場面で起死回生の同点タイムリーを放った井端弘和(中日)も素晴らしいが、ここでは敢えて阿部慎之助(巨人)をMVPに推したい。
そのチャイニーズ・タイペイ戦では8回までゼロに抑えられていた「金縛り状態」の日本打線の呪縛を解くタイムリーを放ち、今大会初安打をマーク。その後は堰を切ったように打ちまくり、第2ラウンド準決勝では3安打1打点、そして圧巻は決勝戦の1イニング2本塁打と、まさにバットを刀に持ち替えて、バッサリと対戦国を切り裂くような活躍をみせてくれた。主将としても「週刊誌とか色々と問題があったけど、楽しくやろうよ！」と勇気あるコメントでチーム盛り上げるなど、プレー以外でもチームを引っ張ったことも評価したい。
個人的MVP：バレンティン 良い意味で予想を裏切ってくれたのがオランダ代表だろう。正直、ここまでタレント揃いのチームだとは思っていなかった。特に野手陣は個性的かつ魅力的なメンバーがズラリ。リードオフマンのシモンズ、積極的なバッティングが魅力のスコープやサムスなど、キューバに打ち負けない程の長打力をみせてくれた。
しかしMVPを選出するなら、やはり四番にどっしり座ったバレンティンだろう。6試合で本塁打は0ながら打率は.316と立派な成績を残した。第2ラウンド決勝は欠場したが、やはり1人いないだけで打線の迫力がまるで違った印象を受けた。
欧州勢初のWBC決勝ラウンド進出を決めたオランダ。キューバ戦で負傷したそのバレンティンも復帰する予定で、もしかしたら決勝戦で日本との再戦があるかもしれない。
3位 キューバ「日本に唯一の黒星をつけた“永遠のライバル”」
個人的MVP：メサ監督 前回大会に続いて第2ラウンドで敗退したキューバ。今大会で強く感じたのが「脆(もろ)い野球」をするようになってしまった、ということ。ひと昔前のキューバは大勝する時もあれば接戦もモノにする、ソツのない狡猾な試合運びが脅威だったが、今大会では打線が爆発する試合は大勝し、打てないときは投手陣が踏ん張れない…といった、チグハグな野球が目についた。
チャイニーズ・タイペイ戦では圧勝するも、翌日のオランダ戦ではサヨナラ負けするなど、その野球に以前ほどの「怖さ」や「粘り」が感じられなくなった印象を受けた。
チャップマン、セスペデスら亡命選手が増え、昔と比べて「戦力不足」といえばそれまでだが、それを補おうとしてメサ監督は毎試合、慌ただしく動き回っていたのかもしれない。第1ラウンドも第2ラウンドも幾度となくグラウンドに登場し、激しい投手交代をみせるなどして選手を鼓舞し続けた。日本の野球ファンは選手より目立っていたメサ監督を忘れないだろう。
4位 チャイニーズ・タイペイ「球史に残る“名勝負”を忘れない」
個人的MVP：林智勝（Chih-Sheng Ling/りん・ちしょう） 試合時間4時間37分。今でもあの試合を振り返ると身震いがする。
日本がようやく同点に追いついた8回、その裏のチャイニーズ・タイペイの攻撃は3連打で同点に追いつく粘りをみせるが、その場面で左中間に火の出るような二塁打を放ったのが四番・ショートの林智勝(Chih-Sheng Ling）。日本の選手でいうと細川亨(ソフトバンク)か？ と見間違えるくらいのカラダのデカさ。筋肉ムキムキのガタイながら、なぜかショートを守っている。スマートな坂本勇人(巨人)とは正反対の野性味溢れる選手だった。日本打線を6回無失点に抑えた先発の王健民も素晴らしかったが、ここではその存在感も手伝って、個人的MVPに選出したい。
また選手と同様に、東京ドームに大挙押し寄せたチャイニーズ・タイペイのファンも素晴らしかった。その応援を観ると、団結力があって心の底から野球に夢中になっている姿勢が強く感じられた。この点は我々、日本の野球ファンも大いに見習うべきだろう。
今回は東京ラウンドで鎬(しのぎ)を削った「戦友」が残してくれた想い出のシーンを中心に振り返ってみたが、もう一つのグループ、プール2でも同じように「死闘」が繰り広げられている。すでにイタリアは脱落し、ドミニカ共和国が決勝ラウンド進出を決めた。残る1つの椅子をプエルトリコとアメリカで決勝ラウンド進出を懸けて戦う。野球ファンとしては見逃せない一戦となりそうだ。
次回は18日(月)更新だが、そのプール2の激戦の模様と、対戦相手が決まった日本戦の見所を紹介する予定だ。次回もお楽しみに！
今後の“侍JAPAN”の試合スケジュール
＜2013 WORLD BASEBALL CLASSIC 決勝ラウンド＞
Semifinal 1 3月18日 10：00 日本vs（2組2位） @アメリカ・サンフランシスコ・AT&Tパーク（以下同）
Semifinal 2 3月19日 10：00 （2組 1位）vsオランダ
Final 3月20日 9：00（Semifinal 1 勝者）vs（Semifinal 2 勝者）
※時間はすべて日本時間
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◎ 第一回 2013WBC日本代表メンバー発表とみどころ
◎ 第二回 コメントで振り返る、WBC初戦＆第2戦レビュー
◎ 第三回 3.6キューバ攻略大作戦！＜ベスト5＞
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■プロフィール
文＝鈴木雷人（すずき・らいと）／会社勤めの傍ら、大好きな野球を中心とした雑食系物書きとして活動中。準決勝の日本戦がある18日(月)は勤務する会社を休もうかどうしようか、真剣に悩んでいる。Twitterは
@suzukiwrite
