【2016夏の高校野球】《福島観戦ガイド》有望選手と大会展望&地区勢力ピラミッド
7月8日〜24日(開成山野球場ほか)
春季大会で無敵艦隊・聖光学院敗れる!
夏は戦後初の10年連続甲子園出場なるか
☆★☆ 投手編 ☆★☆
●聖光学院・鈴木が牽引
左肩痛の影響で出遅れた春は不完全燃焼に終わったが、夏は聖光学院の絶対エース・鈴木拓人が福島の投手を代表する存在だ。
昨秋の日大東北戦で延長14回を投げ切るなどスタミナは十分。ストレートの最速は142キロを誇り、決め球のチェンジアップにスライダー、カーブ、そして今年からカットボールも習得した。ピンチで一段階ギアを上げた鈴木を打ち崩すのは困難だ。ゲーム終盤には、最速142キロ、スライダー、チェンジアップを得意とする中堅手の鈴木駿輔も控え、今年も聖光学院の投手陣は層が厚い。
投手層ならば15年ぶりに春を制した光南も負けてはいない。「投手の見本を見せてくれた」と、澁谷武史監督が目を細める2年生エース・石井諒を筆頭に、春季大会で22回を投げ26奪三振と量産した坂路翔、矢田部直士の左腕3本柱の安定感は抜群だ。
春準優勝の原動力となった戸田開斗(磐城)も相手にとっては難敵だ。独特の軌道のスライダーにカーブ、チェンジアップも操る。投球フォームも変則で、打者のタイミングをずらす投球術が光る。
聖光学院の対抗馬となりうるチームの好投手も見逃せない。学法石川・上田勇仁監督が「オフから飛躍的に成長した」と評価するエース・宗田真也、秋にエースだった北郷辰憲も切れ味鋭いスライダーを武器に計算が立つ。日大東北の2年生エース・磯上海大は、タテ、横のスライダーにチェンジアップ、ツーシームを巧みに操る。
上位を虎視眈々と狙う小高工には強いストレートを内外角に投げわけられる蒔田達広。佐藤巧麻(学法福島)は最速142キロを誇るプロ注目の右腕。右の本格派コンビ、盛藤城と酒井瑶平(ともに福島西)の存在もあなどれない。
▲戸田開斗(磐城)
☆★☆ 打者編 ☆★☆
●必見はいわき光洋の2年・園部
春は7年連続の優勝を逃したものの、破壊力では聖光学院が一歩リード。どの打順でもこなせる万能タイプの鈴木駿輔に、1年秋には4番を任された昨夏の甲子園経験者・鎌倉誠。185センチ95キロと恵まれた体躯の西川将也は、春は故障で出場できなかったが規格外のパワーを誇る。
今年の福島県は巧打者が多い。学法石川は春季大会3試合の平均得点は10.3。1年春から主力の3番・鞆谷翔は、13打数9安打4打点、打率.692と圧巻の働き。2年生から主力の佐藤宏樹(日大東北)は春季大会で打率.417をマーク。4番・高子翔太とのコンビで打線に火をつける。溝井琴博(光南)は変化球の対応力に優れ、パンチ力もある。磐城の4番・草野隼人は逆方向にも長打が打て、チャンスにも強い。
園部佳太(いわき光洋)はオフのウエートの効果でスイングスピードが上がり、通算本塁打13本と量産中。広い守備範囲とフィールディングにも定評がある。夏の活躍次第では、来年のドラフト注目選手になれる逸材だ。
守備に定評があるのが秋山拓人(福島商)。正確かつ素早いスローイングはプロのスカウトも注目している。打撃が向上すれば下位で指名の可能性あり。東日大昌平の後藤恵介はインサイドワークが光り、打撃でも勝負強さを発揮する。
▲鞆谷翔(学法石川)
☆★☆ 大会展望 ☆★☆
●聖光学院を追う光南と学法石川
春季大会7連覇を逃した聖光学院だが戦力は県内屈指。10年連続の甲子園へ向け、チームの立て直しが急務となる。春の王者・光南は投手陣が安定。溝井を中心とした打線が活気づけば10年ぶりの戴冠も見えてくる。学法石川は「3年計画」集大成の夏。強力打線を起点に勢いに乗りたい。春準優勝の磐城と日大東北は、エースに次ぐ2番手の存在が勝敗を分けるだろう。福島商、東日大昌平、いわき光洋は打線の奮起がカギ。緻密な野球を仕掛ける須賀川も上位進出を狙う。
地区勢力ピラミッド