あと数試合というところで、混沌としてきたタイトル争いが増加!こちらも最後の最後まで見逃せない!
【激闘を振り返る! 先週のタイトル争いをダイジェストで紹介!!】
3位・目を覚ましたアブレイユ、3発で引き寄せる!(パ・リーグの「本塁打王」)
上位勢がもたつく間に、マギー、ジョーンズ(ともに楽天)らが追い上げを見せていましたが、長らく調子を落としていたアブレイユ(日本ハム)がここにきて復調。9月の本塁打は6日の楽天戦で田中将大から打った1本のみでしたが、26日のロッテ戦でカルロス・ロサから1本、29日のオリックス戦でマエストリと小松聖からそれぞれ本塁打を打ち 3本を上積み。計31本とし、28本で並んでいた同僚の中田翔を抜き単独トップに立ちました。
6日の本塁打以降、1週間前までは11試合で41打数4安打とスランプに陥りトップの座は風前の灯かと思われていました。それが23日から29日までの6試合で24打数9安打3本塁打、打点も9稼ぎ、通算93として2位に浮上。トップの浅村栄斗(西武)との差は10。日本ハムは残り6試合、西武は7試合(9月29日終了時点)。爆発が続けば、逆転の可能性もゼロではありません。
☆パ・リーグの「本塁打王」争い(9月29日終了時点)
1位 アブレイユ(日) 31(+3)残6
2位 中田翔(日) 28(+0)残6
3位 マギー(楽) 27(+1)残8
4位 浅村栄斗(西) 26(+1)残7
5位 ジョーンズ(楽) 25(+0)残8
6位 李大浩(オ) 24(+1)残9
※ ( )内は9月22日終了時点からの変動
※ 残=残り試合
☆パ・リーグの「打点王」争い(9月29日終了時点)
1位 浅村栄斗(西) 103(+5)残7
2位 アブレイユ(日) 93(+9)残6
3位 マギー(楽) 90(+1)残8
4位 内川聖一(ソ) 89(+4)残5
4位 李大浩(オ) 89(+5)残9
6位 松田宣浩(ソ) 88(+3)残5
※ ( )内は9月22日終了時点からの変動
※ 残=残り試合
2位・陽とヘルマンがともに5盗塁!(パ・リーグの「盗塁王」)
しばらく動きの小さかった盗塁王争いですが、先週1週間は1、2位の選手が積極的に走りました。トップの陽岱鋼(日本ハム)は、26日のロッテ戦で1回、3回、6回と先発・西野勇士から3盗塁を記録するなど5盗塁。2位のヘルマン(西武)も23日のオリックス戦、26日の楽天戦、28日のソフトバンク戦で走り、こちらも5盗塁。陽は7安打5四死球、へルマンは6安打6四球と互いによく出塁し、盗塁のチャンスも得られているので残り試合も盗塁数は動きそうです。
今週末の日曜、10月6日には日本ハムと西武の直接対決があり、状況によっては緊迫しそう。ちなみに陽は西武戦で10回走り8度成功。対するヘルマンは日本ハム戦で10回走り成功は3度のみ(!)。陽が盗塁王になった場合、
ライバルを封じてくれたバッテリーに相当のお礼をする必要がありそうです。
☆パ・リーグの「盗塁王」争い(9月29日終了時点)
1位 陽岱鋼(日) 43(+5)[+8]残6
2位 ヘルマン(西) 38(+5)[+8]残7
3位 糸井嘉男(オ) 31(+2)[+7]残9
4位 荻野貴司(ロ) 25(+2)[+1]残7
5位 西川遥輝(日) 21(+0)[+4]残6
5位 聖澤諒(楽) 21(+1)[+5]残8
5位 中島卓也(日) 21(+2)[+8]残6
※ ( )内は9月22日終了時点からの変動
※ [ ]内は9月に入ってからの変動
※ 残=残り試合
☆陽とヘルマンの盗塁(9月23日〜29日)
1位・小川4連勝! 追いすがるマエケンに差をつける(セ・リーグの「最多勝」「勝率第1位賞」ほか)
8月後半には打ち込まれる試合が続き、一時の勢いを失ったかに見えた小川泰弘(ヤクルト)が9月4勝目となる
16勝目を挙げラストスパート。追い込みをかけていた前田健太(広島)が26日の中日戦で5回3失点で負けがついたため「勝率第1位賞」の受賞がほぼ確定。最多勝もほぼ決まっていますが、単独での受賞となるかに注目です。
新人王を争う菅野智之(巨人)は、28日のDeNA戦で7失点する炎上で、防御率は3点台(3.19)に上昇。小川は9月の好投で2点台(2.96)に持ち直したため、投手三冠のうち奪三振以外は菅野を上回ることに。懸念されるのは所属するチームの順位。巨人が優勝し、ヤクルトが最下位であることは加味されるでしょう。
実際に小川先発時と菅野先発時の対戦チームの先発を見比べると、菅野は岸孝之(西武)、金子千尋(オリックス)、能見篤史、スタンリッジ、藤浪晋太郎(いずれも阪神)や前田健太(広島)などエースクラスと投げ合っており、若干菅野のほうが、勝ち星は稼ぎにくかっただろうという印象も受けます。それでも防御率と勝ち星で3つ上回れば、小川が新人王に選ばれる可能性もあるでしょう。
☆セ・リーグの「最多勝」争い(9月29日終了時点)
1位 小川泰弘(ヤ) 16勝(+1)残7
2位 前田健太(広) 15勝(+0)残3
3位 内海哲也(巨) 13勝(+0)残5
3位 菅野智之(巨) 13勝(+0)残5
5位 メッセンジャー(神)12勝(+1)残6
※ ( )内は9月22日終了からの変動
※ 残=残り試合
☆セ・リーグの「勝率第1位投手賞」争い(9月29日時点)
1位 小川泰弘(ヤ)
→16勝4敗 .800(↑.011)
2位 前田健太(広)
→15勝6敗 .714(↓.036)
3位 内海哲也(巨)
→13勝6敗 .684(↓.039)
4位 菅野智之(巨)
→13勝6敗 .684(↓.039)
5位 杉内俊哉(巨)
→11勝6敗 .647(変動なし)
5位 野村祐輔(広)
→11勝6敗 .647(↑.022)
※( )内は9月22日終了時点からの変動
☆今季、小川(ヤ)が先発した試合の相手先発
野村(広)→ブラッドリー(中)→ブラッドリー(中)→菅野(巨)→岩田(神)→岩田(神)→成瀬(ロ)→攝津(ソ)→ウルフ(日)→大竹(広)→澤村(巨)→大野(中)→大竹(広)→野村(広)→中?(広)→コーコラン(DeNA)→鶴(神)→バリントン(広)→井納(DeNA)→山井(中)→榎田(神)→秋山(神)→三浦(DeNA)
☆今季菅野(巨)が先発した試合の相手先発
久本(広)→大野(中)→石川(ヤ)→中?(広)→小川(ヤ)→中?(広)→藤井(DeNA)→岸(西)→金子(オ)→成瀬(ロ)→永井(楽)→パディーヤ(ソ)→野村(広)→能見(神)→八木(ヤ)→スタンリッジ(神)→山井(中)→藤浪(神)→中?(広)→山井(中)→国吉(DeNA)→山井(中)→榎田(神)→前田健(広)→久本(広)→井納(DeNA)
<その他のタイトルがらみニュース>
前田健太(広)はセの投手三冠も狙える状況から一転、最多勝と最多奪三振をともに失いそう。9月の5登板で計38個の三振を奪ったメッセンジャーが逃げ切る気配。最優秀中継ぎは同じ巨人の山口鉄也とマシソンがわずかに2差。このままフィニッシュするのでしょうか。
バレンティン(ヤ)は打点をその差2にまで追い詰めました。しっかり仕留め、MVP獲得への条件を整えたいところ。最多安打は最後突っ走ったマートン(神)が170本台に乗せほぼ決まり。
パでは金子千尋(オ)と田中将大(楽)の最多奪三振争いがまだ続いています(現在4個差で金子リード)。打撃では長谷川勇也(ソ)が残り5試合(29日現在)で7 本のヒットを打てば200安打達成という見どころも。
【見逃したら後悔必至! 今週の注目カードはこれだ!!】
3位・日本ハムvs西武(6日/札幌ドーム)
陽とヘルマンの盗塁合戦勃発?
日本ハムは最終戦、西武は残り2試合での激突。現在、陽岱鋼(日本ハム)とヘルマン(西武)の盗塁数の差は5。ヘルマンがいくつ詰めてこの試合を迎えるか。多くの部門で見通しが立ってきたタイトル争いだが、最後の盛り上がりになる可能性もある。98年の小坂誠(当時ロッテ)と松井稼頭央(当時西武)が盗塁王を争った際のような、露骨な盗塁封じは避けてほしいところ。
▲ヘルマン(西武)
2位・広島vs中日(3日/マツダ)
前田健太、最多勝へ最後の望みをかける?
今シーズン相性のよかった中日戦で負けを付けられ、最多勝争いで劣勢に回った前田健太(広島)が、16勝目を懸け登板するのはおそらくまた中日戦。圧倒的な投球で、広島のCS突破に弾みをつけられるか。記録と内容、双方に注目したい一戦。
1位・ロッテ vsオリックス(5〜7日/QVCマリン)
金子千尋、奪三振王へ向けて最終登板
7月や8月は1イニング1個かそれ以上のペースで三振を奪っていた金子千尋(オリックス)だったが、9月はややペースダウン。その結果、田中将大(楽天)に追いつかれたが、最後の登板で田中を振り切れるか。優勝の決まった楽天が田中をどのように起用してくるか、タイトルにどこまでこだわらせるかにもよるが、金子側は狙ってくるはず。“全開”の金子のピッチングに期待。
■ライター・プロフィール
文=秋山健一郎(あきやま・けんいちろう)…1978年生まれ、東京都出身。編集者。担当書籍に『日本ハムに学ぶ勝てる組織づくりの教科書』(講談社プラスアルファ新書)、『プロ野球を統計学と客観分析で考えるセイバーメトリクスリポート1、2』(デルタ、水曜社)など。