「嬉し恥ずかし! キャンプ初体験物語」ランキング〜今週のキャンプ大賞:練習編
球春到来!2月1日に12球団一斉に始まったプロ野球キャンプ。このコーナーではそのキャンプで奮闘する選手たちを取り上げ、ランキング形式で紹介していきます。
第一回のテーマは「初体験」。プロ野球のキャンプ自体が全て初体験となるルーキーたちはもちろん、ベテラン選手たちも初めて体験したキャンプでの、主に練習時での出来事について、ランキングにしました。
黄金左腕伝説の幕開け!? 松井裕樹(楽天)が初ブルペン入り
キャンプ初日、報道陣160人を引き連れて、昨秋のドラフト会議で5球団が1位で競合した松井裕樹(楽天)がプルペン入り。「初体験」となる捕手を座らせての投げ込みでは35球を投じ、その素質の高さを証明してみせた。
2日目も65球を投げ、徐々に「大人の階段」を昇っている松井裕。しかし、投手陣ノックでは左右に振られた際に思わず横っ飛びし、コーチから「スライディング禁止!」と叱られる一幕も。高校時代は許されたプレーも、プロではご法度。このあたり、まだまだ勉強が続くだろう。
規格外ルーキー登場! 伊東監督絶賛の井上晴哉(ロッテ)
松井裕と同じく、ルーキーながらその存在感を見せたのが井上晴哉(ロッテ)だ。初日のフリー打撃では63スイング中30本の安打性の当たりを放ち、サク越えは3本記録。「初体験」のプロのキャンプでも度胸があるところを披露した。
体重114キロと、日本人選手では最重量体重を誇る規格外のルーキーに、伊東勤監督も大きな期待を寄せている。「話題もあるし使っていきたい」とコメント。ギリギリまで投球を引きつけ、見逃すだろうと思ったら急にバットが出てくる打撃は、あの「ゴジラ」松井秀喜氏(元巨人ほか)を彷彿とさせ、評価は急上昇中だ。
打撃投手が国民栄誉賞受賞者! 坂本勇人(巨人)
その松井秀喜氏は巨人の臨時コーチとして宮崎でキャンプを行う期間のみ帯同することになっており、12年ぶりに宮崎に帰ってきたことも、今キャンプの大きな話題だ。ここ数年、キャンプ初日の12球団の観客動員数はソフトバンクが最も多かった。しかし、松井凱旋効果もあり、今年は巨人がNo.1に返り咲いたという。
そんな巨人のキャンプで「初体験」したのは坂本勇人(巨人)だ。なんといっても、国民栄誉賞受賞者でもある大先輩・松井秀喜臨時コーチを打撃投手に打ち込むとは、夢にも思っていなかっただろう。しかし、そこは物怖じせず、気持ち良さそうに打球を飛ばす坂本。101スイングでサク越え12本を放った。厳しいインコースの球に対して、巧く腕を畳み体の回転を利用して、レフトポール際に打ち込む坂本独自の打法は健在で、松井臨時コーチも唸るほどだった。
キャンプの目標は「友達づくり」の尚成(DeNA)
コロラド・ロッキーズからDeNA入りした高橋尚成は、登録名を「尚成」に変更。 巨人時代は宮崎でキャンプを行っていたため、沖縄でのキャンプは初めて。しかも5年ぶりの日本球界復帰で、チームメイトはおろか対戦相手も「顔と名前が一致しない」とのこと。
今キャンプの目標を聞かれると「まずは友達をつくるのが目標」と、余裕のコメント。初日からブルペン入りして背番号と同じ47球を投げるなど、ベテランらしい調整を続けている。MLB帰りのベテラン左腕は、キャンプでの「初体験」を満喫しているようだ。
兼任でもしっかりフルメニュー消化! 谷繁元信(中日)
キャンプ初日、やはりインパクトがあったのは谷繁元信プレーイングマネージャーだろう。選手としてハードなトレーニングをこなしつつ、新監督としても始動。「初体験」づくしの1日だった。
まずは監督専用の乗用車で球場入りし、写真撮影などを済ませた後は、選手としてウォーミングアップ。キャッチボールの相手にドラフト3位の桂依央利(かつら・いおり)を指名し、緊張する桂を指導しながら肩を作った。その後、ブルペンでは自ら球を受けることによって、投手陣の状態を確認。ブルペンからグラウンドに戻ると、フリー打撃と走塁練習を行いながら、監督らしく新外国人の打撃をチェック。続いて、打撃ケージ裏でじっくり若手のスイングに目を光らせ、最後は選手に戻り、球場内の5キロ走を完走。スタンドからは拍手も起こった。
そして、マッサージなどで体のケアを施した後は監督としてテレビ出演もこなし、18時前に宿舎に戻ったという。ヤクルトの古田敦也以来7年ぶりのプレーイングマネージャーのキャンプ初日は、選手としても監督としても精力的に過ごした1日となった。
■ライター・プロフィール
鈴木雷人(すずき・らいと)/会社勤めの傍ら、大好きな野球を中心とした雑食系物書きとして活動中。"ファン目線を大切に"をモットーに、プロアマ問わず野球を追いかけている。Twitterは
@suzukiwrite