虎の真のチームリーダー・鳥谷敬(阪神)の背中が雄弁に物語ること。一つひとつを積み重ねる誇り。
鳥谷敬(阪神)の黒いフェースガードがまぶしく、カッコよく目に留まった。
それは、復刻版のブラックユニフォームとやけにマッチしていて、何事にもめげずに立ち向かっていく鳥谷の強さが、子どもたちのヒーローである仮面ライダーのような存在を想像させ、カッコよく見せていたのだろう。
しかし、フェースガードに隠れた顔面は鼻のあたりを中心に酷く腫れ上がっており、本当なら試合になど出られる状態ではないことを物語っていた。
5月25日、甲子園球場での巨人戦。あの痛々しい死球の翌日。6回裏に代打で登場した鳥谷の姿に、スタンドのファンはまずは驚いた。そして誰もが安堵を覚え、拍手で鳥谷を迎えた。
このとき、恐怖心と戦いながら、必死でボールに喰らいつく姿に涙したファンも多い。
鳥谷は派手なパフォーマンスでチームメイトやファンにアピールするタイプではない。ただ、この打席の鳥谷を見て、ファンはファンであることを誇らしく思い、ファンでなくとも勇気づけられた人が多いのではないだろうか。