白熱する大学野球のリーグ戦優勝争いに決着が!そして、ついに大谷翔平・二刀流デビュー!…今週の野球みどころランキング[5月28日(火)〜6月3日(月)]
『今週の野球みどころランキング』は、5月第5週はじめの時点で注目度の高まっている野球関連の話題について紹介していきます。
最後には今後の簡単な野球界のスケジュールを添えていますので、重要事項はチェックしておいてください!
浦学公式戦14連勝で春締め
―――高校野球
「センバツ優勝」の浦和学院より、松井裕樹(桐光学園)にスポットが当たっていた関東大会(5月18日〜22日)。だが、「オレらを忘れてもらっちゃ困る」とばかりに浦和学院が、桐光学園(松井は登板せず)を破った前橋育英を4−0で下し3年ぶり4回目の優勝を遂げた。これでセンバツ、春季県大会および関東大会と負け知らずの14連勝。今夏に春夏連覇の期待がかかる。
松井は初戦の花咲徳栄戦に登板し延長12回168球を投げを6安打3失点の12奪三振で抑え勝ったものの、その球数も考慮されてか翌日の前橋育英戦は登板を回避し、チームは5−8で敗退。「球数を減らさないと」と松井は夏に向けての課題を挙げた。
また、この週末に熊本県で行われた招待試合(26日、vs熊本工)でも7回に9−0で桐光学園リードのコールド勝ち直前に登板し、三者三振に斬ってとった。今週末は久留米商などと試合を行う予定となっているが、27日に九州、四国、中国地方で梅雨入りが発表された。試合は開催されるのだろうか…。
東海大会(5月24日〜26日)ではセンバツ16強の常葉菊川が意外にも初優勝。1回戦・準決勝と快勝で勝ち上がり、決勝では県大会決勝と同じ静岡が相手となったが、県大会同様、常葉菊川が勝利した。
近畿大会(5月25日、26日、6月1日、6月2日)では1回戦が行われ、智辯学園、神戸国際大付、鳥羽、履正社の4校が今週末に行われる準決勝に駒を進めた。故・尾藤公元監督の長男・尾藤強監督が率いる箕島は智辯学園に惜しくもサヨナラ負け。
また今週末は北信越大会、中国大会が開幕し、現在、連日試合が行われている北海道大会は6月2日に決勝が行われる予定となっている。
選手権出場校が続々と決まる!
―――大学野球
東京六大学リーグでは法政大が全勝優勝を狙うも対明治大2回戦が引き分けに終わり、3回戦は3-6で敗れたため、明治大に逆王手をかけられた。28日の明治大vs法政大4回戦の勝者が今季の優勝校となる。
関西六大学リーグでは京都産業大が全チームから勝ち点を奪う完全優勝。ドラフト候補左腕・岩橋慶侍がチーム10勝のうち8勝を稼ぐ快投で平野佳寿(現オリックス)を擁して出場した2005年以来の全日本大学野球選手権出場を決めた。
また関西のドラフト候補左腕と言えば、京都学園大の白濱尚貴が5勝目を挙げ、チームも京滋大学リーグを3季連続10度目の優勝を決めた。優勝を決めた対佛教大3回戦は1点ビハインドの8回から登板したものの3失点。佛教大にリードを広げられてしまったが、その後チームは逆転でサヨナラ勝ち。「持ってるというか、持たせてもらっている」と嬉し涙を見せた。
右腕でのドラフト候補といえば真っ先に挙げられるのが九州共立大の大瀬良大地。しかし主将も任された今春は福岡六大学リーグで自身も2敗し、チームも福岡工業大に勝ち点を落とすなど3敗してしまった。しかし、福岡工業大が福岡教育大に2連敗したことで、最終カードの九州共立大と九州産業大の試合で、どちらの大学も2連勝すれば優勝の可能性が土壇場で復活したが、27日の試合終了時で1勝1敗1分となり、福岡工業大の優勝が決まった。
また昨秋、明治神宮大会の国際武道大戦で1年生ながらノーヒットノーランを演じた富士大の多和田真三郎は、負ければ優勝がなくなるは八戸学院大(今春、八戸大から改称)戦で連投し連勝。6月1日に同じく八戸学院大と行われる北東北大学リーグ優勝決定戦に持ち込んだ。同じ富士大には今秋のドラフト候補で大学日本代表でも中軸を打つ山川穂高もおり、この優勝決定戦の行方は気になるところだ。
他のリーグでは九州六大学リーグでドラフト候補捕手の梅野隆太郎擁する福岡大が、阪神大学リーグでは元近鉄・中村良二監督率いる天理大が、神奈川大学リーグでは昨秋の明治神宮大会で初優勝した桐蔭横浜大がそれぞれ優勝を決め、全日本大学野球選手権に駒を進めた。
他にも道都大(札幌学生リーグ)、東農大北海道オホーツク(北海道学生リーグ)、近大工学部(広島六大学リーグ)、中部学院大(東海地区大学選手権)が全日本大学野球選手権出場(6月11日〜)を決めた。
東都大学リーグでは駒澤大が優勝に王手をかけながらも、國學院大の技巧派左腕・柿田竜吾に自慢の打線が沈黙してしまい、優勝ならず。
これにより最終週(5月29日〜?)の亜細亜大対中央大戦で亜細亜大が連勝で勝ち点を挙げれば4季連続優勝、2勝1敗なら駒澤大と優勝決定戦、勝ち点を落とせば駒澤大の優勝となる。
川?宗則がサヨナラヒット!
―――MLB
エンゼルスのマイク・トラウトが21日のマリナーズ戦でサイクルヒットを達成。21歳と288日での達成は、アレックス・ロドリゲス(当時マリナーズ)の21歳313日を更新するア・リーグ最年少記録となった。
日本人野手ではヤンキースのイチローはいまだ打率.244(26日現在)と調子は上がらないものの、守備では美技を見せている。また同僚グランダーソンの骨折で出場機会は増える見込み。
そのイチローを追ってメジャーに挑戦した川?宗則(ブルージェイズ)は26日に行われたオリオールズ戦で8回に追撃のタイムリーを放つと、9回二死一、三塁で左中間を破る逆転サヨナラ2点タイムリーツーベースを放ち、6−5の勝利に導いた。
岩隈久志(マリナーズ)は20日のインディアンズ戦で今季最多の5失点(勝敗はつかず)も、26日のレンジャーズ戦で8回2失点の好投。勝ち星は付かなかったものの、チームの連敗ストップに大きく貢献した。
ダルビッシュ有(レンジャーズ)は21日のアスレチックス戦に登板も6回1失点で負け投手。投球数101球だったこともあり、ワシントン監督に続投志願したものの、却下された。前回登板で、球数について騒がれた(大差が開いたが8回で130球前後投げたことでメディアやファンによる監督批判が相次いだ)せいで、監督が傷つき投げさせてもらえなかったと愚痴をこぼした。
無念の降板でいうと黒田博樹も、22日のオリオールズ戦で先発したものの、初回に3失点し、2回には打球が右ふくらはぎに直撃。いったん続投したものの、走者2人を出した3回途中で降板。5失点で3敗目となった。
中継ぎではレッドソックスの上原浩治が24日のインディアンズ戦で1回を無失点の抑え、これで7試合連続無失点。また無失点でリリーフ終えた後にベンチで行なうハイタッチが「激しすぎる」とアメリカのメディアで話題になった。
同じくレッドソックスの田澤純一は、クローザーのベイリーがDL(故障者リスト)から復帰したため、セットアッパーに戻った。25日のインディアンズ戦で1点ビハインドの8回に登板し、1回を無安打無失点2奪三振で抑えると、直後に味方が逆転し、今季4勝目を挙げた。
谷繁の次なる大記録
―――NPB
開幕から49試合。いまだ4割以上の打率をキープする中日の新外国人ヘクター・ルナ。25日の西武戦で連続試合安打は23で止まったものの、翌26日の西武戦で2安打。現在打率.407と絶好調をキープしている。
その26日の西武戦で決勝の犠牲フライを放ち、お立ち台に上がった中日・谷繁元信。これで通算打点を999とし、通算1000打点まであと1と迫った。ヒーローインタビュー中には「盗塁を刺せ!」とファンから野次られるも「もっと野次ってください。野次があった方が、僕は燃えるんで」と指揮官を反面教師に? とばかりに、サラリとかわす余裕も見せた。
パ・リーグでは各チームの主軸が好調をキープ。
まず首位のロッテは井口資仁が3試合連続本塁打など、5月絶好調。4月16日の日本ハム戦から守備の負担が軽い一塁に転向して以降の打率は3割台半ばと高打率をキープしており、伊東勤監督のコンバートが功を奏しているよう。
一方、いまだ5位ではあるオリックスだが、交流戦では単独首位(28日試合前の時点)と好調。中でも絶好調なのが糸井嘉男だ。
3日のロッテ戦で右ひざ靭帯損傷をしたものの、むしろその後どんどんと調子を上げており、先週の対中日2連戦では連発、対巨人戦でも2試合で3打点の活躍を見せた。指名打者の出場から本職の中堅への復帰も果たしており、オリックスの上位進出に攻守で欠かせない存在となっていくのは間違いないだろう。
1998年夏の高校野球鹿児島県大会決勝と同じ杉内―木佐貫の投げ合いが20日の巨人vs日本ハム戦で実現。当時川内高校のエースとして、鹿児島実・杉内俊哉(巨人)に敗れ、涙を飲んだ木佐貫洋(日本ハム)が15年越しの雪辱となる勝利投手に。これで、巨人に勝利した木佐貫は12球団すべてから勝ち星を挙げた。
同世代対決でいえば楽天の田中将大が巨人の澤村拓一との同期対決に投げ勝ち、1988年生まれの投手との対決10連勝。同じく同期の坂本勇人との対決に関しても、意識して抑えにかかったと試合後に語った。これで田中は、2009年に並ぶ自身最多の開幕7連勝で、昨季からの連勝は11に伸びた。
同じく楽天の聖澤諒が25日の広島戦で659連続守備機会無失策のパ・リーグ新記録を更新した。(26日広島戦も無失策)この記録は果たしてどこまで続くのか。
大谷翔平、投手デビュー、野手としては藤浪とプロ初対決
―――NPB
二刀流ルーキー大谷翔平(日本ハム)がついに“投手”デビュー。23日のヤクルト戦で先発、MAX157キロを記録するなどその片鱗を見せたが、5回2失点で1点リードを許した状態で降板。しかし、中田翔の2ランで日本ハムが引き分けに持ち込み、大谷の黒星を消した。
また26日に甲子園球場で行われた阪神戦では、1年前のセンバツで対戦した藤浪晋太郎と初対決。センバツでは大谷の3打数1安打(本塁打)1打点1四球だったが、今回は4打数2安打。1年前に続き大谷に軍配が上がったと言っていいが、チームとしては1年前と同じく藤浪が勝利した。
観客動員では木曜日のヤクルト戦が3万6608人で今季の札幌ドームの平日最多動員記録を、日曜日の阪神戦では甲子園球場今季最多の4万6512人の観客動員を記録。
二刀流自体の賛否や投手派・打者派に評論家陣やファンの意見は分かれるが、やはりこれだけの素質と話題を持った選手は早々いないと、世間に痛感させた1週間だった。
■プロフィール
文=高木遊(たかぎ・ゆう)/1988年、東京都出身。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。昨年は東都大学野球春・秋1部全試合を取材。大学野球を中心に、アイスホッケー、ラグビー、ボクシングなども取材領域とする。高木遊の
『熱闘通信』随時更新中(http://www.plus-blog.sportsnavi.com/buaka/)
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<<野球界の主なスケジュール>>
女子プロ野球関連
6月1,2日 『ティアラカップ茨城大会』@坂東市岩井球場 1、2日ともに第1試合は11時試合開始、第2試合は13時半試合開始予定
アマチュア野球スケジュール
4月下旬〜6月上旬 春季高校野球地区大会
◎九州大会(サンマリンスタジアム宮崎)優勝校:久留米商(福岡)
◎四国大会(オロナミンCスタジアムほか)優勝校:尽誠学園(香川)
◎関東大会(宇都宮清原球場ほか)優勝校:浦和学院(埼玉)
◎東海大会(四日市市営霞ヶ浦球場ほか)優勝校:常葉学園菊川(静岡)
開幕/6月1,2日(ともに土、日):近畿大会(佐藤薬品スタジアム)
開幕〜6月2日までの予定:北海道大会(札幌円山球場)
6月1日(土)から3日間:中国大会(松江市営野球場)
6月1日(土)から4日間:北信越大会(石川県立野球場ほか)
6月6日(木)から5日間:東北大会(荘内銀行・日新製薬スタジアムほか)
大学野球・各リーグ終盤戦へ!
6月11日(火)から6日間:第62回全日本大学野球選手権大会
6月21日(金)〜23日(日):大学日本代表選考合宿 (平塚球場)
【23日に大学日本代表選手発表】
6月30日(日)〜7月5日(金):大学日本代表[直前強化合宿]
7月6日(土)から:第39回日米大学野球選手権大会
▽大会日程
[第1戦]7月 6日(土)午後2時【松山坊っちゃんスタジアム】
[第2戦]7月 7日(日)午後2時【松山坊っちゃんスタジアム】
[第3戦]7月 8日(月)午後6時【マツダZoom-Zoomスタジアム広島】
[第4戦]7月10日(水)午後6時【宇都宮清原球場】
[第5戦]7月11日(木)午後6時【明治神宮野球場】
[予備日]7月12日(金) 【明治神宮野球場】
第84回 都市対抗野球大会・2次予選大会一覧
開幕 31日・6月1日 :西関東予選(横浜スタジアム)
開幕〜30日・6月1日〜7日:近畿地区予選(わかさスタジアム京都・明石トーカロ・舞洲・京セラドーム )
開幕〜17日間(6月5日までの予定) :東海地区予選(岡崎市民)
開幕〜29日・6月1日〜4日 :東京都予選(大田スタジアム)
5月29日〜5日間 :北関東予選(日立市民運動公園)
5月31日〜6日間 :東北地区予選(弘前市営・青森県営球場)
6月1日〜2日間:四国地区予選(香川レクザムスタジアム)
6月1日〜3日・5日〜8日:中国地区予選(倉敷マスカットスタジアム・倉敷市営)
6月1日〜8日間 :九州地区予選(長崎県営・市営かきどまり)
6月4日〜5日間:南関東予選(QVCマリンフィールド・ゼットエー・ボールパーク(市原臨海球場))
6月6日〜5日間:北信越地区予選(長野オリンピックスタジアム・長野県営)
6月7日〜3日間:北海道予選(札幌市営円山球場)