日米野球開幕!注目メジャーリーガーランキング
日米野球が10日より始まり、親善試合などを含めると7試合が行われる。今回のメジャー選抜“MLBオールスターズ”は、野手を中心に大物選手が集まったといえる。パワーヒッターは多くはないが、攻守のバランスが取れた選手たちが多く、締まった試合が期待できそうだ。今回はそんな日米野球の注目ポイントをランキングでお届けしよう!
カノ&アルテューベvs山田哲人&菊池涼介
――打てる二塁手対決
今回の日米野球でネームバリューと話題性で抜け出ているのは、ロビンソン・カノ(マリナーズ)とホセ・アルテューベ(アストロズ)だろう。
カノは言わずと知れたメジャーを代表する強打の二塁手。アルテューベは身長165センチという体格ながら、今季アメリカン・リーグで首位打者を獲得する偉業を成し遂げた。両者はともに二塁手。日米問わず二塁手は、強打の選手が確保しにくいポジションだが、そこでトップクラスの打撃を見せた所に希少性がある。
打撃のスタイルとしては、長打力で警戒させ四球も選んでいけるカノと、四球を選ぶよりも積極的に打っていき、足で二塁打を稼ぐアルテューベという違いがある。出塁率、長打率はほぼ同じだが、その内容はかなり違う。
守備は2人とも二塁手の中ではあまり目立たないようだが、カノのほうが良い。スタッツ的にはアルテューベは守備範囲に難を抱えている様子がある。
カノとアルテューベの打撃スタイルの違いは、今季日本人の二塁手像を変えうる攻撃力を見せた山田哲人(ヤクルト)と菊池涼介(広島)に少し似ている。
長打力を見せた山田はカノ、四球を選ばず打っていき二塁打や盗塁で存在感を見せた菊池は守備の良いアルテューベのようでもある。なお、小柄に見える菊池の身長は171センチでアルテューベより6センチ高い。
▲ホセ・アルテューベ(アストロズ)[イラスト:横山英史]
エバン・ロンゴリア(レイズ)
――科学的な成績予測で太鼓判。ロンゴリアは何が違うのか
タンパベイ・レイズの顔、三塁手のエバン・ロンゴリアは新人王、ゴールド・グラブ賞やシルバースラッガー賞などの獲得歴がある。オールスターゲームにも出場した、まぎれもないスター選手。今回のチームでも目玉の1人だろう。
ロンゴリアは2年目の2008年にメジャーデビューすると、その1週間後に1750万ドル(約17億5000万円)で6年契約を結んだことでも知られている。レイズは2012年に契約を結び直し、ロンゴリアと1億3600万ドル(約112億円)で2013年から2022年までの契約を結んでいる。
メジャーのスター選手の契約における高額年俸に驚くことは減ってきたが、ロンゴリアは、まだ実績がないうちに長期契約を結んだことで、当時、珍しかった。
契約はロンゴリアをなんとしてでも、つなぎ止めるために無根拠に結ばれたものではないという。レイズは金融界出身のオーナーグループによって経営されており、編成にも高度な分析を活用してきた。過去MLBでプレーしてきたロンゴリアと似たタイプの選手のキャリアなどを用いた科学的な成績予測に基づいて、「ロンゴリアは長期的に球団にメリットをもたらし続ける」と判断し契約を結んでいると言われている。
数字にこだわるフロントの眼鏡にかなった、未来を約束された男は他の選手といったい何が違うのか。グラウンドでの一挙手一投足はもちろん、グラウンド外での行動にも注目したい。
アルシデス・エスコバル(ロイヤルズ)
――エスコバルを観てつかみたい、ショートの守備の世界基準
アルシデス・エスコバル(ロイヤルズ)は、青木宣親とともにワールドシリーズに出場し俊足を披露。この1年間で、日本でも認知度を高めたのではなかろうか。
エスコバルについては守備に注目し、メジャーにおける「ショートのレギュラー」レベルの基準をつかみたい。エスコバルの守備を、ショートの守備範囲の打球をどの程度処理したかに基づく評価方法でチェックすると、700イニング以上を守ったショートの中では27人中7番目の記録を残しており、今季の数字は中の上のレベル。昨季はきわどい打球をよく処理し、メジャーでもトップクラスの成績を残していた。
人工芝でのプレーとなるのが残念だが、メジャーの舞台でレギュラーを張る選手の守備は、日本人内野手とどこが違うのか? 日本人が追随できる部分はあるのかを確認するチャンスだ。
このオフには鳥谷敬(阪神)の挑戦が噂されるが、ここ数年の日本人の苦戦や年齢を理由に、行く前から守備は通用しないのではないかという声も聞く。可能であれば球場で観戦して先入観をリフレッシュしたいところ。
侍ジャパン側は今宮健太(ソフトバンク)、坂本勇人(巨人)といった両リーグのゴールデングラブ賞受賞者を中心に交互に同じポジションを守ることになるので、比較しやすいかもしれない。
ヤシエル・プイグ(ドジャース)
――やっぱり楽しみなメジャーの豪快なプレー
ヤシエル・プイグ(ドジャース)の身体能力を生かしたプレーや、MLBで2位となる37本塁打を記録したクリス・カーター(アストロズ)の三振を恐れないスイングなど“メジャーらしい”プレーはやっぱり注目ポイント。
ジョン・ファレル監督(レッドソックス)
――日本人と縁のあるコーチングスタッフは、侍ジャパンにどんなコメントを?
上原浩治を重用するジョン・ファレル(レッドソックス)。松坂大輔と世界一を成し遂げたテリー・フランコナ(インディアンス)。ダルビッシュ有をよく知るマイク・マダックス(レンジャーズ)らコーチングスタッフは、期間中どんな発信をするかも興味深い。
さて、話題となる日米野球ですが、今週の
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■プロフィール
文=秋山健一郎(あきやま・けんいちろう)/1978年生まれ、東京都出身。編集者。編集書籍に『日本ハムに学ぶ勝てる組織づくりの教科書』(講談社プラスアルファ新書)、『プロ野球を統計学と客観分析で考えるセイバーメトリクスリポート1〜3』(デルタ、水曜社)など。