桐蔭横浜大野球部の齊藤博久監督がゲスト!第6回TOHKEN〜東都大学リーグ野球観戦研究会
今回は東都大学リーグの開幕を1週間後(9月3日)に控えた8月27日に行われた『第6回TOHKEN〜東都大学リーグ野球観戦研究会』の模様の一部をお伝えいたします。
◎レギュラー出演者
菊地選手(『野球部あるある』著者・『野球太郎』副編集長)
山田沙希子(東都大学野球命!の女性ライター)
高木遊(東都ウォッチャー・ライター)
◎ゲスト
齊藤博久監督(桐蔭横浜大/日本大OB)
まずは、毎回恒例となっている高木・山田両氏による春の順位予想検証と結果から。
それぞれ印象的だった事柄を挙げてもらいました。
山田「亜細亜大vs駒澤大の1回戦ですね。駒澤大の西村亮監督は『この試合で亜細亜を勢いづけてしまった』と話していらっしゃいました。駒澤1点リードの9回に逆転された試合なんですが、スクイズを外した場面で捕手がそれをパスボールしてしまい同点になってしまったので。その場面を振り返って、『あそこは普段から(9回から抑えとして登板した)片山雄貴(3年・福工大城東高)とコンビを組んでいる高橋亮介(3年・埼玉栄高)に捕手を代えておくべきだった』と後悔されておりました」
高木「わずかに4位と5位の差ではありますが、拓殖大を見くびっていました。名将・内田俊雄監督の采配が見事でした。おそらく内田監督は現状を見て、目標を“1部昇格”に絞っていたと思うんです。だからリーグ戦序盤はエースの佃勇典(4年・広島商高)を、あえて抑えに回して、他の投手と打線が成長した中盤以降は佃を先発に回し、亜細亜大から勝ち点も奪うなど、安定した戦いを見せました」
▲佃勇典(拓殖大)
監督たちの采配による選択が、結果を大きく分けるという「戦国東都」ならではの印象を共に語る両氏。
そして今秋の予想。
高木「順当に行けば秋も亜細亜大、國學院大を中心とした優勝争いになるはずですから当たらないと思います(笑)。でも、この予想のように下克上が起きないと“戦国東都”じゃないと思うんです。そういう期待も込めました。拓殖大は好投しながら未だ勝利なしの宮城慎之介くん(4年・滋賀学園高)に勝利が付き、他の4年生たちにも火がつけば大躍進の可能性があります。あとやっぱり中央大は、島袋洋奨くん(4年・興南高)に復活してもらいたいので」
山田「國學院大の評価が他のチームの方から凄く高いんです。“國學院は強い!”と。あと駒澤大は1位にしようかと迷ったぐらいです。今永昇太くん(3年・北筑高)は相手がなかなか打てないと思うんですよね。長丁場のリーグ戦としてどうか、というのはあるのですが、1シーズン通して活躍する能力はもう持っていておかしくないので。あとは拓殖大が、というか内田監督が不気味ですね。やることやること当たるので」
▲今永昇太(駒澤大)
齊藤監督「お二方の亜細亜4位の予想は意外でした。亜細亜大の強さは生田監督の良い意味での徹底した“しつこさ”なんですよね。だから“打倒・亜細亜”で他校が向かっていけば、リーグはすごく盛り上がるんじゃないかと思いますね」
一方、2部の優勝予想は山田氏が東洋大、高木氏が立正大を挙げた。
高木「立正大は完投できる投手3人(沼田優雅、高橋史典、黒木優太)といて、打者には2部ではもったいないほどの好打者・本間諒くん(4年・関東一高)がいるので、戦力的には少し抜けているかなと思います」
山田「東洋大は鈴木直志くん(4年・東亜学園高)や手術明けの原樹理くん(3年・東洋大姫路高)が良い投球をしていました。飯田晴海くん(1年・常総学院高)、阿部良亮くん(4年・浦和学院高)と経験豊富な投手陣が揃っているので、あとは打つ方かなと思います」
第2部では桐蔭横浜大の齊藤博久監督によるお話。
創部間もない桐蔭横浜大の躍進の理由や日本大での学生コーチ時代に学んだ経験など、出し惜しみなく語ってくださいました。ここではその中から、出席者からの質疑応答の一部をお送りします。
Q.高校生と大学生を指導するにあたっての違いはありますか?
※齊藤監督は水戸短大付高(現水戸啓明高)の監督としてもセンバツ出場経験あり
A.大学生は高校生より大人なので、やりやすさがあると思います。「大学生は生意気で大変でしょう?」と言われることもありますが、僕は、彼らの高校までやってきた野球を絶対に否定しませんし、大人なのでチームの方針をしっかり理解させて、各々に役割を与えればチームのために動いてくれますね。だから、僕は補欠の子たちの方に目を向けるようにしています。僕は、これが遠回りのように見えて近道なんじゃないかなと思っています。
Q.高校野球に比べて圧倒的情報量も少ない現状はありますが、大学野球の位置づけや理想はございますか?
A.僕は、大学野球はもっと取り上げられてもいいと思うし、選手たちにも「大学までやらせてもらっているんだから」という話はよくしますね。あとは、優勝を目指すだけでは優勝した、という思い出しか残らない。だけど、「優勝したからこそ発信できることがある。世の中にその時に何を残せるか、伝えるかを考えよう」というのは大事にしていますね。だから、大学野球は高校野球以上にしっかりとしたことを、やらないといけないと思うし、僕は、大学野球で人を感動させたいですから。そうやるからにはしっかりと責任を持って活動していかないといけないと思います。
ここでは書ききれなかったことは、今後の桐蔭横浜大の躍進とともに、またお伝えできればと思います。
この連載では、山田沙希子さんと高木遊さんが隔週で担当し、東都大学リーグを中心に大学野球の気になった「あの選手」、「あの監督」、「あの出来事」などを紹介していきます。
秋季リーグもどうぞよろしくお願いいたします!
■プロフィール
文=高木遊(たかぎ・ゆう)/1988年、東京都出身。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。昨年は東都大学野球春・秋1部全試合を取材。大学野球を中心に、アイスホッケー、ラグビー、ボクシングなども取材領域とする。高木遊の
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