【2015夏の高校野球】《岡山観戦ガイド》有望選手と大会展望&勢力ピラミッド

2015/7/6

7月11日〜25日（マスカットスタジアムほか）

150キロ右腕・高田萌生の実力に注目
関西・平野などショートにタレント揃う

●快速右腕の萌え出づる春

　今年1月、真冬のブルペンで150キロをマークした高田萌生（創志学園）が一冬を越えて萌え出づる春を迎えた。冬場の下半身強化で体重も昨秋より5キロアップ。さらに実戦で序盤の入りと後半のギアチェンジを確立したことで、マウンド上での雰囲気が変わってきた。関西など難敵を次々と投げ倒した実力は本物だ。

　今春の中国大会目前で涙を飲んだが、変則左腕・市川直洋（関西）も面白い。ダイナミックなフォームからのピリッとした投球が持ち味で、先輩の児山祐斗（ヤクルト）を彷彿とさせる。敗れた創志学園戦も失点は初回のみと好投。変則でも柔と剛を併せ持つ逸材だ。

　センバツ出場の岡山理大付は、西山雅貴の復調が気がかりだが、代わって主戦を張った大熊崚雅、豪腕タイプの徳田夕希也も場数を踏んで厚みが出てきた。さらに興譲館の投手陣もすごみがある。強気に攻めまくる小畠空、将来性豊かな三宅和也の快速球コンビには、他校も厳重な警戒を示す。

　その他、合理的なフォームから最速138キロをマークする廣畑敦也（玉野光南）、今春の岡山南戦で公式戦初先発した武並泰秀（倉敷商）など、楽しみな右腕が名を連ねる。左腕では、センバツ帰りの岡山理大付を5安打完封した技巧派の守屋泰輔（玉島商）、今春にタイブレークを経験した実戦派の岩永啓汰（岡山東商）らが夏本番に向けて着々と準備している。

☆★☆ 打者編 ☆★☆

●遊撃手の三銃士

　晴れの国に有望な遊撃手の三銃士が現れた。昨夏の甲子園でも天才的な攻守を披露した平野晴也（関西）は、今春のおかやま山陽戦で延長戦に決着をつける魂の一打を披露。全国的には無名だが、明徳義塾中時代に核弾頭として活躍した中村聖斗（興譲館）がここにきて急浮上。高いポテンシャルがいよいよ開花しつつあり、注目を浴びている。さらにセンバツでも傑出した守備力を披露した森田将裕（岡山理大付）も存在感があり、ともにド派手な活躍こそないが、三者三様の進化でただ者ならぬ雰囲気を漂わせている。

　毎年タレントを揃える関西は、平野の他にも50メートル走5秒後半の韋駄天・市原脩平、バズーカ級の猛送球で走者を釘付けにさせる捕手の海野隆司、勝負強い打撃に定評がある井上涼介ら、今年も強力な布陣を誇る。

　倉敷商の怪力コンビは岡山南戦で本塁打を競演。初回に通算13本弾を放った主砲の塩見颯に続けと核弾頭の川上訓太朗も左翼へぶち込み、観客の度肝を抜いた。

　その他、1年夏からスタメンを張る田中佑樹（興譲館）、懐の深い打撃が光る岩本慎太郎（金光学園）、投打に活躍する台湾からの留学生・許柏彦（岡山県共生）、旧チームから打棒さく裂の喜納智志（岡山学芸館）など、ハードパンチャーにも要注目だ。

☆★☆ 大会展望 ☆★☆

●上位7校を中心とした群雄割拠の戦い

　強力打線で春の岡山を制した倉敷商、好左腕・守屋泰輔を軸に粘り強さを発揮する玉島商、投打に力のある選手を揃える興譲館、最速150キロ右腕・高田萌生を擁する創志学園。今春の中国大会に出場したこの4強に加え、大舞台を経験した岡山理大付、タレント揃いの関西、怪腕・宮崎翔を擁する倉敷。この7校を中心に群雄割拠の戦いになりそうだ。さらに一昨年夏の代表校・玉野光南、今春は予選リーグで敗退した金光学園らも力があり、どこが抜け出してもおかしくない。