打球の行方にご注意ください!「痛い」だけじゃ済まない事故の数々
プロ野球は現在、交流戦の真っ最中。ここまで各球団は50試合程度を消化しているなか、残念ながら今シーズンも、試合中のプレーが引き金となり、選手たちがケガを発症するケースが起きてしまった。
最もショッキングだったのは、5月1日のイースタン・リーグ、巨人vs.ヤクルトでの出来事だ。西浦直亨(ヤクルト)の打球が、投げていた西村健太朗(巨人)の頭部を直撃。西村はそのままうつ伏せに倒れ込んでしまったのだ。
当たった場所が頭だけにトレーナー一同が即座にベンチを飛び出し、救急車を要請。頭から血を流しながら緊急搬送される、というショッキングな映像が全国ニュースに流れた。
その後が心配されたが、診断の結果、幸い骨折や脳内出血はなし。とはいえ、西村は頭部顔面打撲と右眼瞼部挫創(10針縫合)と診断される大ケガを負ってしまった。
そして先日、西村は5月30日のイースタン・リーグ、対日本ハム戦で復帰。懸念された後遺症も見せず、投ゴロも無難に処理し、5回5安打2失点で復調ぶりをアピールした。
今年、打球が直撃したといえば、丸毛謙一(オリックス)だ。守備練習に向かおうと外野へ向かっていったところ、打球が丸毛の左側頭部に直撃。ワンバウンドだったこともあり、痛がりはしたものの大丈夫だろう、と練習を続けた。しかし、気分が悪いと練習後に訴え、病院に向かったところ、「左側頭部急性硬膜外血腫」と診断され、緊急手術に。大事には至らず、2月中旬には退院した。2軍での出場はまだだが、全体練習にも復帰している。
練習中に打球が直撃したといえば、2年前のキャンプでの長谷川勇也(ソフトバンク)や、同じく2年前のシーズン中に大谷翔平(日本ハム)も当たっている。両者とも骨折で離脱したものの、復帰までは早かった。ちなみに、この年の長谷川は球団記録の198安打を放ち、最多安打と首位打者を獲得、本塁打も19本とキャリアハイの成績を残している。
打球が当たったことによる今年の話題といえば、あの判決だ。札幌ドームでの試合観戦中にファウルボールが右目に直撃し、失明してしまった女性が損害賠償を求めた裁判の第一審判決は、なんと球場の安全策を怠ったなどを理由に日本ハム(球団側)が敗訴となった。約4200万円の損害賠償を命じられた日本ハムは控訴し、今後も裁判は続いていく。プロ野球界に大きな波紋を呼んだこの判決には賛否両論がある。今後、どのような判決が言い渡されるか、野球ファンとして注目していきたい。
昨今、エンターテイメント性を打ち出し、野球場ではいろいろな楽しみがあると新しいファンを獲得しているものの、戦いの場でもある。硬式、軟式問わず、車よりも速いスピードが出るボールを扱う野球は、常に危険と隣り合わせ。プレーする側だけでなく、観客としても、ヒヤヒヤさせられるシーンと出合う可能性が常にあることを思い出させてくれた。