高校野球にも社会人野球にも劇的な展開が待っていた!気温以上に熱すぎる夏の戦いを見逃すな!
『今週の野球みどころランキング』は、7月末に注目度の高まっている野球関連の話題について紹介していきます。
元オリックスのカラバイヨが大爆発中! その猛打を見逃すな!
―――BCリーグ
『ルートインBCリーグ』で、とんでもない猛打を発揮している選手がいる。
それが群馬のフランシスコ・カラバイヨだ。2009年に四国・九州アイランドリーグ(当時)の高知在籍時に本塁打王となると、翌2010年にはBCリーグの群馬に移籍した。全72試合中、39試合の出場で15本塁打という成績(本塁打王を獲得)を残し、シーズン途中にオリックスへ入団。NPB初ヒットが本塁打など華々しいデビューだったが、ケガによりオリックスでは際立った成績を残せずに退団。2013年に復帰した群馬では再び本塁打王になっていた。
そんなカラバイヨは今季、なんと既に31本塁打!(7月28日現在)。わずか48試合で、この記録は驚愕の成績だ。本塁打数はどこまで伸びるのか、はたまた7月末の支配下登録期限までにNPB球団が獲得に乗り出すのか……。
岩瀬が400セーブ、井納が10勝1番乗り、デスパイネがまもなくデビューへ
―――NPB
岩瀬仁紀(中日)のセーブ数が、ついに「400」の大台に乗った。
26日に本拠地・ナゴヤドームで行われた巨人戦で3点リードの9回に登板。1点を失ったものの、最後は阿部慎之助を三振に斬ってとり、見事に通算400セーブを記録した。これはMLBでも5人しかいない大記録だ。また、入団以来の16年連続50試合にもあと20試合としている。
DeNA先発陣を支えている入団2年目の長身右腕・井納翔一は、25日のヤクルト戦に登板。6回を7安打1失点の好投で、今年のセ・リーグ一番乗りとなる10勝目を挙げた。DeNAでは2010年(当時は横浜ベイスターズ)の清水直行以来の2ケタ勝利投手。また、同球団の投手が「単独でセ・リーグ一番乗りの10勝目」を挙げたのは大洋ホエールズだった1985年の遠藤一彦以来となった。
ロッテに入団したキューバ代表の主軸選手、アルフレッド・デスパイネがついに、本拠地・QVCマリンフィールドで行われる29日の日本ハム戦でデビューする予定だ。24日の来日以降、二軍戦にすら出場していない“ぶっつけ本番”となるが、25日のフリー打撃ではスイング22本中7本の柵越えを放つなど、期待は高まっている。
イチローが今季第1号、松坂も故障者リスト入り
―――MLB
今年のオールスターゲームにも出場し、着実にメジャーでの実績を積み上げているレッドソックスの上原浩治は、27日のレイズ戦に登板。1点リードの9回に登板し、1安打無失点3三振で今季21セーブ目を挙げた。
これで日本時代に並ぶ276試合目のメジャーでの登板となった。勝ち星は既に5つ。この試合でも好リリーフを見せた田澤純一とともに、最下位に沈むチームで奮闘を続けている。
メッツの松坂大輔は26日、右ヒジに炎症があることが判明し、15日間の故障者リスト入り。右ヒジの炎症で安静を要する状態と医師に診断されたという。また、最低でも7日間はボールを投げられない見通しとなっている。松坂は24日のブルワーズ戦で中継ぎ登板した際に同箇所の違和感を訴え、25日に精密検査を受けていた。
ヤンキースのイチローは25日のブルージェイズ戦で13年連続2ケタ勝利の左腕、マーク・バーリーから今季初本塁打となる逆転3ランを放った。これでイチローは王貞治氏(巨人)らに並ぶ22年連続本塁打を記録した。
またこの試合に先発していたヤンキースの黒田博樹は、先輩の一発に奮起。3回までに4点を失ったが、イチローの逆転弾に「生き返った」と話し、5回2/3を8安打4失点に抑え、今季7勝目を挙げた。
タイブレークや大逆転劇、決勝戦は西濃運輸vs富士重工業に
―――社会人野球
東京ドームで熱戦が繰り広げられている社会人野球最高峰の大会『第85回都市対抗野球大会』はハイレベルで競った試合展開が多く、野球の魅力が濃縮された試合が続いている。
出場34チーム全てが出揃う最後のカード、JR西日本(広島市)vs Honda(狭山市)の一戦は、最後の最後にドラマが待っていた。
8回に3点を奪い逆転したHondaだが、9回、JR西日本に同点に追いつかれ、試合は延長戦へ。延長10回、11回にも決着はつかず、延長12回からタイブレーク(1死満塁の状態からプレーが始まる)に突入。12回は1点ずつを取り合い、まだ決着はつかずに迎えた延長13回。2点を奪われ、万事休すかと思われたHondaだったが、2死満塁1ボール2ストライクと追い込まれたところから阿部寿樹(明治大)が走者一掃のサヨナラ三塁打を放ち、Hondaが激勝した。
▲逆転サヨナラ勝ちに喜ぶHondaナイン[写真・山本晃子]
また3回戦の三菱日立パワーシステムズ横浜(横浜市)vs日本新薬(京都市)もタイブレークとなる12回に突入。最後はプロ注目の遊撃手・倉本寿彦(創価大)のセンター前安打で日本新薬がサヨナラ勝ちした。
そんな熱戦の続く都市対抗で準決勝まで勝ち上がったのは3連覇を狙うJX-ENEOS(横浜市)、3年ぶりの出場から一気に頂点を狙う西濃運輸(大垣市)、新人・横山弘樹(桐蔭横浜大)を中心とした投手陣好調のNTT東日本(東京都)、打線好調の富士重工業(太田市)の4チームとなった。
準決勝第1試合はJX-ENEOS先発・大塚椋司(聖望学園高)の不安定な立ち上がりを攻めた西濃運輸が序盤にリードを奪うと、先発の佐竹功年(早稲田大/トヨタ自動車からの補強選手)が1失点完投の好投を見せ快勝。JX-ENEOSの3連覇の夢はここで潰えた。
準決勝第2試合は、大学3年時に日本一を経験している富士重工業の新人・小野和博(桐蔭横浜大)が8回途中まで3失点と勝負強い投球を見せると、打線が奮起。竹田育央(明治大)、林稔幸(立正大)の本塁打などで9点を奪い、こちらも快勝で決勝に駒を進めた。
更新日29日に行われる決勝戦の模様は来週の『みどころランキング』で選手コメントなど含め詳しくお伝えします!
史上空前の大逆転劇、好投手の夏など
―――高校野球
「勝負は最後までわからない」
古くからそうは言うが、誰がこの結末を予想しただろうか。
夏の甲子園『第96回全国高校野球選手権大会』出場をかけた石川大会決勝で、まさかまさかの大逆転劇が起こった。
29年ぶりの出場を狙う小松大谷高に、0-8のビハインドを強いられていた昨夏の代表校・星稜高。だが9回裏、星稜高の攻撃。先頭で代打起用された主将の村中健哉が四球を選ぶと、打線がつながり、じわりじわりと追い上げ、エース・岩下大輝の2ランなどで8点差を追いつく。最後は佐竹海音がレフトオーバーのサヨナラタイムリー。9回に9点を奪って逆転する、劇的すぎる勝利で2年連続の甲子園切符を掴み取った。
新潟大会では、日本文理高が初出場を目指した関根学園高に追いつめられるも、9回裏に小太刀緒飛の逆転3ランでサヨナラ勝ち(スコアは4−2)。同校史上初の連覇で甲子園出場を決めた。
今大会No.1の注目を集めていた済美高の安樂智大は愛媛大会3回戦の東温戦で4点を失うと、味方の反撃も1点に終わり、ここで敗退。最後の夏を終えた。
また今春のセンバツで大きな注目を浴びた佐野日大高の左腕・田嶋大樹は栃木大会決勝で作新学院高に、昨夏の甲子園で優勝に導いた?橋光成を擁する前橋育英高は群馬大会3回戦で健大高崎高に敗れ、それぞれ姿を消した。
一方で、同じく大会前から好投手と目されてきた、松本裕樹(盛岡大付高)や飯塚悟史(日本文理高)、岸潤一郎(明徳義塾高)、山城大智(沖縄尚学高)らは各地方大会の激戦をくぐり抜け、甲子園出場を決めている。8月3日からの甲子園練習を経て、大会は8月9日から始まる。
■プロフィール
文=高木遊(たかぎ・ゆう)/1988年、東京都出身。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。昨年は東都大学野球春・秋1部全試合を取材。大学野球を中心に、アイスホッケー、ラグビー、ボクシングなども取材領域とする。高木遊の
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