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佐賀の有望選手、大会展望

7月15日〜21日(みどりの森県営球場ほか)

例年以上に優勝予想が困難な混戦模様に
投打のバランスで、龍谷が一歩リードする


投手編

▲酒井悠大(神埼清明)


経験豊富な左腕優勢

 清松紳也(龍谷)のストレートは、ズシリとした重厚感に満ちている。これに左投手特有の角度と抜群の制球力が加わり、最速140キロという数字以上の威力を発揮しているのだ。球速の出るカーブも大きな武器だが、もし抜いた球で緩急を覚えることができたら、県内では敵なしの存在になりそうだ。

その清松と中学時代からライバル関係にある酒井悠大(神埼清明)が続く。カーブ、スライダー、チェンジアップなどの変化球を自在に駆使し、2年前の1年生大会で優勝した好左腕。130キロ台中盤で推移するストレートも、水準以上のキレを誇る。

江頭悠介(佐賀学園)は、球速以上に重さを感じる球威が魅力。内外角フルコースを存分に突いていける制球力の高さに、豊かな将来性を感じる。

 福井一朗(佐賀北)は130キロ台中盤から時に140キロを弾くスピード系右腕だ。九州大会に出場した1年秋からマウンドを踏んでおり、経験に基づいた投球術にも目を見張るものがある。

 松石純弥(鳥栖)は、191センチという高身長の2年生右腕。現在は70キロとまだまだ線は細く投手としてのポテンシャルを眠らせたままだが、故・平野國隆監督が手塩にかけた最後の逸材。右の本格派としての大器だけに、今後1年間で一段と磨きをかけてほしい。

打者編

▲山田遥楓(佐賀工)


入り乱れる個性派選手たち

 山田遥楓(佐賀工)の守備力は素晴らしく高い。守備範囲、足元の強さに加え、ハンドリングワークが高いバランスで整い、投手としても140キロを記録する肩の強さは他を圧倒している。

竹之下滉生(佐賀学園)も安定した守備力だけでなく、打・走ともに高い次元で備わった万能型アスリートタイプ。中学時代にボーイズ九州代表に選ばれた素質の高さがある。

久野泰聖(龍谷)は目の覚めるようなヘッドスピードと飛距離を誇るハードパンチャー。捕手としての能力も高く、速く強い二塁送球も要チェック項目だ。

強肩強打の捕手なら力武慶一郎(伊万里)もマークしたい。強肩、ストップ技術の高さは久野に勝るとも劣らず、左右へ器用に打ち分ける柔軟性のある打撃も面白い。

プロ野球の1試合奪三振記録を持つ野田浩司(元オリックスほか)の甥にあたる野田智大(早稲田佐賀)は、冷静に試合の流れを読み解く観察眼が素晴らしい。

山内大誠(鳥栖)が、ここへきて本塁打を量産中だ。186センチ90キロという体格を生かせるようになってきた。

西村僚太(早稲田佐賀)は逆方向への長打が魅力で、俊足を生かした外野守備もスケール感たっぷりでいい。また、ヒットゾーンが圧倒的に広い山田一成(鹿島)のバットにも注目だ。

 松永龍憲、西村康太、納富圭太(いずれも神埼清明)の長短自在の打撃技術にも注目。昨年夏の甲子園に出場した有田工からは、甲子園でベンチ入りした原潤也の器用なバットコントロールと、金ヶ江勇気のパワフルなスイングをチェックしておきたい。

大会展望
龍谷先頭もリードはわずか


春優勝の龍谷が、投打のバランス、パワーで大混戦を抜け出しつつあるが、後続集団との差はわずかなものでしかない。今年の佐賀県の特徴は、優勝の可能性が高いチームが第2グループに集中していることだ。佐賀県では毎年のように、公立を中心とした有力校が団子状態で夏を迎えるが、今年はこのグループまでに私学3チームがランクイン。例年以上に優勝予想が困難な展開となっている。もちろん“3列目”からの飛び出しも、十分に考えられる状況だ。


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