因縁? 菌? 除霊失敗?……呪われたキャンプ離脱者たち
このコーナーでは、毎年行われるキャンプだからこそ生まれる、呪いとしかいいようのない不可思議な事象を取り上げ、考察していきたい。第1回はキャンプにつきものの「ケガ・離脱」にまつわるエプソードから。
●金子千尋・2月7日の呪い
毎年、「リタイア第一号は誰か?」とうがった見方もされる「キャンプ離脱者」。温暖な宮崎や沖縄、といってもまだまだ2月。きっちり体が仕上がっていないこの時期はケガや病気がつきものだ。だが、過去をさかのぼると、注意していても防ぎようがない、呪われたような離脱者も見つけることができる。
近年、印象的なのが、金子千尋(オリックス)をめぐる「2月7日の呪い」だ。昨年の2月7日は「急性胃腸炎」で、一昨年の2012年2月7日は「右ヒジの違和感」でブルペン投球を突如ストップ! そして2011年2月7日は「右ヒジの遊離軟骨除去手術」を行うことが決定した日だった。
昨年、楽天を日本一に導いた田中将大(現ヤンキース)の影に隠れながら、沢村賞の選考基準をすべてクリアするなど、パ・リーグを代表するエースといっても過言ではない金子。それだけに、因縁の日、ともいえる今年の2月7日にはどんな「波乱」が待ち構えているのかを注視しなければならない。
●つば九郎が持ち運んだ呪い?
契約交渉がまとまらずに「東京での自費キャンプ」となったのがヤクルトのマスコット・つば九郎。このニュースを一番喜んでいるのは、中日ナインかもしれない。
昨年の2月20日、中日の沖縄・北谷キャンプをつば九郎が訪ねた後に、ある事件が起きた。中日のマスコット・ドアラとのツーショットを撮り終え、つば九郎がキャンプ地を後にすると、山本昌が食あたり、荒木雅博がインフルエンザ、松井佑介が疲労による首の湿疹のため、それぞれ病院に送られることとなったのだ。幸い、いずれの選手もすぐに回復できる症状だったが、中日ファンからは「燕が菌を持ってきた!」と非難が集まる形となった。
今年も契約がまとまり次第、沖縄入りを宣言しているつば九郎。その動向にも注目すべきだろう。
●亀井善行の「除霊失敗」
毎年、ケガをしがちな選手といえば亀井善行(巨人)が思い浮かぶ。亀井自身にもその自覚があるようで、昨年のキャンプ前には地元・奈良の霊媒師を訪ね、お祓いを受けていた。そこで霊媒師から指摘されたのが、
「左肩に化け物がついている」という恐ろしい呪いの原因だった。
実際、体の左半身を痛めることが多かった亀井は、この「除霊」だけではなく、キャンプ前に名前を「義之」から「善行」に改名し、キャンプイン前日には絵馬に「健康」と書き込むなど、さまざまな願掛け・厄払いをしてキャンプに臨んだのだが……。その甲斐もなく、キャンプ2日目に左ふくらはぎ肉離れでリタイアすることに。亀井の左肩についているという化け物とは一体!?
今年のキャンプでは、臨時コーチとしてやってきた「ゴジラ」松井秀喜大先輩に打撃投手役を務めてもらい、直接アドバイスももらった亀井。除霊も願掛けも効かない「化け物」には、「化け物」をぶつけるしかないのかもしれない。
2014年キャンプでは、初日に巨人の岡崎郁2軍監督がインフルエンザで、ソフトバンクの?田知季がウィルス性胃腸炎で早くも離脱。新人組では阪神ドラフト2位の横田慎太郎が発熱のため安芸キャンプを離脱した。
彼らをはじめ、この後も続々と出てくるであろう「離脱者」たちが、その後、どのように復調していくのかを見守るのもキャンプ、シーズンの楽しみの1つ。実際、昨季も出遅れた亀井善行は、シーズンに入ると徐々に復調。日本シリーズではファインプレーで最も大会を沸かせた選手に送られる特別賞のベースボールヒーローズ賞を受賞した。呪いを払拭できた先には、大きな喜びも待っているはずだ。
「呪い」といえば……
2月17日に『別冊野球太郎 プロ野球[呪い]のハンドブック 2014球春号』が発売されます!
キャンプでの「呪い」もありますが、シーズンに入ると凡打、失策、暴投、連敗など、できれば目を伏せたくなるような“残念な記録”とたくさん出会います。
思えば野球とは失敗のスポーツです。イチローだって6割以上が凡打になりますし、贔屓チームが日本一になることなんて稀です。でも、だからこそ、僕らは応援してしまう。
この本は、このようなネガティブ面に注目することで、野球の見方の幅を広げ(つまり応援のポイントを提示して)、新しいプロ野球の魅力を発掘するものです。合計264ページの圧倒的ボリュームで、シーズン終了時まで手元に置いて楽しめるものになっています。
詳細は
『野球太郎』ホームページをご覧ください!
■ライター・プロフィール
オグマナオト/1977年生まれ、福島県出身。広告会社勤務の後、フリーライターに転身。
「エキレビ!」では野球関連本やスポーツ漫画の書評などスポーツネタを中心に執筆中。また
「幻冬舎WEBマガジン」で実況アナウンサーへのインタビュー企画を連載するなど、各種媒体にもインタビュー記事を寄稿している。ツイッター/
@oguman1977