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「松坂世代」は今? 打者たちは意外にバイプレーヤーが活躍中!

 打倒、松坂!……かつて、全国の高校球児がこのフレーズを胸に日々の練習に明け暮れた時代があった。松坂大輔(ソフトバンク)を打ち崩すことを目標として切磋琢磨し、それでも松坂が世代の頂点に、そして日本球界の頂点に君臨したからこそ、1980年度生まれの彼らは「松坂世代」と呼ばれ、一大勢力を築いたのだろう。

 9年ぶりとなる松坂大輔の日本球界復帰においては、そんなかつてのライバルたちとの対戦も楽しみのひとつ。今年ぜひとも対戦を期待したい松坂世代の野手の現在をおさらいしていこう。


◎村田修一(東福岡高→日本大→横浜→巨人)

 高校時代は投手として甲子園に出場。しかし、大舞台で松坂と投げ合ったことで投手しての限界を感じ、大学からは打者に専念した。

 横浜時代には2度、本塁打王のタイトルを獲得。2009年のWBCでは4番を務め、日本を代表する強打者となったが、2012年の巨人移籍後はつなぎ役になることも多い。また、好不調の波が激しく、毎年1度は原辰徳監督から制裁的な途中交代を命じられがちな一面も見せる。一方、守備では2013年、2014年と2年連続でゴールデングラブ賞を獲得。今でも替えのきかない選手であることは間違いない。

 来季は従来よりも軽めのバットでシーズンに挑む予定だという。本塁打よりも確実性を目指すバッティングへの転向はうまくいくのかどうか注目だ。
【通算成績:1589試合1527安打309本塁打945打点、打率.269】


◎東出輝裕(敦賀気比高→広島)

 走攻守、3拍子揃った選手として、1998年ドラフトで広島から1位指名を受けた。2008年、2009年には2年連続で二塁手のベストナインに選出されるなど、ながらく広島の顔として活躍してきた東出。しかし、近年はケガとの戦いに明け暮れている。特に、2013年のキャンプ中に負った左膝前十字靭帯断裂の大ケガの影響は大きく、以降、一度も1軍出場はない。この間に「球界一の二塁手」と呼ばれるまでに成長を遂げたのが菊池涼介。何とも皮肉な世代交代だ。

 来季からは2軍にいる場合は選手兼任で野手コーチ補佐に就任することが決定。もっとも、1軍にいる場合は選手専任になるという。ぜひ、コーチを名乗らなくていいシーズンを期待したい。
【通算成績:1492試合1366安打143盗塁264犠打、打率.268】


◎小谷野栄一(創価高→創価大→日本ハム→オリックス)

 シーズン序盤のプレーで右膝副靭帯を損傷。約2カ月チームを離脱したことで、今季は84試合の出場にとどまってしまった小谷野。ただ、2010年に打点王に輝いた後、2012年に最多犠打を記録するなど、幅広い攻撃ができ、勝負強さも備えている打者として、まだまだ高く評価されている。

 実際、FA宣言したところ、日本ハムからの残留要請に加え、西武、オリックスが獲得の意向を示し、最終的にはオリックスと3年3億の契約で合意した。

 ちなみに松坂大輔とは小学生時代から同じ地区でプレーをしていた因縁の相手。オリックスへの入団記者会見でも「打倒・松坂」を宣言している。
【通算成績:1088試合984安打467打点105犠打、打率.266】

◎梵英心(三次高→駒澤大→日産自動車→広島)

 高校までは無名の存在だったが、大学、社会人を経て台頭。2006年の新人王を獲得し、東出とともに広島の二遊間を支えてきたのが梵。今季もレギュラーとして活躍し、菊池との二遊間コンビで、シーズン後半は三塁手として投手陣をもり立てた。一方で物足りないのが打撃面。打順が固定しなかった(1番・3番・5番・6番・7番)影響もあるだろうが、一昨年の3割台から2割6分台へと急落してしまった。そして2010年の盗塁王にかかわらず、去年、今年と連続して一桁台の盗塁数も物足りない数字で、足の復活も待たれる。
【通算成績:993試合923安打133盗塁135犠打、打率.267】

◎渡辺直人(牛久高→城西大→三菱ふそう川崎→楽天→DeNA→西武)

 高校、大学時代は大きな実績は残せなかったが、社会人時代に飛躍を遂げ、プロ入りを果たした渡辺。楽天入団後は名バイプレーヤーとしてチーム内、そしてファンからも高い評価を集める選手へと成長を遂げる。

 ところが、チーム事情などから楽天からDeNAへ。そしてDeNAから西武へとトレードが続き、ここ数年は控えにまわることが多くなっていた。ただ、今季途中に西武の指揮官が田辺監督代行に代わったあたりから潮目が変化。2番・遊撃手でほぼレギュラーの座をつかみ取り、つなぐことも、チャンスで強打することができる男としてチームに欠かせない存在に返り咲いた。

 若いチームにあって、野手最年長の渡辺。外様であってもチームリーダーとしての役割が求められるからこそ、来季はプロ入り初の全試合出場を目指したい。
【通算成績:861試合717安打113盗塁156犠打、打率.258】


 この他、レギュラークラスではなくとも、後藤武敏(DeNA)、森本稀哲(西武)、實松一成、矢野謙次(ともに巨人)など、チームを支えるバイプレーヤーにも松坂世代は多い。彼らが奮起すれば、プロ野球はもっと面白くなるはずだ。


(2014年12月23日/スポニチ・アネックス配信)
http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2014/12/23/kiji/K20141223009504990.html

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