【2016夏の高校野球】《熊本観戦ガイド》有望選手と大会展望&地区勢力ピラミッド
7月10日〜25日(藤崎台県営野球場)
震災を乗り越え、各校がピッチを上げる
熊本県民の魂を背負い聖地で戦うのは?
☆★☆ 投手編 ☆★☆
●豪華投手陣を誇る秀岳館
強力な投手陣を誇る秀岳館が筆頭格だ。U18の第1次候補に挙げられ、大舞台でも二刀流として名を馳せた堀江航平、センバツで14回、自責点1と抜群の安定感をみせた有村大誠の両右腕。さらに左腕では、186センチから角度のある球を投げ込む中井雄亮、サイドから快速球を繰り出す2年生の田浦文丸、同じく2年生で球のキレが鋭い川端健斗など、バリエーション豊かな投手陣は夏の連戦でも敵にスキを与えない。
全国的に無名だが、名門の2年生右腕・山口翔(熊本工)の評判がよい。春の県大会は足のケガで未登板に終わったが、春先から141キロをマークするなど、しなやかなフォームに力強さが加わった。夏のバトルモードに向けて準備は着々と進んでいる。
山口に負けまいと2年生に好素材が続々と出現している。住野賢枝(千原台)は合理的なフォームから直曲球にキレがあり、熊本学園大付には、長身ながらバランスの取れた藤坂悠真、快速球で敵をねじ伏せる川野海斗、馬力のある高橋拓雅という右腕トリオが強豪校に一泡吹かせようと秘かに闘志を燃やしている。
左腕に目を向けると、旧チームから経験を積み重ねる実戦派の山中愛斗(有明)、緩急自在の投球で春の県準Vへと導いた中原弘喜(文徳)、ストレートの威力が増した森琢真(八代東)、キレ抜群の球を投げ込む鳥枝将太(熊本国府)はゲームメーク能力に定評があり、目が離せない存在だ。
その他、チーム1の脚力を持ち、勝負強さが光る大竹泰志(東海大熊本星翔)、素材型の大型右腕・堺拓也(熊本西)なども要注目だ。
▲有村大誠(秀岳館)
☆★☆ 打者編 ☆★☆
●打倒・秀岳館に燃える逸材
投手陣に続いて、野手陣も秀岳館が群を抜いている。主将でプロ注目の捕手・九鬼隆平をはじめ、全国トップクラスの長打力を誇る天本昂佑、さらには攻守にセンス抜群の松尾大河やスピードスターの原田拓実など、全国クラスの選手をズラリと並べ、その実力は大舞台でも実証済みだ。
九州学院も負けていない。走攻守三拍子揃い、春先に通算30本塁打を突破した松下且興、“肥後のベーブ・ルース”と呼ばれる大型捕手の村上宗隆ら強力な布陣を揃え、打倒・秀岳館に燃えている。
秋春ともに上位進出こそならなかったが、名門・熊本工にも逸材が揃う。攻守にセンスが際立つ遊撃手の溝越圭太を筆頭に、強打の二塁手として名を馳せる鶴田舜、小学生時代から世界大会を経験し春はド派手な一発を放り込んだ永田晃祐、思い切りのいいプレーが魅力の韋駄天・川端優哉らを揃え、夏の巻き返しに期待が高まる。
超高校級の送球能力を持つ捕手の内村僚(有明)からも目が離せない。ここぞの一打や視野を広げた守備力にも成長が見える。
その他、とっさの動きが光る名手・児玉亮涼(文徳)、パワフルな投打に厳重警戒の小材龍輝(必由館)、抜群の脚力が魅力の岡本祥希(多良木)、旧チームから安打を量産する山戸直樹(熊本国府)らが名を連ねる。無印では春の大会で2本塁打をマークした高倉絹汰(千原台)、大型捕手・堤内友弥(天草工)も見逃せない。
▲松下且興(九州学院)
☆★☆ 大会展望 ☆★☆
●秀岳館と九州学院が一歩リード
センバツ4強の秀岳館、秋春ともに九州大会出場した九州学院の2校が、総合力で一歩リードか。ともに春の九州大会で初戦敗退を喫したが、熊本地震の余震が続く中、強い気持ちで戦い抜いたことは大きな経験になったはずだ。今夏の注目校といえば、文徳を忘れてはならない。3年連続夏の決勝で涙を飲んでおり、リベンジに燃えている。さらにバランスの取れた東海大熊本星翔、大黒柱・小材龍輝を擁する必由館、春に九州学院と接戦を演じた熊本国府らが2強を追いかける。
地区勢力ピラミッド