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高校球児トッププロスペクトその1〜安樂智大、?橋光成、岡本和真、田嶋大樹、飯塚悟史

安樂 智大 あんらく ともひろ


済美(愛媛)3年
投手・187cm85kg・右投左打

速さよりも「強さ」追い求める大器

 ドラフトの超目玉。最速157キロのスピードで押す投球スタイルだけでなく男前のハートも併せ持つ。その点を含めてスケールが違う。昨年のセンバツでチームを準優勝に導く熱投の一方、連投問題で大会後も話題の人に。さらに昨秋の県大会で右腕尺骨神経麻痺を発症、4月5日の練習試合で実戦復帰しゴールデンウィークに4連投。急ピッチの調整過程に心配の声も上がるが、本人に迷いはない。ずいぶんと精悍になった顔つきからも伝わるように、故障中からこの春も徹底した走り込みで崩れない下半身を作ってきた。スピードばかり注目されるが、本人が目指し続けているのは「勝てる投手」。この春はスプリットも磨きながら、すべての声に結果で応える覚悟はできている。


ストップウォッチチェック!
クイックモーション 1秒20台


 ビデオのコマ数から算出したストレートの球速が、スピードガンの球速を上回ることがあります。物理的にありえないので条件が不正確なのでしょうが、誰でもそうなるわけではありません。昨年の松井裕樹(楽天)にも見られました。初速と終速の差が少ないと推測されます。クイックは常時1秒20後半。高校トップクラスです。

安樂伝説!

 772球を投げ話題になったセンバツ後に取材をした時のこと。否定的な見方も多くささやかれる中、平然と「また同じ状況があれば夏も投げて春を超えたい」。心のデカさも超高校級。


?橋 光成 たかはし こうな

前橋育英(群馬)3年
投手・188cm88kg・右投右打

主役返り咲きを狙う昨夏優勝投手

 昨夏の甲子園優勝投手。灼熱の聖地で6試合50イニング、687球を投げきるタフネスぶりを発揮。2年生にして一躍“夏の主役”になり、ドラフト候補となった。最速148キロのストレートを外角低めに引っ張ってこれて、タテのスライダーとフォークを低めに集められる。相手が強くなるほど力を発揮できる精神面の強さも、この右腕の魅力だ。向こう3大会「敵なし」と思われたが、昨秋はまさかの県初戦敗退。今春も右手親指骨折が響き、登板がないまま初戦で姿を消した。相次ぐ悪夢を経験したが、すでに夏に向けて実戦復帰を果たしており、球速140キロを計測するまでに回復。完全復活を期す右腕の目標は、再び“主役”の座を勝ち取ること。そして甲子園連続出場に、2連覇だ!


ストップウォッチェック!
クイックモーション 1秒30台


 安樂と同じ条件でビデオのコマ数からストレート球速を算出しましたが、スピードガン表示の球速を上回ることありませんでした。ナチュラルにシュートする球質が関係しているかもしれません。クイックは同じ走者一塁でも、ノーマル時が1秒40前後、盗塁警戒時は1秒30台とギアを切り替えています。色々考えているようです。

?橋伝説!

 昨夏の甲子園1回戦では史上2位の9連続三振の圧巻デビュー。2完封を含む6試合50イニングを投げて防御率0.36を記録し、全国制覇。2年夏にして、一躍スターダムへ。


岡本 和真 おかもと かずま

智辯学園(奈良)3年
三塁手・183cm95kg・右投右打

通算60本超を支える確かなテクニック

 高校生野手のドラフト筆頭候補。「どの程度のレベルなのか」と関係者も注目したセンバツの初戦で、一発回答の1試合2発。春のふた振りで自らのポジション、この先の生きる道を示した。5月末時点で通算67本。当然一発が大きな魅力だが、見逃してはならないのが確率の高さと仕留める精度。打席に入る際、ほとんど直前のスイングも、ムダな動きも入れずに構える。実に静かな入りは特徴的で打席の集中力の高さを想像させる。また変化球打ちのうまさ、打てる球を打つ意識などは好きな打者に挙げる中村剛也(西武)に通じる点だ。センターから逆方向の打球も意外に多く、広角にフェンスオーバーできる点もこの先の大きな魅力。長くスラッガーとして勝負できる素材だ。


ストップウォッチチェック!
打球滞空時間 6秒13


 ストップウォッチャーとしては、センバツでの1試合2本塁打より同じ試合の4打席目に打ったセカンドフライのほうが興味深々。このときの滞空時間は6秒13。将来有望な選手しか到達できない6秒台の「聖域」にバッチリ達しています。ただ、中田翔(日本ハム)は高校時代に6秒台後半を多数記録しました。岡本も夏に期待です。

岡本伝説!

 小学生の頃から夜には家の8畳間のガラスに全身を映しバットを振る。フォームチェックだけでなく、時にピッチャー目線で見ることで攻め方が見えてくることもあるという。


田嶋 大樹 たじま だいき

佐野日大(栃木)3年
投手・182cm76kg・左投左打

スライダーの精度が向上した左腕

 140キロ台中盤に迫るストレートと空振りを奪えるスライダーが武器の左腕。昨秋まではストレートが高めに浮き、スライダーが抜ける場面も多かったが、今春のセンバツではコントロールが安定。ホームベースの三塁側(右打者のインコース、左打者のアウトコース)に投じる球の精度が高い。スライダーの腕の振りが強く、ボール球でも振ってしまう打者が目立つ。課題はホームベースの一塁側へのコントロール。左打者に対するインスラを覚え、ピッチングの幅が広がったが、内角へのストレートはまだ投げ切れていないのが現状だ。


田嶋伝説!

 今春センバツ、岡本(智辯学園)との対決は4打数1安打2三振。内角低めのボールになるスライダーで空振り三振、クロスファイアーで見逃し三振と、田嶋に軍配。


飯塚 悟史 いいづか さとし

日本文理(新潟)3年
投手・185cm76kg・右投左打

悪いなりに抑える術を得て躍動

 「投手か野手か悩ませるスケールの大きな選手」。端的に表現するとこうなるが、飯塚の真骨頂は、その時々の状態に合わせて変化できることだ。大会ごとに投げ方を変えなくてはならなかった苦しい状況でも勝ってきた。その経験が生き、悪いなりに試合を作る能力が備わっている。投手として貴重な財産だ。コンディションに不安のない現在は「(走者を出しても)これで抑えたほうが気持ちいい」と自信に満ちている。神宮大会でグンと評価を上げた打撃は、センバツでは気負った面もあり、引っ掛けすぎた。センターから左へも打球は伸びる。ノビノビと打ってほしい。


飯塚伝説!

 地区大会ではタイミングが取れずバスターで打っていた打者が、その1カ月半後に神宮球場のバックスクリーン弾を含む3本塁打。この変わり身こそ、飯塚なのだろう

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