《PL学園・最後の夏に挑んだ親子のドキュメント》二重苦―PL学園野球部休部と大病―の先に輝く光
PL学園野球部13名の一人、土井塁人の父・崇正は、筆者の高校の後輩である。
一方、世間では「PL学園野球部の最後の戦士」、しかも「急性リンパ性白血病を患い留年」した息子の父親として、高校野球ファンの間で多少は知られた存在だ。
今夏のPLフィーバーで、報道が過熱するなか、自分のなかの「PL学園」が、少しずつ遠のいていく気がしてならなかった。第60回の夏の甲子園決勝を高知県出身の父とテレビ観戦。PL学園が応援していた高知商に勝利した「高校野球のドラマ」を世の中の出来事とは思えず、また、その逆転劇の粘りに畏敬の念を抱いたのが中2夏。あの「逆転のPL」がなくなるとはにわかに信じられなかった。
PL学園は一般ニュース、いわんや、芸能ニュース等で取り上げられるべきではない「孤高の存在」である。
「スポーツノンフィクションのみが、PL学園の舞台」。この気概こそが、当コラムの源流である。筆者は早速、土井父に連絡を取った。