【2014新春放談】プロ野球12球団おせっかいアドバイス〜セ・リーグ編その2〜
4週に渡ってお送りしてきた「【2014新春放談】プロ野球12球団おせっかいアドバイス」。『野球太郎』編集部員とライター陣が、来たるべき2014年シーズンのペナントレースを大展望!
いよいよ今週でラストとなります。それでは昨季、セ・リーグAクラスの3球団について、徹底討論スタートです!
広島東洋カープ編
今季もCS出場できるか? 勝負のシーズン!
――まずは大竹(寛)の抜けた穴について。
キビタ「ボクは広島にとって、大きな痛手になると思います。大竹は最低でも6〜7回まで投げることができた安定した投手。中継ぎ陣らに影響が出ることが懸念されます」
菊地「去年は必死になって投手陣を支えた永川(勝浩)や横山(竜士)らに、昨季以上の負荷がかかってしまう恐れがありますね」
キビタ「人的保障で一岡(竜司)を獲得しましたが、個人的には先発投手を獲ってほしかった。巨人時代の一岡は、主に抑え投手として起用されていましたよね」
持木「まあ、今村(猛)あたりが先発に回れば良いと思うが…いずれにせよ先発がいないなあ」
――前田健太、野村(祐輔)、バリントン…あとに続く先発がいない
高橋「福井(優也)、篠田(純平)、齊藤(悠葵)、中村(恭平)ら、候補はいるんですが、この辺りが伸び悩んでいます」
菊地「そこでドラフト1位の大瀬良(大地)がどこまでやるか、楽しみです。ただ、同じドラ1のオリックス・吉田一将などと比べると、そこまで計算できないですが…」
――続いて、野手たちに目を向けましょう。
高橋「菊池(涼介)、丸(佳浩)、松山(竜平)ら、去年1年間で急成長した野手が多いですね。特に菊池には昨季以上の活躍を期待しています」
▲丸佳浩
キビタ「松山を除いて、広島の場合、打点を稼ぐポイントゲッターはやはり、外国人助っ人の役割になりますよね。昨季途中加入のキラ、昨季後半から活躍したエルドレッドの2人が、シーズン頭から働けば広島の上位進出は、十分あり得ます」
――熱狂的なファンも多い広島。去年、ファンの間で物議を醸し出した野村(謙二郎)監督采配については?
菊地「調子の良かった松山を、左投手が出てきたときに起用しないなど、不可解な采配もあったと聞きます。かつての仰木(彬)監督のように、データに裏付けされたオーダーを組んでいるようには見えない…という意見もあったようです」
西山「広島へのアドバイスとしては、まずは先発投手陣の拡充を目指せ! と外国人助っ人たちの好調をいかにキープさせるか、そしてノムケン采配に注目…といったところでしょうか」
阪神タイガース編
意外と低評価? 最も意見が割れたチーム
――7人の座談会メンバーのなかでAクラスと予想しているのが2人、Bクラスが5人と意見が分かれました。他球団と比べて、補強が進んでいないような印象もありますが…。
菊地「補強といえば新外人マウロ・ゴメスが夫人の出産に立ち会うため、2月1日のキャンプインに間に合わないというニュースが飛び込んできました」
高橋「うーん、早くも暗雲立ちこめている感じですね。阪神の助っ人には呪いの歴史があります。例えば去年のコンラッドも1年で解雇されましたよね」
菊地「(コンラッドの)元チームメイトの青木(宣親/ブリュワーズ)は『使えば活躍する』と太鼓判を押していたし、自分もオープン戦で観たときは、ガッツ あるいい選手だなと好印象だったのですが…。ひょっとしたら、使い続けたらDeNAのモーガンのように、チームを鼓舞する選手になったかもしれませんよ」
高橋「だけど、起用し続けない。つまり我慢できない(笑)」
――結果を出さないと、ファンが許さない傾向もありますしね。投手陣なんかもその傾向があるような気がします…。
菊地「例えば久保(康友)が抜けた穴を誰が埋めるか? となったとき、若手を起用するのを躊躇するのではないでしょうか。秋山(拓巳)や岩本(輝)ら候補はいるのですが、打たれても起用し続ける、我慢ができない」
高橋「それでまた結局は、福原(忍)や安藤(優也)、加藤(康介)らに頼る結果に…」
一同「やはり、我慢できない(笑)」
キビタ「能見(篤史)、藤浪(晋太郎)、メッセンジャーと表三枚はしっかりしていますが、その後に続く投手が…候補はいるんですけどね」
――新戦力といえばドラフトで獲得した選手はどうでしょう?
菊地「個人的には岩貞(祐太)に期待しています。変則気味のフォームで、打者の胸元をえぐるような球を投げるので期待しているのですが、そこでも“阪神のドラフト1位”という肩書きが重荷にならないかと心配です」
キビタ「確かに過去も1位の白仁田(寛和)や2位の藤原(正典)ら、過度に期待をかけられて伸び悩む選手がいましたからね」
――確かに岩貞も藤浪と比較されると、可哀想な気もします。野手の方での新戦力はどうでしょう?
菊地「…掛布DC(Development Coordinator/育成&打撃コーディネーター)でしょうか」
一同(爆笑)
高橋「掛布コーチが『小バース』と名付けた森田(一成)は昨季ファームの二冠王。伊藤(隼太)なんかもブレイクして欲しい選手ですが…」
▲「小バース」こと森田一成
持木「森田もそろそろ結果を出さないと…。去年は2006年高校生ドラフト1巡目の野原(将志)も解雇されました」
高橋「そういう意味では、なかなか育成できていませんね。大和、鳥谷(敬)くらいでしょうか、生え抜き野手は」
菊地「上本(博紀)が出てきましたが、西岡(剛)を獲得して…。どうしても起用方法がかぶるんですよね…」
――野手もまた、「我慢できない」ようですね…。今年の阪神はどうなるのでしょう?
持木「ボクは2位に推しています。戦力的な上積みはありませんが、それでも去年は2位。なんだかんだ上位には残ると予想しています」
西山「評価は分かれましたが、上位に残る戦力はある。それ以上、優勝を目指すためのお節介アドバイスは、“(若手や新戦力を)我慢して起用しよう!”といったところでしょうか」
読売ジャイアンツ編
圧倒的な戦力を誇る巨人…コケる要素は?
――続いて最後、巨人ですが菊地選手以外は1位の予想です…。
一同「……(沈黙)」
菊地「確かに、心憎いばかりの補強ですよね。唯一の弱点ともいえるセカンドには、片岡(治大)を補強しました。」
西山「優勝したのにもかかわらず、その小さなほころびを補強するあたり、やはり今季も盤石の戦力といえそうです」
菊地「過去に広澤(克実)やハウエル、ペタジーニらを補強していた時代とは異なる、適材適所の補強をしている点が、恐ろしいですね」
――投手陣では大竹(寛)をFAで獲得しました。
キビタ「大竹の加入は大きいですよ。これも“水を漏らさぬ補強”のひとつで、ローテの4〜5番手に安定感ある投手を配置することで、中継ぎ陣の負担も軽減できるでしょう」
持木「今村(信貴)や笠原(将生)、小山(雄輝)らの若手先発陣の登板機会が減るのが残念ですが…」
キビタ「まあ原(辰徳)監督もどこかで、若手を起用する試合を作るでしょう。そういう意味では、亀井(善行)や高橋(由伸)ら、不調に陥っても原監督が使い続けた時、そんな試合で他球団は勝ちを拾いたいですね」
――他球団が打倒巨人を果たすためにはココを狙えというお節介アドバイスはありますか?
菊地「例えば、うしろの3人。マシソン、山口(鉄也)、西村(健太朗)らも、完璧であるが故に、そこが崩れると悪循環に陥るケースが考えられます」
西山「山口は6年連続で60試合登板と、ものすごい記録を継続中です。しかし、今シーズン不調に陥ったら、その代わりを若い高木(京介)らが務められるかというと、やはり荷が重いですよね」
▲鉄腕・山口鉄也
キビタ「内海(哲也)や杉内(俊哉)、菅野(智之)らもシーズンを通して、いつも完璧な投球をみせるわけではありません。登板時に先制点をとれる試合だってあると思います」
高橋「確かに杉内のピッチングは、全盛期から落ちている印象はある。去年の日本シリーズでは明らかに調子は悪かった」
西山「先発陣が不調の時、要するに先制点を取ることができた試合は確実に勝利する。他球団はそんな野球を徹底すべきでしょうね」
――さて、セ・リーグ6球団全ての討論が終わりました。『週刊野球太郎』としての2014年の順位予想は以下になります!
巨人
広島
中日
ヤクルト
DeNA
阪神
いや〜、ボリューム満点の座談会となりました。この座談会を経て、みなさんの予想は変わったでしょうか? もしくは同じ意見で自信が増したか、「オレは反論するぞ!」と意気込んでいる方もいるでしょう。
今シーズン終了時には果たして、この順位の通りになるのかどうか? それとも、下馬評を覆す結果に!? こうご期待!!
■ライター・プロフィール
鈴木雷人(すずき・らいと)…会社勤めの傍ら、大好きな野球を中心とした雑食系物書きとして活動中。"ファン目線を大切に"をモットーに、プロアマ問わず野球を追いかけている。Twitterは
@suzukiwrite