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アタリかハズレか? 今シーズンの新助っ人たちを斬る!

 先週のスポーツの話題といえば、ソチ冬季五輪で連日のように活躍する日本人選手たちが連日、大きく取り上げられた。スノーボードやフィギュアスケートでのメダル獲得は日本中を感動の渦に巻き込んだ。しかし、プロ野球だって負けていない。

 2月の後半に入り、球団によっては2次キャンプに入るこの時期、紅白戦や練習試合などの実戦的なメニューを通じて、選手たちは1軍や2軍に振り分けられる時期でもある。そして新たに加入した助っ人外国人たちが新戦力として“使えるかどうか”見極められる時期でもあるのだ。

 そこで「今週のキャンプ大賞」では、今シーズン新たに加入した外国人選手たちのこれまでの評判をまとめて、独断と偏見でランキング形式にてお伝えしよう。果たして本当に“助っ人”となるのか、それとも“害人”となってしまうのか……。


ザック・フィリップス(広島)
―1年契約/年俸4000万円

 まずは広島に新加入した、“謎”の新外国人左腕・フィリップスから。連日のようにキャンプ情報が伝わってくる巨人や阪神などに比べて、広島の情報は正直なところ少ない…。さらにフィリップスの注目度の低さもあり、今のところは“謎”に包まれている助っ人といえるだろう。

 キャンプイン後のニュースといえば2月2日、初ブルペン時にその投球フォームで一塁けん制をすると、ボークの疑いがかけられた事ぐらい。残念な助っ人かと思いきや、12日に登板したフリー打撃では好投をみせた。阪神のスコアラー陣から「(投球フォームに)角度があって球が見えづらく、ボールもよく動く」と評価され、主力打者のキラとエルドレッドの2人に合計21球を投げ、安打性の当たり1本に抑えた。

「ラーメンが美味しいし、芋焼酎のロックはいいね」とコメントしたフィリップス。どうやら日本での好物も見つかったようだ。左腕不足が懸念される広島にとって、“謎”の助っ人左腕が先発でも中継ぎでも数字を残せば、チームは昨シーズン以上の成績を残すだろう。

ホアン・ミランダ(日本ハム)
―1年契約/年俸5000万円

 続いて2月11日に、キャンプ地の名護市内の宿舎で入団会見を行ったミランダを紹介。昨季はメキシカンリーグで26本塁打を放つなど、パワーが魅力の助っ人内野手だ。

 入団会見の映像を見る限り、印象に残ったのはその声の小ささ。同僚のアブレイユと同じくキューバ出身のミランダは、やや強面(こわもて)の風貌に似合わず、インタビューでは「とにかく勝利に貢献したい」とボソボソと小さな声で抱負を語る“恥ずかしがり屋さん”の印象。しかし栗山英樹監督は「秋季キャンプでも見ているし、戦力として計算に入れている」と自信のコメントを残した。

 若い頃からキューバ代表に選ばれるなど、その将来を有望視されていたミランダの経歴は謎の部分が多い。2004年には活躍の地を求めて、キューバからいかだを漕いで亡命。2005年にはドミニカ共和国の国籍を取得し、2006年にはヤンキースが4年総額200万ドルの契約を結んだ過去もあるという。

 昨季パ・リーグ本塁打王に輝いたアブレイユとも仲が良く、2人で本塁打王を争うくらいの活躍をみせれば、日本ハムの最下位脱出は間違いない。

クリス・カーペンター(ヤクルト)
―1年契約/年俸5150万円+出来高払

 通な野球好きがクリス・カーペンターと聞けば、メジャー通算144勝を挙げた右腕を連想するだろう。2005年のカージナルス時代にサイ・ヤング賞を獲得。ワールドシリーズ制覇に2度も貢献した38歳MLB屈指の右腕は、昨季限りで引退した。

 そしてヤクルトに今季加入した助っ人右腕も、名前のクリストファー、ミドルネームのジョン、姓のカーペンターと全て同じのカーペンター投手だ。

 ヤクルトの助っ人は“当たり”が多いことは、球界の定説となりつつある。カーペンターの獲得に動いたヤクルトの奥村政之国際担当は過去、グライシンガー(現ロッテ)やバレンティンらを発掘した腕利きのスカウトマン。ヤクルトは守護神として期待しており、今季の活躍次第ではMLBのカーペンターよりも、NPBのカーペンターが有名になる日が来るかもしれない。

アレクシス・ゴメス(中日)
―1年契約/年俸1000万円

 続いては落合博満GMが絶大な信頼を置く、森繁和ヘッドコーチが連れてきたというアレクシス・ゴメス。前述したヤクルトの国際担当のように、“当たり”の助っ人を引っ張ってくる印象があるのが、森ヘッドコーチだ。2004年から毎年、ドミニカ共和国(以下、ドミニカ)などの中南米諸国を訪れ、パイプ作りをしてきた。そのなかでブランコ、ソーサ、ソト(3人とも現在はDeNAに移籍)らを発掘し、日本に連れてきた。昨オフも自ら中南米に出向き、ドミニカで行われていたウインターリーグを視察。そこで発掘したのが、191センチ100キロの長距離打者ゴメスだ。

 かつて中日にはレオ・ゴメスという優良助っ人がいた。1997年の1年目から打率.315、31本塁打という好成績を残し、1999年には36本塁打、109打点でリーグ優勝に大きく貢献。アレクシス・ゴメスがこのくらいの成績を残せば、中日のAクラス復帰は間違いない。

マウロ・ゴメス(阪神)
―1年契約/年俸1億2000万円

 そして堂々の1位は、今シーズンの助っ人外国人のなかで最も来日が遅れた新助っ人、マウロ・ゴメス。中日のゴメスが年俸1000万円なら、こちらは1億2000万円と破格の待遇で、大砲不在のチームを救う活躍が期待されている。2月10日に来日し、翌日の“日本デビュー”では雨天のため室内練習場でフリー打撃を敢行。鋭い当たりを連発し、他球団の先乗りスコアラー陣からは「バレンティン級」との評価も飛び出した。

 14日には初めて屋外でのフリー打撃に臨み、42スイングで130メートル弾を含む7本の柵越えを記録。こちらのゴメスも188センチ104キロと巨漢で、昨季は3Aで29本塁打をマークしたパワーを見せつけた。


 注目は2位で取り上げた中日のゴメスと阪神のゴメスは、いったいどちらが活躍するか。年俸では圧倒的な差がついている。しかし、前述した中日・森ヘッドは阪神のゴメスもウインターリーグで視察済み。「三振が多く、粗いのが少し気になる。一塁しか守れないので、中日の補強ポイントには合っていない」とバッサリ斬り捨てた。果たして、どちらのゴメスが活躍するか、阪神・中日ファン以外も気になるところだ。

 今シーズンは活躍が楽しみな助っ人たちが多い。同じく阪神の守護神候補である呉昇桓(オ・スンファン)や、楽天に入団した“四球のギリシャ神”の異名を持つケビン・ユーキリスなども、そのネームバリュー通りの活躍をみせるのか、気になるところだ。

 果たして彼らはキャンプやオープン戦を通じて、日本人選手との競争を制して開幕1軍のベンチに座っているのか、そして、一番肝心なシーズンでの活躍は見られるのか……。首脳陣やファンの期待に応えられるか、キャンプ後半以降も引き続き、要チェックだ(年俸は全て推定です)。


■ライター・プロフィール
鈴木雷人(すずき・らいと)/会社勤めの傍ら、大好きな野球を中心とした雑食系物書きとして活動中。“ファン目線を大切に”をモットーに、プロアマ問わず野球を追いかけている。Twitterは@suzukiwrite

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