今こそ応援したい1・2軍ボーダーラインにいる男たち!! ライバルたちに打ち勝って1軍の戦力へ〜セ・リーグ編
プロ野球の暦の上での「元旦」は2月1日。今年もプロ野球12球団が一斉にキャンプインした。
『週刊野球太郎』が発信する12球団キャンプ特集の1つは、キャンプで練習に明け暮れる選手たちを応援する企画「がんばる選手を応援する週刊キャンプレポート」だ。
キャンプインの前に各球団の1・2軍メンバーが発表された。シーズン中に登録できる1軍の人数よりも多めに振り分けられるので、期待の若手は主力と混ざってキャンプインすることが多い。今回は、そんな1軍に残れるか、2軍でまだ修行を積むか、という瀬戸際で戦う選手たちをランキング形式で紹介しよう。
由規(佐藤 由規)
――東京ヤクルトスワローズ
2年連続で最下位に終わったヤクルト。投手陣の崩壊が、敗因の大きな1つとしてあげられることが多い。ケガで本来の活躍ができなかった投手も多い。その中の1人が由規だ。プロ3年目の2010年に12勝を挙げた上に、日本人最速も161キロも計測し、その後の飛躍が期待された。しかし、2011年9月に右肩痛を発症すると、なかなか復帰することができず、結局、2013年の手術。そして、2014年6月、792日ぶりに実戦復帰し、その後、2軍では登板を重ねてきた。
今キャンプでは初日からブルペンに入り、56球を投げ、そのボールに真中満新監督も期待の声を寄せる。1軍復帰、1軍での白星を目指して、着々と階段を登っている。
江越 大賀
――阪神タイガース
鳥谷敬が残留したことで、大和が今シーズンも中堅手に入り、戦力ダウンは免れた。左翼手のマートンは鉄板ということで、右翼手の1席を多くの選手で争うことになる。昨季、右翼手で最もスタメンが多かった福留孝介は、終盤に活躍はあったものの、ブレーキとなった印象も強く、今年38歳を迎えることから数字を上積みするのは難しい。
そこで、福留からポジションを奪おうとする中で、アピールをしたのがドラフト3位で入団した江越大賀だ。沖縄合同自主トレで柵越えを連発し、打撃投手を驚かせた。キャンプ初日のフリーバッティングでも鋭いスイングで、キャンプ中継を解説していた、真弓明信氏が絶賛。しかし、その一方で「初日はバットが振れるんですよ。でも、3、4日経つとやっぱり疲れが出てくるので、そこからのスイングに注目ですね」と指摘し、今後のチェックポイントも解説した。
佐藤 祥万
――広島東洋カープ
キャンプイン直前に太ももの張りを訴えた篠田純平に代わり、1軍メンバー入りを果たしたのが、今季から加入することになった佐藤祥万だ。
2007年の高校生ドラフト4巡目で横浜から指名され、入団。1年目から16試合に登板し、好スタートを切ると、2011年には初ホールドを記録した。しかし、172センチの身長ということで、サイドから投げることを強いられ、投球フォームで悩むことが増えた。2014年は日本ハムに移籍して心機一転、活躍を目指したが、戦力外通告。
2014年11月の第1回合同トライアウトでの投球が評価され、すぐに広島と契約した佐藤は、1軍と2軍の瀬戸際、というよりも、選手契約の瀬戸際にある選手かもしれない。しかし、この急遽1軍スタートとなった幸運を生かし、1軍に残り続けてほしい。キャンプ初日からブルペンに入り、躍動感ある投球でアピールした。先発も中継ぎもほとんどが右投手である広島において、左腕である佐藤は貴重な存在だ。
関根 大気
――横浜DeNAベイスターズ
昨季、盗塁王の梶谷隆幸、今季から主将となり、開幕4番をすでに言い渡されている筒香嘉智がいるため、中堅手の1枠を巡って、激しい争いが繰り広げられるだろうDeNA。ゴールデングラブ賞を獲得した実績がある荒波翔が2軍スタートとなったことで、その行方は混沌としている。その中で期待をされているのが、2年連続で1軍スタートとなった関根大気だ。
高卒1年目の昨シーズンは、キャンプで1軍に抜擢されると、高い対応力をみせ、周囲を驚かせた。オープン戦の成績で2軍に降格するも、シーズンを通して活躍した。今オフには青木宣親(ジャイアンツ)と自主トレを行い、走攻守すべてにおいて助言をもらった関根。目標として掲げる開幕スタメンを勝ち取れるかどうか、今後も注目していきたい。
マイコラス、ポレダ
―――読売ジャイアンツ
リーグ4連覇を狙う巨人では、外国人といえども1軍が確約されているわけではない。マイルズ・マイコラス、アーロン・ポレダの2投手も、原辰徳監督から、マシソンとともに、190センチ以上の高身長であることかた「スカイスリー」と名付け、入団を歓迎したが、競争の渦中にいるのはたしかだ。
ポレダは速球派の左腕で攻めるタイプ、一方でマイコラスは変化球を巧みに使い、アメリカで同僚だったダルビッシュ有(レンジャーズ)からアドバイスを受け投球術を学んだ、打ち取るタイプの投手とそれぞれ違う個性を発揮した。まだ20代と若さもある外国人投手ということで、今年に限らず数年活躍することができれば、5連覇、6連覇……と続いていく可能性もあるだろう。
武藤 祐太
――中日ドラゴンズ
景気のいい話が続いた一方で、中日はスタートから雲行きが怪しくなってしまった。沖縄入り直後に濱田達郎がノロウイルスに感染したことに続いて、1軍メンバー入りした武藤祐太がインフルエンザを発症。期待の若手投手がキャンプ前に「リタイア」となっただけでなく、中日は2年連続でインフルエンザの集団感染でリタイアが続出した過去もあるので、3年連続とならないように気をつけたい。
キャンプ初日では復活を期する伊藤準規がブルペンで好投し、谷繁元信選手兼任監督から高評価を受けていた。若手が伸び悩み、年々レギュラーの平均年齢が上がりつつある中日の救世主となるような若手の活躍の報道があることを願いたい。
ここで紹介した選手たちは、開幕1軍の25人に入るために、2月1日のキャンプ初日からアクセル全開でアピールしている。まだまだスター選手ではないため、メディアで報道されることは少ないが、こうしてがんばっている選手たちの動向を見守っていきたい。