規格外の可能性を秘めた高校通算97本塁打の快童! ソフトバンク5位・黒瀬健太は未来の長距離砲
『野球太郎 ドラフト直前大特集号』の名物コーナーとして人気を博している「ドラフト候補&指導者マンツーマンインタビュー」。ドラフト候補選手と、彼らを育てた監督の証言で構成されるインタビューは必見の内容だ。今回はソフトバンクから5位指名を受けた、黒瀬健太(初芝橋本)と、指導した芝野恵介監督のインタビューを公開しよう。
●芝野恵介監督の証言
★最初の印象
まず体の大きさ、肉付きの印象から、しんどいことが得意じゃないんやろうな、と思いました。バッティングに関しては右手が強く、下半身も使えていないから引っかけたボテボテのゴロが多かった。タイミングを取るのも遅く、下半身を使うことを意識させるため足を上げる形を試してみると、定着していきました。
★稀有の長距離砲
金光大阪のコーチ時代には大阪桐蔭の中田翔選手(日本ハム)、初芝橋本では近隣にある智辯学園の岡本和真選手(巨人)の凄さに触れてきました。ただ、飛距離ならいい勝負じゃないかと。見た目の印象ほど力任せでもなく、意外に強い体幹も生かし、とにかく振れる。他の選手を連れて大学のセレクションへ行ったりしても、普段、黒瀬の木製での打撃練習を見ているので驚くことはないですね。
★幻の投手黒瀬
下半身を使うことを覚えさせるため、ピッチャーをさせることも考えました。実際、下級生の時に練習試合で投げさせたことも。専念していたら140キロは投げるピッチャーになっていたでしょう。一度、野手の送球速度を計った時も助走つきですが147キロ。痛めた右肩が回復して本来の送球をできるようになれば、周りの守備に対する印象も変わるでしょう。
★もうひとつの理由
素直で野球に取り組む姿勢もよく、周りからも好かれるタイプです。ある社会人チームの練習に参加した時も、30分もすればチームの人から「へい、クロちゃん!」と呼ばれ本人もイキイキとプレー。年上揃いでレベルの高い選手に混じっても委縮するどころかよさをどんどん発揮。あの姿を見て、実力とは別の部分でプロの世界に進んでも楽しみだと思えました。
★これから
夏は厳しい状況の中、主将で4番で捕手。結果は残せませんでしたが、この悔しさも必ず先々でプラスになって返ってくる。いつの時も今の姿勢を忘れず、一番の魅力であるホームランが代名詞のバッターになってほしいですね。
●黒瀬健太の証言
★通算97号
1年の途中に足を大きく上げ始め、タイミングも取れるようになり、そこからの1年でホームランも16本、2年の時に55本……。通算100号は気にせんとこうと思いながらも、周りから言われて頭のどこかにはありました。3本届かなかったのは実力ですが、ホームランを打つとチームの雰囲気もよくなるし、嬉しいし、親も喜んでくれる。一番の持ち味です。
★右肩の故障
春の大会前の練習試合で二塁ランナーの時、頭から帰塁して痛めました。捻った感じで症状的には「肩甲下筋鍵損傷」。それからは練習試合で守らせてもらうようになっても、まともに二塁へ投げられないし、少しましになった夏も迷惑をかけたまま終わって……。できることを全力でやっていましたが、正直気持的にきつく病んでるかも……、と思う時もありました。
★飛ばしの秘訣
タイミングとポイントを大事にし、球をとらえるイメージは踏み出した左足の前。プロの選手の動画を見てもホームランの時はかなりポイントが前ですから。あとはバットにボールが長くくっついているイメージ。これも中田選手や中村剛也(西武)選手らの動画を見て感じた点で、よく聞くボールにバックスピンをかけることより、バットと長くくっついているイメージを大事にしています。
★これから
この3年間で技術もですが、それ以上に人間性、心の部分を教えていだだいた。そのおかげで選手としても、少しは成長できたと思います。これからも人間性を大事にすることを忘れず、芝野先生が言ってくれているような、持ち味であるホームラン、長打をしっかり打てる選手になりたいです。
※この記事は『野球太郎No.016 2015ドラフト直前大特集号』の「ドラフト候補&指導者マンツーマン・インタビュー」より、ダイジェストでお届けしております。
構成=野球太郎編集部