長野の有望選手、大会展望
7月12日〜27日（長野オリンピックスタジアムほか）
夏の信州王者へ復活を期す2強のエース
1、2年生に将来性豊かな逸材多数集う
投手編
▲寺沢星那（佐久長聖）
エース復活に期待
夏の信州王者を占う上で最大のポイントは、故障で戦列を離れている昨夏準Ｖ左腕・寺沢星耶（佐久長聖）の復調度合いだ。順調なら最速142キロのストレートとキレのいいスライダー、ツーシームを操るドラフト候補。たとえ今夏が万全でなくとも先を長く追っていきたい素材である。エース不在の中で佐久長聖を引っ張ったのが本格派右腕の両角優。140キロ近いストレートとスプリットが武器で、今春県大会1回戦敗退も11奪三振と力を見せた。さらに制球のいい左腕・阿部博光も控え、寺沢の穴をカバーしている。
センバツ出場の東海大三も投手層は厚い。甲子園で142キロを計測した右腕・高井ジュリアンは調子を崩し今春の登板はなし。だが、代わってエースナンバーを背負った中村海誠、平林俊太、名取泰誠の左腕3人に本格派右腕・福沢悠貴と、130キロ台中盤をマークする投手が居並ぶ。
今春県大会で投げ合った村橋輝一（東京都市大塩尻）と酒井大輝（長野商）はともに好左腕。村橋は小柄だが鋭く腕を振り、130キロ台後半を記録する。重い球質が特長の酒井は、リラックスしたフォームからカーブ、スライダーを丁寧に投げ込む。昨夏から実績がある杉浦望（創造学園）もバランスの取れたサウスポーだ。
右腕では、最速が140キロ近くキレも十分な鯖瀬駿介（上田西）の総合力が高い。昨秋北信越4強の星野晃司（地球環境）はピンチで本領を発揮する。足助章（松本第一）は多彩な変化球で春8者連続三振を演じた2年生右腕。昨年1年生春からマウンドに上がる大型右腕・川上清敬（長野日大）は、故障上がりで今春は球速こそ出なかったが、潜在能力は高い。
打者編
▲浦野雅也（東海大三）
スーパールーキー出現
3年生に目立った選手が少ないため、自然と下級生に目がいく。
まず1年生2人に注目だ。草海光貴（上田西）は昨夏まで松代で活躍した兄・直樹譲りの打撃センスの持ち主。大柄ではないが、コンパクトなスイングで安打を放つ技術は県内屈指だろう。春の3位決定戦では投手として先発し好投するなど、度胸も据わっている。もう1人は元山飛優（佐久長聖）。外角球を力強く左翼オーバーに流せる中長距離型。生駒ボーイズ（奈良）時代は遊撃手だったが、今春は三塁手を堅実にこなしていた。
長距離砲として成長を期待したいのが田辺直輝、マッカーシー龍海鳩（ともに佐久長聖）の2年生コンビだ。田辺は春の地区予選で左中間に運んだ一発が印象的。マッカーシーは練習試合で弾丸ライナーの右越え本塁打を放った。体ができると面白い素材だ。
3年生では浦野雅也（東海大三）が外れのない打撃にパワーもつけてきた。滝沢将人（上田西）は拾える技術と鋭いスイングで長打も秘める。伊野千春（創造学園）は強肩強打の高性能外野手。192センチ右腕・松本光樹（梓川）はパンチ力が魅力。遊撃手では好打の大久保長将（小海）、堅守の佐々内将也（下諏訪向陽）を挙げたい。
捕手では藤澤巧大（飯山）の打撃に注目。左右に長打が打てるミートセンスは抜群で、スローイングも昨秋より精度を上げている。
大会展望
稀にみる混戦を制するのは
波乱だった春季県大会が示すように、今夏は稀にみる混戦だ。その中で、ともにエース復帰を待つ昨夏準Ｖの佐久長聖とセンバツ出場の東海大三が夏への上積みが望める分一歩リード。連覇を狙う上田西、昨秋北信越4強の地球環境も差がない。春季県大会を制した創造学園と準Ｖの松本第一には勢いがあり、好投手を擁す長野商、長野日大、東京都市大塩尻も圏内。岡谷南は昨秋公式戦で東海大三に2勝の実績が光る。今春、佐久長聖、長野日大を連破した下諏訪向陽も侮れない。
