【2016夏の高校野球】《佐賀観戦ガイド》有望選手と大会展望&地区勢力ピラミッド
7月9日〜24日(みどりの森県営球場ほか)
秋春連続・の佐賀商が大逃げをかます!
2番手先鋒・龍谷の追い上げは届くか?
☆★☆ 投手編 ☆★☆
●高級素材・福島が急成長
新シーズンが解禁すると同時に、これまでベールに包まれていた大型右腕がついに実体を現した。身長189センチ右腕の福島雄大(佐賀東)だ。長身独特の角度をつけて叩き落とすストレートは140キロを優に越え、一部では最速148キロに達したとの情報もある。マウンド経験は少ないが、高級素材であることは疑いようがない。
佐賀商の豊富な投手陣も右の逸材が揃う。エース格の龍野瞳依はブルペンで145キロを計測。投げっぷりのよさが目立つ大嶌雄偉も、コンスタントに140キロ付近を叩く。永渕拓大は130キロ後半のストレートを軸に緩急を駆使する器用さもある。
昨年の甲子園で先発した池田智浩(龍谷)は、すべての球種が大幅にキレ味を増した。球速も135キロまでアップしたが、何よりも初速と終速の差がほとんどない球質が素晴らしい。制球力も高いだけでなく、甲子園で得た自信からか、今年はここぞの場面で気迫を前面に押し出している。
酒井鉄朗(鳥栖工)は130キロ台中盤のパワーみなぎるストレートと、追い込んでからのスライダーが目を見張る。同じくファイタースタイルの緒方隆太(伊万里商)も、最速140キロのストレートだけでなく、フィニッシュで使うタテのスライダーがいい。坂口蒼(鹿島)もギアが入った時には140キロ付近を連発してくる本格派タイプ。191センチの長身右腕から投げ下ろす江越健太(小城)も素材は一級品だ。
その他にもスローカーブの使い手で最大速度差30キロの投球を繰り広げる犬塚敬太(佐賀工)、左の田中脩弥(高志館)も見ていて飽きない。制球力が抜群の日永田凌(佐賀学園)は、スライダーをはじめとする変化球にさらなるキレが加わっている。
▲池田智浩(龍谷)
☆★☆ 打者編 ☆★☆
●爆発力を秘めた強打者が勢揃い
打者を見てもタレントは佐賀商に揃っている。不動の4番として君臨する野中翔太は、入学当初から“超高校級”の強烈な打球を連発。高校通算本塁打は29本に達し、夏までには30本の大台も超えてくるだろう。
野中の前を打つ平野友都も通算17本塁打と目標の20本が見えてきた。レギュラーではもっとも低い身長172センチながら、体幹の強靭さで長打を連発。れいめい(鹿児島)との練習試合では、太田龍の直球を逆方向の右中間に叩き込んでいる。さらに投手を務める龍野も、野中にも勝るとも劣らない打球の速さを誇る。通算10本塁打だが、平野、野中を確実性で上回る。上質なミドルヒッターとしての価値を見せており、投打両面で可能性に満ちている。
龍谷が誇る安打製造機として昨年は九州大会優勝、甲子園出場に貢献した石橋優希は、今季に入り飛距離が格段にアップ。練習試合解禁からわずか1週間で3本塁打を記録している。
福井庸介(鳥栖工)、谷村大聖(多久)は一発長打の魅力が備わった強打者。三遊間を守ることが多い酒見直希(早稲田佐賀)は、走攻守のバランスに優れ、投手としてもスピンの効いたキレのあるストレートを投げ込んでくる万能型アスリートだ。
▲野中翔太(佐賀商)
☆★☆ 大会展望 ☆★☆
●県内無敗の佐賀商が逃げる!
秋春と県内公式戦で無敗の佐賀商が大きくリードを広げている。春の九州大会では龍野を温存し、永渕、大嶌、弘川勝紀、さらには1年生の木村颯太を先発で起用し、経験を積ませた。さらに右アンダーの諸隈潤が2試合で好投したことで、投手陣に新たな引き出しが生まれた。追いかける龍谷は右腕・矢ヶ部航の復調が必要不可欠。池田の負担を軽減するためにも、投手の枚数は多ければ多いほどいい。他チームも佐賀商打線を抑えるだけの投手整備を急がねばならない。
地区勢力ピラミッド