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“巨人の報道は絶対に他紙に負けられない”その熱心さがスポーツ報知の原動力

 さる6月13日、日本時間でW杯が開幕したというその日。
 東京・千駄ヶ谷の神宮第三球場(ナックルボールスタジアム・レクチャースペース)にてトークイベント「加藤弘士(スポーツ報知・野球デスク)のスポーツ紙野球面を10倍楽しく読む方法」が開催されました。

 普通の野球ファンはもちろん、将来、記者になりたい大学生、さらに加藤さんのファンという方まで、過去最多の参加者にお越しいただきました。その熱気に触発された、知る人ぞ知る名物記者・加藤デスク。出足からフルスロットルの熱さと、持ち前の話術により加藤ワールドに包まれたこのイベントの一部を今週から3週にわたってお伝えします。

 ファン、記者志望の学生、野球を愛するすべての方必見!




[ゲスト/写真左]加藤弘士(かとう・ひろし)・・・1974年4月7日、茨城県水戸市出身。水戸一高ではプロレス研究会に所属。慶應義塾大法学部法律学科を卒業後、1997年に報知新聞社入社。広告局、出版局を経て、2003年からアマ野球担当。アマ野球キャップや、野村克也監督、斎藤佑樹の担当などを経て、2014年より野球デスクに。173センチ、62キロ。右投右打。

[司会/写真右]菊地選手(きくちせんしゅ)・・・本名:菊地高弘。『野球部あるある』著者、『野球太郎』副編集長。加藤デスクとは渡部建さん(アンジャッシュ)らが出演している「高校野球大好きナイト」で親交が始まり、イベント開催に至った。


 まずは、スポーツ報知(報知新聞社)への疑問を菊地選手が“あるある”で発表し、そこから加藤デスクの人となりや新聞記者・報知新聞社の実情を話していただいた。

「記者も全員巨人ファンだと思われる」

加藤 “あるある”ですね! 飲み会とかでもよく言われます。たしかに、そうかもしれませんが、ルーツは皆それぞれですよ。僕は最初、巨人ファンでしたが、自我の芽生えとともに、“野党的なもの”に惹かれたというか、それが出てきて小学校高学年からは阪神ファンになりました。大学が日吉だったので、(横浜に出やすい)東横線沿線に住んでいて、よくハマスタのレフトスタンドで亀山のテーマを歌っていました。だから、報知(新聞社)に入ると伝えると“どうしたの?”と高校時代の友人によく聞かれましたね(笑)。

菊地 魂売ったんじゃないかと思われたんでしょうね。やはり記者それぞれによって違いますか?

加藤 当然、巨人とは同じグループの一員であり、親しい選手も多いですから、間違いなく愛着はあります。ですが、もちろん、巨人以外の球団担当になり、キャンプからペナントレースとそのチームをずっと追っていくと、記者は“優勝してほしい”“この選手の記事を大きく書きたい”と、担当球団が好きになるものですよ。


「(巨人以外の)選手・監督に“どうせ報知の一面は巨人なんでしょ”と皮肉られる」

加藤 完全に“報知”あるあるですね。読者にジャイアンツファンが多いこともあって、巨人ネタが一面を多く飾るのは事実です。ただ巨人以外の球団担当だった時には、他紙がドカーンと大きく書く場合でも、ウチがそれほどのスペースでは扱えなくても、その中に僕でしか書けない、ファンに届く熱いエピソードを入れてやろう、濃厚さでは負けないという思いは持ってやっていましたね。2009年に楽天担当だった時のことなんですが、チームが劇的な勝利をした。野村克也監督が会見の最後に僕のことを見て「まさか報知の一面はないやろ」とボヤいたことがあったんです。それをデスクに報告したら、「面白いな。一面でいくか」と。「ノムさん、まさかの一面です!」とわざわざ見出しを入れて(笑)。これには野村監督も翌朝、驚いていました。

菊地 なるほど。まぁでも、一面を阪神に変えたらデイリーになるわけですよね。中日のトーチュウしかり。

加藤 そうです。だから、ウチでいうと“巨人のことは絶対に他紙に負けない”という前提条件があります。それがプレッシャーにもなりますし、質の高い報道をする上でのモチベーションにもなっています。そのためにも、とにかく昼夜動き回って、ネタを仕込むしかない。「攻撃は最大の防御」ですから。原稿を書く上で生じる不安は、取材で解消するしかないんです。


記者たるものやはり「足を使ってネタを拾う」。それが大前提だ。

 次回は、スポーツ紙記者はどのような1日を過ごすのか、その日常をお伝えいたします!

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