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「日本人メジャーリーガー名場面」ランキング

 2013年のMLBをダイジェストで振り返るランキング企画、第2回は日本人メジャーリーガーの印象的な活躍でつくる「日本人メジャーリーガー名場面」ランキングです。

 日本では盤石な地位を築き、満を持してMLBへ移籍した選手でも、少し不調が続けばマイナー落ち、それどころか対応に時間がかかる選手はメジャー昇格すら果たせない…。ここ数年はそのシビアさを感じずにはいられないMLB。そんな中でも、かつて野茂英雄(元ドジャースほか)や新庄剛志(元メッツほか)、伊良部秀輝(元ヤンキースほか)らがMLBで暴れた頃にも負けない、いや、それ以上の存在感を発揮している選手たちの活躍を紹介!


上原の連続無失点&無安打記録(7月9日〜9月12日)


 シーズン途中でクローザーを任された上原浩治(レッドソックス)は夏場に神がかっていた。7月9日から9月12日の間の27試合、30回1/3を連続無失点、8月22日からは37打者連続アウトという記録もつくった。

 17日のオリオールズ戦で先頭打者に三塁打を打たれた後、犠飛で失点。ここで記録は途絶えたが、この日までチーム成績は37勝23敗の貯金14。優勝に向けて突き進んだレッドソックスを支える活躍だった。

 奪三振が多く、27試合で対戦した153人の打者からは59奪三振(約39%)。連続アウトを奪った37人の打者からは17奪三振(約46%)。今年、奪三振王となったダルビッシュの三振奪取割合は33%。先発とクローザーで役割は異なり期間限定でもあるが、これを大きく上回るペースで三振を獲っていた。

 好調はポストシーズンも維持。16回を投げて1失点。46人の打者から17奪三振(37%)と持ち味を発揮した。


イチローの日米通算4000安打(8月21日)


 イチロー(ヤンキース)が、8月21日の真夏の夜のブルージェイズ戦で、日米通算4000安打を達成。R・A・ディッキーのナックルボールをレフト前に運んだ。日本9シーズンで2278安打、MLB13シーズンで2722安打を記録しての到達。MLBの2722安打というのは、現役選手だと同僚のジーターとロドリゲスに続く3位の記録で、イチローがMLBを代表するヒットメーカーであることは間違いない。

 日米通算という記録であり、アメリカ人がこれを「4000安打」と認識している様子はあまりないようだが、この日は試合を止めイチローを称える時間がつくられた。「僕だけのために時間をつくってくれるという行為なんかとても想像できるわけない。それもヤンキースタジアムで」。本人は恐縮したコメントを出したが、大ベテランながら増す謙虚さは、今のプレーの質が維持できている理由のようにも映った。


ダルビッシュが開幕2戦目にノーヒッター“未遂”(4月2日)


 MLBフリークなら「十分よくやった」と言ってくれそうだが、日本のような大活躍を期待したファンには肩すかしの成績でメジャー1年目を終えたダルビッシュ有(レンジャース)。

 そのダルビッシュが「完全にアジャストしてきた!」と衝撃を与えたのが、開幕2試合目、ダルビッシュ自身はもちろん今季初先発となった4月2日のアストロズ戦。カットボールとスライダー、昨年より球速の増した直球を駆使して14奪三振。パーフェクトを継続したまま9回2死までたどり着く。MLBの長い歴史でも24人しか達成していない大記録にあと1人に迫ったが、代打のゴンザレスが初球を叩きセンター前へ…。111球を投げていたダルビッシュはここで降板した。

 シーズン終了時にはすっかり忘れられしまったことから考えると、記憶は結果に対して刻まれるものだと痛感させられる。だが、大変な偉業であるのは間違いない。


 日本では圧倒的な成績を残してきた選手たちが、メジャーという異なる環境に合わせて自らを変え、もう一度輝く――。野球をはじめ多くのスポーツが国際舞台で勝つための「日本人のスタイル」を模索していますが、スタイルはまず環境ありきで決まるもの。「日本人は何が得意か、何があっているか」よりも「戦いの場はどんな環境なのか」をちゃんと知り、恐れず変わっていくこと。大事なのはそこではないか。日本人メジャーリーガーの姿を見て、そんなことを思いました。


■プロフィール
協力=高多薪吾(たかだ・しんご)
文=秋山健一郎(あきやま・けんいちろう)…1978年生まれ、東京都出身。編集者。担当書籍に『日本ハムに学ぶ勝てる組織づくりの教科書』(講談社プラスアルファ新書)、『プロ野球を統計学と客観分析で考えるセイバーメトリクスリポート1、2』(デルタ、水曜社)など。

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