東海地区の注目選手、出場校紹介
<東海地区・センバツ注目選手紹介>
藤田 凌司
県立岐阜商業高校 新3年/投手/左投左打/174センチ75キロ
ここに注目ベスト3
1.「チームを勝利に導く投球」
2.「スライダーのキレ具合」
3.「松井裕樹(桐光学園)から受けた影響」
どんな選手?/同校の藤田明宏監督の長男で、伝統校を久々のセンバツに導いた大黒柱。チェンジアップ・カーブの2種類だった変化球に昨秋、スライダーが加わり、低めに集めて相手を料理。体がタテ回転の投球フォームで、指にかかったボールは角度を感じさせる。投手として小技にも長けており、足攻チームの代表格・常葉学園菊川(静岡)戦では際どいタイミングの一塁牽制を連発した。
一冬を越えてここに注目!/昨秋は今ひとつだったストレートの球速が上がり、最速138キロに。現状は「安定した左腕」の枠内で収まっているが、ストレートの球筋で勝負できるようになってくれば楽しみも広がる。本人も意識している投球の「躍動感」はセンバツでも体現したい。
プロ選手で例えたら…小笠原孝(元中日)
浦嶌 颯太
菰野高校 新3年/投手/右投右打/183センチ85キロ
ここに注目ベスト3
1.「150キロのストレート」
2.「たとえ球速130キロでも体感140キロ」
3.「ヒジのしなり、柔らかさ」
どんな選手?/1年春に140キロ台をマークして一躍話題になり、同年秋には自己最速の151キロを叩き出した怪腕。しかし、その直後の右肩痛に端を発し、制球難、イップス…とうとう昨秋は県大会以降、公式戦登板ゼロで終わってしまった。それでも、肩周りの柔軟性、左足を大きく踏み出せる股関節の柔らかさなど、持っている素質・エンジンは超一級品。ヒジのしなりには惚れぼれする。
一冬を越えてここに注目!/昨年12月の紅白戦では3度、146キロを計測し、復活ののろしが上がっている。150キロ再到達なるか。東海地区を担当するプロのスカウトからは「いいピッチングをしているところを見たことがない」との声も出るが、雄姿はセンバツで披露する。
プロ選手で例えたら…平井正史(オリックス)
吉冨 大輝
菰野高校 新3年/一塁手/右投右打/181センチ112キロ
ここに注目ベスト3
1.「圧倒的な打球スピード」
2.「あり余るほどのパワー」
3.「巨体ながら穴のない打撃」
どんな選手?/中村剛也(西武)や中田亮二(中日)らが見事に重なる巨漢のパワーヒッターで、ここまで高校通算27弾。ボールを引っぱたいたときの痛烈なライナーも見ごたえ十分で、打球スピードは相手内野手が怖がるほど。巨体だが打撃に粗さがなく、パワーの中にも確かなミート技術がある。特徴的なキャラクターにうまく乗っかりつつも、そのキャラに溺れない真面目さ・クールさがあり、下級生時はやや緩めだった体型が徐々に筋肉質へと引き締まってきている。
一冬を越えてここに注目!/50メートル走のタイムは7秒0と、やや敏捷性に課題がある。プロを目指すならネックに。初の全国舞台で、キレのある走攻守を見せられるかが問われる。
プロ選手で例えたら…中村剛也(西武)
内田 学良
菰野高校 新3年/外野手/左投左打/173センチ73キロ
ここに注目ベスト3
1.「50メートル走5秒8の俊足」
2.「一塁駆け抜けのスピード」
3.「アベレージヒッター」
どんな選手?/「菰野のイチロー(ヤンキース)」と呼んだって、決してオーバーな表現ではない。50メートル走5秒8の俊足でセーフティーバントも余裕、自在にヒットを打ち分けるミートセンスも水準以上。サイズの小ささをそれほど感じさせない。打席での雰囲気も似ていて、本人も「インターネットの動画サイトでイチローさんの打ち方を研究しています」と明かしてくれた。
一冬を越えてここに注目!/「足はかなり速い。ただセンターとしてはもう少し肩の強さが欲しいかな」とは某セ・リーグ球団スカウトの見方。練習試合では投手も務めて最速131キロだが、その効果で返球がレーザービームに近づいてくれば、より一層ドラフト候補としてクローズアップされるはず。
プロ選手で例えたら…川?宗則(前マリナーズ)
?原 樹
常葉菊川高校 新2年/一塁手/右投左打/180センチ70キロ
ここに注目ベスト3
1.「リストを使えるスイング」
2.「ヘッドスピード」
3.「将来性」
どんな選手?/一般的には1番打者・登地慶輔の評価が高く、もちろん攻撃で点がとれて守備で失点を防げるリードオフマンも貴重だが、特に将来性が光るこの新2年生を「先物買い」で紹介したい。5番に座る身長180センチの大型左打者は、スイングでリストが使えてヘッドスピードも十分。中長距離打者としての素質がある。昨秋東海大会では初戦の大垣日大(岐阜)戦で本塁打を放ったが、これが高校通算初アーチというのは意外に感じられた。
一冬を越えてここに注目!/昨秋は背番号13でのスタメン起用だったが、センバツでは背番号3をつける予定。確実性や走力アップなど伸ばすべき点も少なくないが、センバツでもアピールを。
プロ選手で例えたら…亀井善行(巨人)
<東海地区・センバツ出場校紹介>
県立岐阜商業高等学校(岐阜県) 監督・藤田 明宏 主将・東 泰斗
秋季岐阜県大会:優勝 東海大会:優勝 明治神宮大会:2回戦(初戦敗退)
どんな高校?/昨年は春県大会、同東海大会、夏県大会、秋県大会、同東海大会とエリアの大会で「5連覇」を達成。気づけば勝っているのは「藤田マジック」のなせる業か。特筆すべきドラフト候補や大型選手はいないが、選手が粒揃いで、誰がどの打順に入っても機能できる。投手は監督の長男・藤田凌司に安定感あり。控えの1年生右腕・葛谷拓巳はスジがよい。野手はミートセンスが光る左打者の竹中裕紀や東泰斗が目を引く存在。
菰野高等学校(三重県) 監督・戸田 直光 主将・内田 学良
秋季三重県大会:優勝 東海大会:準優勝
どんな高校?/力のある選手が揃い、いかにも強力チームな雰囲気は東海エリアでも一、二の存在に。投手陣は中学時代に全国準Vの経験をもつ山中亨悟がエースとしてソツなく相手を封じ、最速151キロ右腕・浦嶌颯太もリリーフでの甲子園デビューが濃厚。野手は高校通算27弾の吉富大輝に、俊足巧打の内田学良、先輩・辻東倫(巨人)の陰に隠れていた遊撃手の小林輝也も動きがよい。身長182センチの秋豆幸輝も実力を底上げできれば楽しみ。
常葉学園菊川高等学校(静岡県) 監督・森下 知幸 主将・松木 大輔
秋季静岡県大会:準優勝 東海大会:ベスト4
どんな高校?/主軸に好選手が並ぶ。1番・登地慶輔は50メートル走5秒9の俊足で打率も高い。センターでの守備も見所で、低い軌道でうなる送球を返し、相手走者のタッチアップを躊躇させる。3番・遠藤康平、4番・松木大輔のプレーぶりも確かだ。投手では最速139キロのオーバースロー右腕・堀田竜也が力投を見せる。昨秋東海大会2回戦で優勝候補の東邦(愛知)相手に攻め続け、守備でピンチを重ねながらも4失点で凌いだゲームは見事だった。
■プロフィール
尾関 雄一朗(おぜき・ゆういちろう)/1984年生まれ、岐阜県出身。新聞記者を経て、現在は東海エリアの高校、大学、社会人を精力的に取材している。昨年は
濱田達郎投手(愛工大名電高→中日)らのもとへ何度も通った。今年は浦嶌颯太(菰野高)を特にマークする。