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2013春季東都大学リーグ入れ替え戦第1戦目レポート!

 雨の日が続きましたが、当初の予定通りに全日本大学野球選手権全日程が終了しました。そして6月17日より東都大学リーグの春季入れ替え戦(神宮球場)がスタート。まずは1部・2部の対戦が行われています。これまでも両チームの紹介などを中心に入れ替え戦の短期連載をしてきましたが、専修大vs拓殖大のレポート、秋のシーズンにどちらが1部リーグで過ごすのかを見届けて、このコーナーは終わりになります。

 目を通して下さっている皆さま、もう少しお付き合いお願いいたします!

☆予想外の展開に? 両チーム合わせて31安打の打撃戦

 専修大(1部最下位)と拓殖大(2部優勝)の入れ替え戦。初戦は専大が池田駿(新潟明訓)、拓大が尾松義生(明徳義塾)の両サウスポーが先発マウンドを託された。

 投手陣の柱として期待がかかった春だったが防御率6.26と振るわなかった池田に対し、尾松は4戦4勝、防御率0.58の好成績で2部最優秀投手賞を受賞。リーグ戦は対照的な結果となった投手同士の先発で試合の幕があがった。


▲専大先発・池田駿(新潟明訓)


▲拓大先発・尾松義生(明徳義塾)

 1回表、専大の先頭打者、??健太(常葉学園菊川)が四球を選び、拳を握りながら一塁へ進む。大事な先制点を取りに行きたい場面だが、送りバント失敗でダブルプレー。シーズン中も目立っていたミスがいきなり出てチャンスを潰す。

 その裏、拓大は1死から野添一貴(天理)がストレートの四球で出塁し、続く吉池勇太朗(水戸葵陵)の打席時にスタートを切る。それと同時に吉池がバットを振り抜くと、打球はガラ空きになった一二塁間を破り、ヒットエンドランが成功、ランナーは一、三塁となる。

 制球に苦しむ池田に付け込み、2死満塁とした後、石内謙太郎(下妻二)が押し出し四球を選び、先制点を奪った。

▲押し出し四球を選び左手を握りしめる拓大・石内謙太郎(下妻二)

 追加点は奪えなかったが、2回にもヒットとエラーでチャンスを作るなど、拓大のペースで試合は進むように思われた。

 しかし3回表、拓大・尾松がややコントロールを乱し、専大打線がヒットと四球を奪って1死満塁の同点のチャンスを作る。
 ここで市原一樹(松商学園)がタイムリーを放って同点に追いつき、なおも満塁。

▲同点タイムリーを放つ専大・市原一樹(松商学園)

 続く打者はショートゴロに倒れて本塁封殺。しかし、併殺を狙う捕手から一塁への送球がエラーとなり、二塁ランナーが生還。思わぬ形で専大が勝ち越しに成功した。この回にさらに2点を追加して一挙4点を奪った。

 だが、やはり池田のピッチングが安定しない。勝ち越した直後の3回裏、先頭打者を打ち取るも連続四球などにより2死満塁のピンチに。ここで早々と池田から同じ左腕の長谷川悟(常総学院)にスイッチしたが、この長谷川もボールが先行し、2者連続押し出し四球。ノーヒットで1点差に詰め寄られた。

 しかし、リーグ戦中は打撃に苦しんだものの、相手に傾きかけた流れをバットで呼び寄せる強さがこの日の専大にはあった。

 続く4回表の攻撃で3本のヒットを集めて尾松をノックアウト。2番手・宮城慎之介(滋賀学園)から荒木翔平(横浜)が2打席連続となるタイムリーを放つなど、3回に続く4得点を挙げた。

▲5安打4打点の活躍を見せた専大・荒木翔平(横浜)

 8−3――。専大が5点のリードを奪ったが、試合はまだ落ち着かなかった。

 4回裏、1死から高橋弘樹(拓大紅陵)、北條貴之(志学館)の連打で1点を返されると、さらに石内にヒットで繋がれ1死一、二塁。

▲4打数2安打と奮闘した拓大・高橋弘樹(拓大紅陵)


▲拓大・北條貴之(志学館)主将は2安打1打点

ここで専大ベンチは早くも3人目の角田皆斗(栃木工)をマウンドに送るが、鈴木孝昌(山梨学院大附)に左中間へタイムリー二塁打を打たれ、5失点目。

 こうなると勢いは俄然、拓大側に出てくるように思えたが、角田がなんとか後続を断ってピンチを脱した。

 専大が4点取ればその裏に2点を返し、2点取れば1点を返す、そんな展開が続いた。主導権は完全に握れなくても追いつかせない専大、点差は開くも失点直後に取り返す拓大…。そのため専大優位は変わらず、じわじわと点差が広がっていく。

 9回には柿田兼章(桐生商)、稲葉武昭(呉商業)の拓大の両1年生右腕が6失点とさらにダメ押しされ、終わってみれば18−7。

 3時間42分に及んだ乱打戦は専修大が制し、先勝。角田の粘り強いピッチングにバックが応え、投手の乱調にも野手陣が奮起しカバーしあえた。

▲粘り強いピッチングで勝ち投手になった専大・角田皆斗(栃木工)

 一方の拓殖大は、投手を中心に接戦をものにしてきた『らしさ』が感じられなかったが、取られた後に取り返すという『しつこさ』が印象的な一戦だった。

 明日(更新日本日)はどちらにとっても大事な2戦目。どのような試合になるのか目が離せない。12時試合開始となる。


◆専修大・河合優介主将


「リーグ戦後は『1部に残ろう!』という気持ちで、リーグ戦よりもいい雰囲気で過ごしてきました。きっちり守れないといけないので、守備を重点に置いて取り組んできました。

 (第2打席までバントの構えからヒッティング)左投手にタイミングが合わなかったので、この空き期間にバスターでやろうと決めたのですが、何とかうまくいってくれました。

 勝ちはしましたが、投手が主にならなくてはいけないのにまだまだでした。拓大どうこうというより、自分たちの問題です。今日投げていない山田(智弘)、大野(亨輔)が明日やってくれると思います。とにかく明日勝たないといけないので、気を引き締めて臨みたいです」

◆先頭打者として3安打6出塁の専修大・??健太選手

(写真左)
「リーグ戦中は苦しんだので、チーム一丸になってやろうと決めていました。 (3安打は)バッティング練習中に監督さんからバットが下から出ていると言われたのですが、そのアドバイスが大きかったです。

 (第1打席に四球でガッツポーズ)先攻の1番バッターは出なければいけないし、出れば勝つと思っています。

 最近は勝てずに苦しかったので、この勝ちは大きいです。明日は接戦になってヒットを打つのも難しい展開になると思うので、足を活かせるかどうかがカギだと思っています」

文=山田沙希子(やまだ・さきこ)/早い時期から東都大学の魅力にハマり、大学生時は平日の多くは神宮球場または神宮第二球場に通い詰めた、三度の飯より東都大学リーグが好きなライター。多くの東都プレイヤーの取材を通して、さらに東都愛は加速。ナックルボールスタジアム主催のイベント「TOHKEN〜東都大学リーグ野球観戦研究会〜」でも活躍。

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