長崎の有望選手、大会展望
7月11日〜29日(長崎ビッグNスタジアム)
長崎県最強の創成館を追う海星と瓊浦!
春の県大会で大旋風の島原農にも要注目
投手編
▲廣渡勇樹(創成館)
速球派入り乱れる!
2年連続でセンバツに出場した創成館の投手陣が、名実ともに群を抜く。センバツでエースナンバーの廣渡勇樹、右の2番手級だった立部峻長が、ここへきて140キロを超える快速球を連発している。廣渡は長身を生かした角度、立部は手元での伸びと、両者のストレートにはそれぞれ異なった魅力を備えるが、いずれも体重を余すことなく乗せており、球威も十分。ともに変化球の精度、ゲームメークにも定評があり、春の九州大会では立部がエースナンバーを奪取するまでに成長した。
また、2年生左腕の鷲崎淳も冬場の故障が癒え、球に威力が戻りつつある。
その鷲崎と双璧をなす左腕と評価されているのが中村稔弥(清峰)だ。最速は常に140キロ付近をコンスタントに叩き、右打者の懐をえぐるストレートとヒザ元へ決まるスライダーに、底知れぬ将来性が見え隠れする。
佐世保工の二枚看板も面白い。右腕の中野夏希は荒れ狂ったような140キロ超のストレートで押すタイプ。一方、左腕の成冨弘人は重さを感じるストレートと試合をきっちりと作り上げる投球術で相手打線を翻弄。もちろん、両者ともに完投能力は備わっており、ハートの強さも申し分ない。
140キロ級といえば、大型右腕の西島篤(九州文化学園)と柴崎康平(島原農)も忘れてはならない。特に柴崎は内野手登録の2年生で、ストレート一本で抑えにかかる度胸のよさが素晴らしい。169センチと小柄ながら、驚くべきハイテンポで打者へと向かう投げっぷりのよさも高く買いたい。
また、1年時からクレバーな投球でエースを張る馬場康一郎(諫早)は、体重の増加でエースらしい風格が備わってきた。
打者編
▲高瀬雄大(長崎西)
俊足強打の素材が目白押し
秋以降、遊撃手に専念している高瀬雄大(長崎西)の守備力が圧倒的だ。フットワーク、球際の強さ、打球カンのよさは持って生まれたもので、すでに大学レベルにあるといっていい。
牧野慎也(創成館)は右の中距離打者だが、長打ゾーンは右中間にも及ぶ。肩の強さを存分に生かした遊撃手としての守備力もなかなかのものがある。
平湯蒼藍(海星)のバットコントロールは特筆ものだろう。シニア日本代表に名を連ねた打棒で、広角に長短打を連発する。相手の力攻めに屈しないスイングスピードもピカイチだ。
長打力では田嵜稔季(佐世保実)と小島大聖(波佐見)も負けてはいない。長崎を代表する右の大砲でもある彼らは、目が覚めるようなヘッドスピードから規格外の弾丸ライナーを右へ左へ。ともに決定力をもう少し上げていきたいところだが、左翼席にロックオンしたままのフルスイングは爽快感に満ちている。
春の王者、島原農にもバラエティーに富んだ好打者は多い。俊足の中堅手・田浦靖之、パンチ力の三浦健太、打ってよし投げてよしの柴崎。このチームは2ケタ番号を背負いながらも一芸に秀でている選手が多いので、試合終了まで飽きることなく観戦できるはずだ。
大会展望
独走の創成館はどこまで走る?
2年連続センバツ出場、6季連続九州大会出場の創成館だが、夏の甲子園出場はまだない。しかしこの春、ここまで“準決勝の壁”に泣かされ続けてきた九州大会で決勝進出を果たすなど、ワンステージ昇華した感もある。投打の戦力から判断しても、長崎県最強の座は揺るがないだろう。春準優勝の瓊浦やタレントの豊富な海星が追撃の一番手を争うが、金城孝夫監督率いる夏の試合巧者・長崎日大、経験豊富な清峰や波佐見あたりもピタリと照準を合わせてくるだろう。