6月12日が41歳の誕生日。松井秀喜が球界に提言したいこと〜前例のないことをいきなり否定できない〜
今日6月12日は、日本が生んだ大打者、松井秀喜氏(元巨人ほか)の41歳の誕生日だ。今年はDeNAの春季キャンプに視察したことが話題になったが、その後、ヤンキースGM特別アドバイザーに就任し、再びメジャーリーグに活躍の場を移している。
そのメジャーで最近話題の出来事といえば、投打の二刀流ならぬ、左右の二刀流「スイッチピッチャー」の存在だ。アスレチックスの「左右両投げ投手」パット・ベンディットがメジャーに昇格し、レッドソックス戦でのデビュー戦で、左右投げを披露した。
遠く離れた日本では、「球界のご意見番」こと張本勲氏(元東映ほか)がテレビ番組の中で早速この両手投げを「どっちも中途半端になる!」として全否定。張本氏は大谷翔平(日本ハム)の二刀流も否定し続けているわけだから、ある意味で期待通りのコメントともいえる。
では、実際にメジャーリーグを体験した松井氏ならどんなコメントを発するのか? 直接の回答ではないが、そのヒントになりそうな言説を今年上梓した自著『エキストライニングス』(文藝春秋)に収めている。
本書では全41項目におよぶ松井流の野球理論が、実際にプレーした選手・監督とのエピソードを交えながら披露されている。その中でも印象深いのは、『常識に縛られるな』として語る大谷翔平の二刀流挑戦についてだ。
《両方やっていては一流にはなれないという意見もあるようだが、これまでほとんどいなかったわけだから、無理だと言うこと自体がおかしいと僕は感じる。難しいのは分かるが、前例のないことをいきなり否定できない》
この言説を見る限り、ベンディットの両手投げに関しても、「無理だと言うこと自体がおかしい」と判断するのではないだろうか。
同様に、「常識と思われていることも突き詰めれば、中には覆ることもあるだろう」として、以下の「常識破り」も待望している。
◎左投げの捕手
◎米国での先発投手「中4日」起用法
◎新しい守備位置
また、常識破りではないものの、日本でスイッチヒッターが少ないことにも疑問を呈している。ちなみに松井氏自身も、野球を始めた少年時代は右打者。そこから、周囲のアドバイスもあって左打ちに変えた経緯がある。
《小学4年まで自然にできていた右打ちを完全に捨ててしまったのだから、もったいないという気もする。今から思えば右でも打ってみたかった。やめるのは難しいことではないのだし、やりたいと思ったら挑戦するのはいいこと》
近年、日本のプロ野球でもアマチュア野球でも右打者の長距離砲がトレンドだ。松井氏ならどんな右打者になっていたのか……。誕生日にそんな想像をしてみるのもまた楽しい。