亜細亜大より2投手が上位指名でプロ入りへ! 2人の“素の表情”を公開!
●あのドラ1投手は見る者を魅了するキャラの持ち主!?
今年のドラフト会議では亜細亜大より2名の選手が指名を受けた。まずひとりは山?康晃(DeNA1位)。
本誌『野球太郎No.013』でも記したとおり、ドラフト当日は東都大学秋季リーグの最終戦であったが、山?ら4年生はベンチ入りはせず、スタンドから声援を送った。試合終了後、神宮球場から武蔵境キャンパスへ向かう車中で指名を知った。
ドラフト以降のスポーツニュースなどで、彼のマウンドとはまた違う一面を知る人も増えたと思う。グラウンドから離れれば少しおっとりとした雰囲気と口調が山?の魅力でもある。
▲表情豊かに会見に応じた山?
今春のリーグ最終戦の試合前。神宮球場の記者室へメンバー表を取りに行った時のことだった。神宮の記者室は場内通路から階段を降りていくとあるのだが、そこから再びスタンドへ戻ろうと階段を上がった時……
「こんにちは!」
と前方から声がした。そこは少し暗く、顔もわからなかったが、挨拶を返すと亜細亜大のユニホームで「18」番という背番号だけ見えた。それでその声の主が山?だとわかった。
そのまま歩を進めていくと「今日は暑いですねえ」とゆったりした口調で言葉をかけられた。この日は國學院大との優勝決定戦であり、当然、山?も先発を託されていた。そんな大切な試合前にもかかわらず、全くその雰囲気を感じさせないあたりに山?のスケールの大きさがうかがえた。
この試合、延長10回1失点完投勝利を挙げた。最終回途中に熱中症のために右臀部がけいれんし、一時ベンチへと退きながらもチームを優勝へと導いたのだった。
プロの世界ともなれば実力はもちろん、キャラクターや人気面も重要になってくる。山?なら、そのどちらにおいても注目を集める存在になってくれるだろう。
●リーグ戦登板数はわずか。それでも2位指名の高評価を得て、プロの世界へ
もうひとり、亜細亜大から指名を受けたのは薮田和樹(広島2位)。地元球団からの嬉しい指名だった。
▲広島の帽子を被って胴上げをされる薮田
当日は山?のキャンパス到着を待ってから、まずはテレビ用の会見が始まった。そして、場所を移動してフォトセッションの予定となっており、司会進行を務めて頂いた大学職員から、その旨のアナウンスもあった。しかし、急きょ「そのままこの場でお待ちください」という言葉に変わった。少々、慌てているようにも見受けられ、数分待機していると、薮田本人や部員が控える隣室から歓声が上がった。
ここで先ほどの職員から、驚いた様子で薮田指名の報告がなされた。薮田自身も会見では開口一番
「まさか上位で指名してもらえるとは驚いている」
と発言。しかし、その後は切なる思いを込めた言葉を伝えた。
「小さい頃から見ていた野球はカープなので嬉しいです。(大学4年間を振り返って? の問いに)何の貢献もできなかったので思い残すことばかりですが、これからは自分の進む道で、亜細亜大の名前を広めていけたらいいなと思います。圧倒できる力をつけて、プロの世界で長く続けていきたいです」
笑みを浮かべる山?とは対照的に、会見ではほとんど表情を緩めることがなかった薮田。未だにプロへの道が開かれたことが信じられない様子だった。
だが、写真撮影では山?とともに、笑顔で仲間と喜びを分かち合いながら様々なポーズを決めてくれた。
失礼を承知で言えば、私も含めて指名順位に「まさか」という思いを抱いた人も多いはずだ。だが、アマ時代の実績でプロの世界を戦うわけではない。“ドラ2”という評価を受けたことには自信を持ち、大学時代の成績に決して引け目を感じることなくマウンドに登っていってほしい。
▲大学での公式戦出場は3試合だったが、広島のユニホームを着た薮田のピッチングを何度でも見たい
■ライタープロフィール
山田沙希子(やまだ・さきこ)/東京都出身。早い時期から東都大学リーグの魅力にハマり、大学生時は平日の多くは神宮球場または神宮第二球場に通い詰めた、三度の飯より東都大学リーグが好きなライター。多くの東都プレイヤーの取材を通して、さらに東都愛は加速。ナックルボールスタジアム主催のイベント「TOHKEN〜東都大学リーグ野球観戦研究会〜」でも活躍。