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セ・リーグは広島、パ・リーグはロッテが勝ち上がった1stステージをコメントを振り返る!

 さすがに“超”がつくほどの短期決戦だったクライマックスシリーズ・ファーストステージ(CS1stステージ)。あっという間に終わってしまった…という感想を持った読者もいたのではないだろうか。

 レギュラーシーズンとは異なる、その短期決戦ならではの醍醐味が味わえるポストシーズンゲーム。このコーナーでは、他誌にあるようなありきたりの試合結果や結果解説ではなく、スポーツ紙などに掲載された監督や選手たちの「コメント」に焦点を当てながら、シリーズを振り返ってみようと思う。

<セ・リーグ編>
◎10月11日(金)開幕前日
広島・前田健太「このメンバーで弱いイメージ、負けの歴史を変えていきたい」

 広島のシーズン勝率.489は、CS出場チームでは過去最低の勝率。裏を返せばそんな広島が勝ち進めば、過去最低勝率からの「下克上」が達成されるのだ。さらに「怖いものなしで向かっていきたい」とコメントしたマエケン。思い起こせば今春、WBCで日本の運命を背負った右腕に「史上最低勝率からの下克上」は託された。

◎10月12日(土)第1戦:阪神1ー8広島
阪神・中西投手コーチ「トータルで考えたうえで、マエケンにぶつけた」

 阪神は過去3度CS出場しているが、第1戦は全て負けている。そのジンクス打破のために先発に指名されたのは、なんと高卒ルーキー・藤浪晋太郎だった。今季1勝4敗と前田健に抑えられていた阪神のなかで唯一、投げ勝ったのが藤浪。さらに広島戦は2勝0敗、防御率1.29と相性がよく、中西投手コーチのコメントも理解できなくはない。

 しかし結果は広島・キラに手痛い1発を浴びるなど4失点で敗戦投手に。無双状態だった高校時代から、プロ1年目で10勝した今季、藤浪にとって聖地である甲子園の舞台で初めて味わう“ショック”だったに違いない。

◎10月13日(日)第2戦:阪神4-7広島
広島・野村謙二郎監督「捕ったのか?」

 甲子園を想像以上に埋め尽くした広島ファンでさえ「やられた!」と思っただろう。0-1で迎えた2回裏、阪神・藤井彰が放ったレフトオーバーの大飛球をあのエルドレッドがスーパーキャッチ。球場全体があっけにとられている瞬間、カットに入った菊池涼介に返球し、一塁へ転送。ランナーの坂克彦は戻れずに併殺が完成した。

 ベンチにいた野村監督が、エルドレッドが捕球した際にまわりのコーチに確認したときのコメントがこれだ。抜けていれば阪神は2点目を挙げて、試合の流れは完全に阪神へと傾いていただろう。ひとつのプレーが大きく試合展開を変える短期決戦。改めてその恐ろしさを思い知らされるワンプレーだった。

 これでセ・リーグCS1stステージの勝者は広島に決まり、16日からのファイナルステージはセ王者の巨人と東京ドームで激突することが決まった。

<パ・リーグ編>
◎10月11日(金)開幕前日
ロッテ・伊東監督「青い血から黒い血に変わるかどうか」

 「青い血」とはライオンズブルーのことで「黒い血」とはもちろんロッテのチームカラー。伊東監督はこのシリーズを勝利することで、古巣・西武ライオンズと決別することを誓ったのだった。かつて西武黄金期を支えたバッテリーが火花を散らす戦いは、開幕前日からヒートアップした。

◎10月12日(土)第1戦:西武1-11ロッテ
ロッテ・里崎智也「今日はジジイが頑張りましたよ! アッハッハ」

 西武ドームで3勝9敗の苦手意識はどこへやら。ロッテ打線が予想外に爆発して第1戦を圧勝した。目立ったのが3打席連続打点の井口資仁(38歳)、中押しソロを放ったサブロー(37歳)、そして2塁打2本、2打点と大暴れした里崎(37歳)。ポイントはロッテが徹底した「積極打法」。ファーストストライクから積極的に打ちにいく作戦が功を奏した結果となった。そもそもCSで勝ち上がる様を「下克上」と名付けたのは、何を隠そう里崎だ。これでロッテがファイナルステージ進出に王手をかけた。

◎10月13日(日)第2戦:西武15-0ロッテ
西武・中村剛也「先発全員安打はあと俺だけだったので、狙いにいった」

 5回に右中間へタイムリー二塁打を放った中村のコメントは西武打線の恐ろしさを感じさせる。前日は16安打11失点と散々だった西武が「やられたらやり返す」CS新記録の20安打15得点でロッテに圧勝。昨年10月に手術した中村は今季119試合目に一軍へ合流。「バリバリのメジャーリーガー助っ人が入団したようなものだ」とコメントした光山英和コーチの言葉通り、厚みを増した西武打線。これで第3戦で西武は勝つか引き分け、ロッテは勝てばファイナルステージ進出が決まる展開となった。

◎10月14日(月・祝)第3戦:西武1-4ロッテ
西武・渡辺久信監督「選手は最後まで勝利への執念を持ってよくやった。この悔しさを来シーズンに生かしてほしい」

 大味な試合展開となった1・2戦とは一転して、第3戦は手に汗にぎる好ゲームとなった。結果はご存じの通り、シーズン終盤には無類のような強さを誇った西武が、大方の予想に反して1stステージ敗退。渡辺監督は悔しさを堪えてコメントしたそうだ。

 凡打して戻ったベンチで悔しさのあまりヘルメットを叩きつけた栗山巧、5回・6回と先頭打者の初球を本塁打されて無念の降板となり、人目をはばからず号泣した牧田和久。シーズン終盤には“獅子奮迅”の活躍をみせたものの、最後の最後で打たれた涌井秀章…。

 久しぶりに観た、ヒリヒリしたプロ同士の面子をかけた試合だったような気がする。西武ドームは試合後、西武応援団とロッテ応援団からお互いにエール交換が行われたという。球場に駆けつけた33,832人は、プロ野球の試合に酔ったといえるだろう。

 そして息つくヒマもなく、明日16日からセ・リーグCSファイナルステージが開幕する。日本シリーズに出場するのは果たして、どのチームか? 興味は尽きない。


■ライター・プロフィール 鈴木雷人(すずき・らいと)…会社勤めの傍ら、大好きな野球を中心とした雑食系物書きとして活動中。"ファン目線を大切に"をモットーに、プロアマ問わず野球を追いかけている。Twitterは@suzukiwrite

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