今週は日米でオールスターウイーク!…今週の野球みどころランキング[7月16日(火)〜7月22日(月)]
『今週の野球みどころランキング』は、7月第3週はじめの時点で注目度の高まっている野球関連の話題について紹介していきます。
最後には今後の簡単な野球界のスケジュールを添えていますので、重要事項はチェックしておいてください!
ダルビッシュ故障で球宴回避、田中賢介「レフト」でメジャーデビュー
―――MLB
日米オールスターウイーク(詳細は後述)となる今週だが、まずは残念なニュースから。
2年連続2度目のオールスター出場が決まっていたダルビッシュ有(レンジャーズ)だが、11日に登板予定だったオリオールズ戦を「右肩の筋肉の張りのため登板せず15日間の故障者リストに入る」とチームが発表。これにより16日にニューヨークで開催されるオールスター出場も見送られることとなった。
また各リーグで最後の出場選手をインターネット投票によって決める「ファイナル・ボート」の候補選手となっていた上原浩治(レッドソックス)。11日に最終結果が発表された結果、ア・リーグ4位に終わり、初出場はならなかった。
ダルビッシュとともにオールスターに選出されていた岩隈久志(マリナーズ)もオールスターでの登板はないようだ。ローテーション通り14日のエンゼルス戦に登板(7回7安打3失点で今季8勝目)したため、MLBの規定により先発投手が中1日でオールスターに登板するには球数制限をするか、1イニングのみ、に限り登板できるが、ア・リーグを指揮するタイガースのリーランド監督は起用しない方針を示した(昨年までは登板を禁止という規定だったが、今年から変更された)。ダルビッシュ、岩隈ともにオールスターのセレモニーなどには参加する。
一方、初出場といえば日本ハムからFAでサンフランシスコ・ジャイアンツに移籍した田中賢介がついに9日のメッツ戦でメジャー初出場。打順は2番、ポジションは今季途中から挑戦しているレフトについた。2回には、そのレフトで本塁打性の当たりを好捕。さらに5回にはメジャー初安打を記録した。なお、この田中の出場で日本人メジャーリーガーは記念すべき50人目となった。
この勢いそのままに、デビューから4試合連続ヒット。3試合目の出場では初打点と初のマルチ安打、初盗塁も記録した。
黒田博樹(ヤンキース)は12日のツインズ戦に先発。4回を投げ無失点も、その裏の自軍攻撃中に1時間13分の中断となった。メジャーの慣例では1時間以上の中断は投手交代となるが黒田は続投を直訴し、了承を得て続投すると、5回も無失点で抑え、この回をもって降板。このままチームも勝利し今季8勝目、防御率も2.65のア・リーグトップに躍り出た(14日現在ではヘルナンデス(マリナーズ)に次ぎ2位)。さらには野茂英雄氏に並ぶ29球団を相手に勝利したこととなり、全30球団勝利に王手をかけた(残る1チームはタイガース)。
奇跡の「早期再昇格」を果たした川?宗則(ブルージェイズ)だったが、内野手であるブレッド・ローリーが故障者リストから復帰したため、再び3Aへの降格が決まった。
イチローはメジャー通算2000試合出場となった14日のツインズ戦に1番センターで先発出場。7回に6号ソロ本塁打を放つなど5打数3安打2打点と活躍し、自身の節目を飾った。
記録というと今季2人目のノーヒッターが誕生。ジャイアンツのティム・リンスカムが13日のパドレス戦に先発すると、味方の好捕などもありノーヒットノーランを達成した。
2008年と2009年のサイ・ヤング賞投手のリンスカムだが、昨季は10勝15敗。かつて150キロ超だったストレートも鳴りを潜めていた。この試合でも150キロには届かなかったものの、要所でカーブやチェンジアップが決まり、6者連続を含む今季自己最多の13奪三振。見事に大記録達成者の仲間入りを果たした。
一方、開幕から無傷の13連勝中で今年のサイ・ヤング賞候補にも名が挙がりそうなマックス・シャーザー(タイガース)だったが、13日のレンジャーズ戦で、ついに今季初黒星を喫した。
そのシャーザーらも出場する『MLBオールスター2013』は16日(日本時間17日午前)にニューヨーク・メッツの本拠地であるシティ・フィールドで開催される。
※日時は全てアメリカ現地時間です
日米大学野球であわや乱闘
―――大学野球NPB
先週の更新で既報の通り、第3戦に快勝し優勝に王手をかけた日本だったが、栃木県宇都宮に場所を移した10日の第4戦では、先発した杉浦が1回を持たずKOされると、その後も日本がミスを連発。一方、アメリカは内野陣が好守備で投手陣を盛りたて、最後は三塁手のマット・チャップマンが最終回になんと抑えで登板(しかも球速150キロ台連発!)するなど余裕の快勝で2勝2敗のタイに戻し、アメリカが逆王手をかけた。
そして優勝をかけた最終戦、舞台は「日本学生野球の聖地」神宮球場。だが、ここで両国間のマナー解釈の差異が思いもよらぬ事態を引き起こす。
まず事件が起きたのは4回裏、アメリカンの2番手左腕として登板した ブランドン・フィナガン(テキサスクリスチャン大)の150キロ台後半のストレートが7番・岡大海(明治大)の右ヒザ上を直撃。これまでも死球や頭部付近へ投球など厳しい攻めを受けてきただけに、岡は激高しヘルメットを叩きつけた。これにより両軍から選手が飛び出し、不穏な空気に。
さらに5回には、日本の4番・梅野隆太郎(福岡大)と5番・中村奨吾(早稲田大)が連続本塁打。しかし両打者ともに打った瞬間にバットを勢いよく放り投げたり(※)、ガッツポーズをする仕草をしたため、今度は米国側が激怒。シュロスネーグル監督が梅野のバットを日本代表ベンチの方向に向かって投げ返すなどエキサイト。
結局この中村の本塁打後に主審が「警告試合」が宣言。その前後にも米国ベンチの応援(ベンチ前に腰掛けての応援、壁を叩いてリズムを取るなど音を出しての応援)を日本側の抗議によって、主審が止めさせるなど、混乱の多い試合だった。
※米国代表の通訳の方に聞いたのですが、「ホームラン打った選手がバット放り投げる」行為はアメリカでは絶対にやってはいけない行為だそうです。警告の際、一塁塁審(アメリカの方)が上手くそれを日本側に説明してくれたそう。冷静な審判団のもとで試合は最後まで無事に終えることができました。
そんな混乱がスコアに表れたのか、シーソーゲームとなったが、それを締めたのは、先発・山?福也(明治大)の後を引き継いだ関谷亮太(明治大)と山?康晃(亜細亜大)の両投手と嶺井博希(亜細亜大)のバッテリー。鬼気迫るアメリカ打線を冷静にかわしていき、7−4の逃げ切り勝利に大きく貢献。この勝利により日本が2大会ぶり17回目の優勝を決めた。
最優秀選手賞には関谷、最優秀投手には山?康晃、首位打者賞に大城戸匠理(法政大/打率.467)、アメリカ代表からは、打線の中軸を担い活躍したテーラー・スパークスが敢闘賞を受賞した。
個人賞の受賞はなかったが、日本を率いた善波達也監督は「嶺井の力が大きかった」と何度も今大会マスクをかぶり続けた嶺井への賞賛を繰り返した。今後プロ志望が予想される嶺井。ラストシーズンとなる秋季を含め、今後の活躍に期待したい。
[写真:山本晃子]
都市対抗野球開幕 開幕戦から熱戦
―――社会人野球
12日より、社会人野球最高峰の大会『第84回都市対抗野球』が開幕。JX-ENEOS(横浜市)の渡邉貴美男主将の「我々は野球が大好きです」から始まる約2分弱の熱い選手宣誓で幕が開けた今大会。
NTT西日本(大阪市)vs JX-ENEOS(横浜市)の開幕戦は、「野球が大好き」そんな想いが詰まったかのような延長戦に持ち込まれる大熱戦となった。最後は昨年度の優勝捕手だが、肩を痛めておりスタメンを外れていた山岡剛が代打サヨナラタイムリー。苦戦しながらも、3-2でJX-ENEOSが連覇へスタートした。
14日の3日目第1試合にはドラフト上位候補の浦野博司(セガサミー/東京都)が新日鐵住金かずさマジック(君津市)戦に登板。7回途中まで2失点の内容も味方の援護がなく、0−2で敗戦。試合後、浦野は「この日のために1年間やってきたので、悔しい」と唇を噛んだ。
また第3試合には、同じくドラフト上位候補で、昨年大会で新人賞にあたる若獅子賞も獲得した吉田一将(JR東日本/東京都)が王子(春日井市)戦に先発。8回2/3を投げ無失点とその片鱗を見せつけ、チームの勝利(2−0)に貢献した。
その他には東京ガス、JFE西日本、三菱重工名古屋、東邦ガス、三菱重工横浜、パナソニック、ニチダイが2回戦進出を決めた。来週23日(火)に行われる決勝まで熱い闘いが繰り広げられる。
[写真:山本晃子]
桐光学園・松井、苦戦しながらも初戦突破 各地では強豪校が早くも敗退
―――高校野球
日本中の野球ファンの熱視線を浴びる桐光学園・松井裕樹の夏がついに始まった。
14日、神奈川県大会2回戦の相洋戦に先発。桐光学園が2点リードするも一度追いつかれ、7回にやっと勝ち越し。最終回も1死満塁のピンチを招いたものの、なんとか逃げ切るという薄氷の勝利だった。松井は9回7安打2失点9奪三振。ちなみに、桐光学園vs相洋は、昨年も4回戦で同カードが行われており、相洋が先行するも、松井が登板したことで流れが変わり、桐光学園が6-4で勝利を収めた。
桐光学園の次戦は3回戦、17日に上矢部(サーティーフォー相模原球場)と対戦する。
一方、各地区の予選では強豪校が続々と敗退。
まず沖縄県大会で、2010年に春夏連覇を達成した興南が3回戦で美里に3−6で敗戦。2回戦で春の県大会優勝の第1シード・北山を破った勢いそのままに名門校も撃破した(ただ、準々決勝で美里は美里工に敗戦)。
北北海道では21世紀枠で今春センバツに出場し、秋の全道大会でも4強入りしていた遠軽が北北海道大会の本大会1回戦で帯広三条に4-5で敗戦。東東京大会では昨夏の代表校である成立学園が3回戦で都立城東に3-5で敗戦。香川県大会でも昨夏の代表校である香川西が高松工芸に5−7で敗れ、さらに大分県大会でも昨夏の代表校・杵築が9回に逆転され高田に1-2で初戦敗退となった。
兵庫では昨秋の県大会は準優勝、今春は優勝で、近畿大会は準優勝に輝いた神戸国際大付も伊川谷に3-2で敗れ、こちらも初戦敗退という結果に。
また、プロ注目の小川章太と三好大生の両好右腕を擁し注目されていた高野山は、和歌山県大会1回戦に臨むも、古豪・日高中津分校に両右腕が打ち込まれ。2−9とまさかのコールド負け。短い夏が終わった。
順調に日程を消化していけば、今週中にも甲子園への切符を掴み取る代表校が早くも決まりそうだ。
ライアン小川10勝1番乗り 今週はオールスターウイーク
―――NPB
今季、開幕から不振を極めているヤクルトだが、7月は15日までで6勝6敗と復調の兆しを見せている。その立役者はなんといっても、脅威の新人と頼れる大砲の存在だ。
13日の広島戦で先発のマウンドに上がったのは、“ライアン”こと小川泰弘。この試合前まで9勝を挙げ、チームどころかリーグの勝ち頭となっていた小川はこの日も好投。7回2/3を投げ、8安打を浴びながらも3失点にまとめ、チームの勝利(8−3)に貢献し、10勝目。
セ・リーグで新人投手が10勝に1番乗りしたのは、1999年の巨人・上原浩治(現レッドソックス)以来の出来事だった。今後の活躍がますます楽しみだ。
頼れる大砲ことバレンティンは、この試合で2打席連続本塁打を放ち、小川を大きく援護した。翌日の同カードでも32号本塁打を放った。ちなみに、このペースで打ち続けると、シーズン62本ペースとなる。
セ・リーグは3位〜6位までが2ゲーム差の中にひしめき合っているだけに、不振だと言われてきたヤクルトでもCS出場はまだ十二分に狙える。新外国人・キラが来日早々の加入を起爆剤としたい広島、浅尾が復帰した中日、6月1日に2割ちょうどの打率が.293まで上昇してきたモーガンにブランコ、中村紀洋の調子が戻ってくれば脅威の打線となるDeNAと面白い戦いはいつまでも続きそうだ。
脅威の新人といえばパ・リーグでは、なんと言っても日本ハムの大谷翔平だろう。
11日の楽天戦の試合前、外野をランニングしている際にフリー打撃の打球が右頬を直撃。「右頬骨不全骨折」の診断を受けた。しかし、大谷は14日の楽天戦、陽岱鋼の代打で復帰すると、大谷智久(ロッテ)がフルカウントから投じた6球目の外角低めを突くストレートを上手くバットに乗せ、すくいあげると、打球はバックスクリーン横のレフトスタンド席へ飛び込む第2号本塁打!
高卒新人野手による2戦連続ホームランは1993年の松井秀喜氏(当時巨人)以来20年ぶりとなり、その大物ぶりを遺憾なく見せつけている。
そして今週は何と言ってもオールスターウイーク!
17日午前中の『MLBオールスター』を皮切りに、18日には若手選手たちによる球宴『フレッシュオールスター』が秋田県の秋田県立野球場(こまちスタジアム)で行なわれる。
そして19日(札幌ドーム)、20日(神宮球場)、22日(福島県・いわきグリーンスタジアム)の3日間『マツダオールスターゲーム2013』が行なわれる。
新たな選手の出場も多い各オールスターゲーム。新たなスターの誕生が楽しみだ。
(成績などはすべて7月15日現在)
■プロフィール
文=高木遊(たかぎ・ゆう)/1988年、東京都出身。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。昨年は東都大学野球春・秋1部全試合を取材。大学野球を中心に、アイスホッケー、ラグビー、ボクシングなども取材領域とする。高木遊の
『熱闘通信』随時更新中(http://www.plus-blog.sportsnavi.com/buaka/)
twitter(@you_the_ballad)
<<野球界の主なスケジュール>>
女子プロ野球関連
7月20、21日『ティアラカップ埼玉浦和大会』
20日(土)、21日(日)ともに市営浦和球場で開催。第1試合は11時試合開始、第2試合は13時半試合開始予定
また、今大会は「さいたま市民感謝デー」を実施し、さいたま市民在住、在勤または在学であることを確認できるものを持参すると、当日券が1000円となります。限定の
エイエイオーカードの先着順での配布が予定されています。
アマチュア野球スケジュール
夏の高校野球地方大会は全49地区で開幕!
順調に日程を消化していけば、今週中にも沖縄や南北北海道、宮崎などでは決勝戦が行われる予定。
甲子園大会は8月8日に開幕し、全15日間に渡り熱い戦いが繰り広げられる。
開催中〜23日まで:第84回 都市対抗野球大会(東京ドーム)
プロ野球の主な予定
7月17日 MLBオールスター(ニューヨーク・シティーフィールド)
7月18日 フレッシュオールスター(秋田)
7月19日 オールスター(札幌ドーム)
7月20日 オールスター(神宮球場)
7月21日 オールスター(いわきグリーンスタジアム)