ポストシーズン、期待はずれだった男たちランキング
2014年のプロ野球が終わってしまった。毎年、この時期ファンの間でも意見がわかれるのが、クライマックスシリーズの是非も含め、ポストシーズンはどうあるべきか、という点だ。そこで、この選手が活躍しれいればもっと盛り上がったのでは? という、申し訳ないが期待はずれだった選手をピックアップ。奮起を促す意味も込めて、ランキング形式で紹介していきたい。
菅野智之(巨人)
――マウンドに登れなかったエース
阪神とのCSファイナルステージで、アドバンテージ分以外では1勝もできなかった巨人。その最大の要因は、本来第1戦の先発を務めるはずだった男の離脱だ。エース・菅野智之がシーズン最終登板で右ヒジに痛みを覚え、途中降板。日本シリーズでの復活登板を目指していたが、その目論みは泡と消えた。
もちろん、ケガはどうしようもない部分ではある。だが、今季の菅野はシーズン中にも右手中指を痛め、夏場のチームが一番苦しい時期に登録抹消されただけに、「またか!」と思ったファンは多かったはずだ。来季は1年間戦い抜ける、名実ともに巨人のエースを目指してほしい。
西岡剛(阪神)
――1番時の打率.011
最後の場面での「守備妨害」は意見がわかれるだろうが、ある意味ではプロとしてすべての可能性に賭けたプレーとも見ることができ、それだけで期待はずれだった、とはいえない。だが、日本シリーズ通算打率が.211。1番で起用された4戦目までは打率.011と散々な内容だった。
レギュラーシーズン冒頭で負ったケガの具合で万全ではなかったとはいえ、チームリーダーとしての責任の意味も込めて、今回の経験を来季以降の糧にしてほしい。
今宮健太(ソフトバンク)
――もう一皮むけるために
今宮の今季レギュラーシーズンの打率は.240。規定打席以上の選手では、下から2番目の成績だ。その数字を頭に入れれば、日本シリーズ5試合の通算打率.188はある意味で許容範囲内、なのかもしれない。サヨナラ本塁打はあったにせよ、中村晃の5試合通算打率.150を責めるべきかもしれない。
だが、今宮は侍ジャパンにも選出された、今や日本を代表するショートだ。であれば、守るだけではなく、誰もが納得する球界一のショートを目指し、打撃面でもレベルアップを目指してほしい。
糸井嘉男(オリックス)
――満身創痍だった首位打者
今季、オリックスが2位になれた大きな要因。打撃面では糸井嘉男の活躍を外すわけにはいかない。だが、真のスター選手は、ポストシーズンでこそ輝くもの。両膝の痛みや古傷である右脇腹痛などが影響したにせよ、CSファーストステージでの打率.083はさすがにいただけない。果たして、主軸のバットから快音が消えたチームは、CSファーストステージを勝ち上がることができなかった。日本ハムの4番・中田翔が本塁打を連発し、引退をする稲葉篤紀が勝負強いバッティングを見せたのとは対照的だった。
その能力は誰もが認めるところ。来季以降は、大一番での数字の向上を目指してもらいたい。
前田健太(広島)
――ここぞ、で結果が出せなかったエース
阪神vs広島の戦いとなったクライマックスシリーズファーストステージ。第1戦、広島の先発マウンドにはもちろん、エース・前田健太が上がった。しかし、PL学園の先輩・福留孝介に一発を浴びてしまい、大事な初戦を落としてしまう。失点はわずかこの1点。「期待はずれ」とするには、さすがに厳しいかもしれないが、今季の前田は「ここ一番」という大勝負で勝ちきれなかった。特に、9月以降は6試合に投げて1勝2敗。シーズン最終戦、引き分け以上なら2位になれた試合でも結果を残せなかった。大事なエースがこれでは、優勝など夢のまた夢だ。
ポスティングでのメジャー行きも持ち越しになりそうな気配だが、来季こそは誰もが納得する結果を残して、気持ちよくメジャー行きを決めてもらいたい。
■ライター・プロフィール
オグマナオト/1977年生まれ、福島県出身。広告会社勤務の後、フリーライターに転身。「エキレビ!」では野球関連本やスポーツ漫画の書評などスポーツネタを中心に執筆中。『木田優夫のプロ野球選手迷鑑』(新紀元社)では構成を、『漫画・うんちくプロ野球』(メディアファクトリー新書)では監修とコラム執筆を担当している。Twitterアカウントは@oguman1977