「カープブーム」が本格化!チームも黄金期再来へ軌道に乗ってきた!?
いろいろあった2014年のプロ野球。なかでも、球界を盛り上げてくれた存在として、広島東洋カープを外すわけにはいかないだろう。見事な開幕ダッシュを見せてセ・リーグの首位に立ち、「カープは鯉のぼりの季節まで」という有名な野球格言を払拭してAクラスを通年で維持し続けた。
他の球団以上にカープが勝つと盛り上がるのは、熱狂的なファンの存在が大きい。もちろん、他球団のファンだって十分熱狂的なのだが、今年のカープの盛り上がりは広島県の枠を超えて全国的な広がりになった印象が強い。まずはその「ファン」の隆盛から見ていこう。
◎全国的に「カープブーム」到来!?
カープファンの急増を顕著に物語っているのが観客動員数だ。もともと来場者数では堅実な数字を誇っていた広島だが、今季の主催試合での観客動員数は球団史上最多の187万4279人。前年比20%以上の増加率で、交流戦においてもカープ主催ゲームは前年比21.8%増。他のセ・リーグ球団では巨人が0.2%UPという超微増を見せた以外は軒並みダウンしていることからも、いかに「カープ」という存在が他の11球団のファンにも魅力的に映っていたか、という証拠でもあるだろう。
カープファンの盛り上がりとともに、賑わいを見せているのが書店のスポーツ本コーナーだ。各出版社から刊行されているカープ関連本で、棚が赤く染まっている。数ある関連本の中でも特にオススメなのが、『野球次郎VOL.1 広島東洋カープ大事典』であることはいうまでもない。
◎好不調の波がジェットコースターのようだったエルドレッド
今年のカープ躍進を支えたのが4番のエルドレッドであり、夏場以降の失速の原因もまた、エルドレッドだった。3・4月に8本塁打を放ち、自身初の月間MVPに選ばれると、5月:9本、6月:8本、7月:8本とペースを崩さず本塁打を量産。一時期は昨年のバレンティンが記録した「60本」のシーズン最多本塁打を超える勢いを見せていた。
ところが、何が原因か8月に入ると突如絶不調に。8月の最初の2週間の数字が42打数2安打、23三振と不振を極め、球団ワーストを更新する28試合連続三振を記録してしまう。8月中旬時点で33本塁打91打点だった驚異的な数字は、シーズン終了時点で37本塁打104打点とわずかに増えた程度。4番がこれでは、首位・巨人を猛追できるはずもない。
◎ニュースターが次々に台頭
好不調の波が激しかったエルドレッドとは対照的に、今季の広島はシーズンを通して活躍する若手選手がとても多かった。シーズン開幕前から「新人王最右翼」といわれたドラ1投手、大瀬良大地が期待に違わぬ成績をおさめ、10勝で新人王当確との声が強い。
大瀬良以外にも、内野のレギュラーをつかみ取ったドラフト3位の田中広輔も、十分に新人王を狙える数字を残した。また、FAで移籍した大竹寛の人的補償として巨人からやって来た一岡竜司は中継ぎエースとして前半戦大活躍を見せた。
ほかにも、昨年守備でブレイクした3年目の菊池涼介が今年は打撃も開眼。最多安打争いに最後まで絡み、打率はリーグ2位と好成績をおさめている。いまや球界屈指の若手選手の宝庫、それが広島東洋カープなのだ。
◎カープだらけのオールスター戦
今年、カープが最も躍動した試合といえばオールスター第1戦だ。先発が前田健太。さらに、1番センターで丸佳浩、2番セカンドで菊池涼介、4番レフトでエルドレッド、8番サード堂林翔太と、スタメンに5人も名を連ねた。そしてただ出るだけではなく、広島勢の全員安打の活躍。7−0でセ・リーグが快勝し、3安打4打点1本塁打のエルドレッドがMVPに選ばれた。
こんな大活躍をCSでも演じることができれば、カープの23年ぶりとなる日本シリーズ進出にも活路を見出せるに違いない!
■ライター・プロフィール
オグマナオト/1977年生まれ、福島県出身。広告会社勤務の後、フリーライターに転身。「エキレビ!」では野球関連本やスポーツ漫画の書評などスポーツネタを中心に執筆中。『木田優夫のプロ野球選手迷鑑』(新紀元社)では構成を、『漫画・うんちくプロ野球』(メディアファクトリー新書)では監修とコラム執筆を担当している。ツイッター/@oguman1977