【2016夏の高校野球】《西東京観戦ガイド》有望選手と大会展望&勢力ピラミッド
7月2日〜27日(明治神宮野球場ほか)
第2グループ以下にも好投手が潜む今夏
打撃戦が多い西東京を抑えきるのは誰?
☆★☆ 投手編 ☆★☆
●第2グループからも好投手
秋、春とも1次予選で敗れ、都大会には出場していないものの、対戦校の監督が、「間違いなく、上でやる選手」と口を揃えるのが、長谷川宙輝(聖徳学園)だ。左腕から繰り出すスライダーは、キレ、角度とも鋭く、秋は東大和相手に奪三振14を記録した。まだ粗削りだが、将来性は十分だ。
柴田迅(早大学院)は、木田茂監督が「20年に1人くらいの逸材」と語り、140キロ台半ばの直球は、手元で伸びる。スライダー、チェンジアップなどで緩急をつけた投球をする。早稲田大に進学するだろうが、育ってほしい逸材だ。
伊藤壮汰(東海大菅生)は、地肩が強く、球に勢いがある。三塁手も兼ねる二刀流だが、投手らしくなってきた。控えの小玉佳吾は、球速は伊藤より上だ。
近年、好投手を輩出している創価は、1年夏からエース格の谷井怜央が、最後の夏を迎える。ストレートは140キロを超え、バント処理など、守備もうまい。長打力も備え、野球センスは抜群だ。
小谷野楽夕(日大三)は、スライダーのキレが鋭く、パームボールなどで打者のタイミングを外す投球ができるが、この春の不振から、どこまで立ち直れるか。
藤原涼(東大和)は、春季都大会の帝京戦はやや乱調だったものの、スライダーを軸にした制球のよさが光る。藤原をひと回り大きくした感じの柳澤憲人(明大明治)も、制球力で勝負する。
早乙女大輝(八王子)は、春季都大会では二松学舎大付を相手に、緩急をつけた投球で、延長10回を失点2に抑えた。
▲長谷川宙輝(聖徳学園)
☆★☆ 打者編 ☆★☆
●さらに進化を続ける怪物
注目の清宮幸太郎(早稲田実)は、甲子園での4強、U18日本代表などを経て、東京では格の違いをみせている。冬を越して、力を抜いても長打を打てるようになった。神宮第二球場で行われた春季都大会1回戦では、大ファウルが場外に飛び出し、隣接する神宮球場のスタンドに入るという、前代未聞の珍事まで起きた。春はチーム事情で中堅を守ったが、一塁手に戻るか注目される。
早稲田実の主将である金子銀佑は、打撃のうまさに加え足もある。清宮の能力を生かすためにも、金子以外に頼れる打者が出てくるかが、甲子園出場のカギとなる。
菅野岳史(聖パウロ学園)と坂倉将吾(日大三)は、ともに強打の捕手。菅野はファウルで粘りながら好球を仕留めるなど、打者としての駆け引きや、読みに優れる。坂倉は強肩と長打力がある。
羽根龍二(日大鶴ヶ丘)は、やや好不調の波はあるものの、大江竜聖(二松学舎大付)から二塁打を2本放つなど、ツボにはまると猛打を発揮する大型内野手だ。
深澤祐太(東海大菅生)は、4番らしい勝負強い打撃ができるようになり、投打の柱であった伊藤壮汰の負担を軽くする。
国士舘には、強打の捕手・松澤龍樹、野球センスのある上原隼などタレントは揃っているが、伸び悩んでいる。ほかにも、大阪・枚方ボーイズ出身の宮木紳道(日大三)など、力はあるものの新チームになってから結果を出せてない選手が多い。大会を盛り上げるためにも活躍を期待したい。
▲清宮幸太郎(早稲田実)
☆★☆ 大会展望 ☆★☆
●東海大菅生がややリードも、まれに見る混戦模様
怪物・清宮幸太郎を擁する早稲田実をはじめ、日大鶴ヶ丘、国士舘、佼成学園など強豪校が相次いでノーシードになる一方で、東海大菅生、八王子、日大三、創価、聖パウロ、東大和、日野というシード校にも、本命となるチームはなく、まれに見る混戦模様になっている。その中で、春季都大会4強の東海大菅生がややリード。現チームになって結果を残していないものの、戦力的には日大三、早稲田実が追う。八王子、聖パウロ、創価なども戦力が充実している。
地区勢力ピラミッド