日本シリーズは4勝1敗でソフトバンクが日本一に!意外なプレーで終結した裏側を読み解く!
【パ・リーグサイドから見た日本シリーズ】
先週、このコーナーでポイントに挙げた第3戦。ソフトバンクが5−1で勝利した、この試合の大隣憲司の投球が、後のソフトバンク投手陣に大きな影響を与えた。制球力のある大隣は、阪神打線に対して内角を大胆にえぐる。これが通用することがわかり、配球的に大きなヒントとなって、その後の阪神打線を抑えることができた。
第4戦の“暴れ馬”中田賢一は参考外だったものの、その後を継いだ東浜巨、優勝を決めた第5戦の攝津正に勇気を与え、両試合に登板した救援陣は自信を持って内角を突くことができた。
一方の打線では、第4戦の4回の守備から、主砲・李大浩が途中交代。スイングの際に右手首を負傷した模様で、開幕からこの試合までの154試合、すべてに4番でスタメン出場していた大砲の負傷退場に、ベンチは不安がよぎっただろう。しかし、翌日の第5戦は、4番指名打者でスタメン出場。打っても2安打と、李大浩は執念をみせた。今シリーズ全5戦の李大浩の成績は、36打数14安打8打点の打率.389、1本塁打と絶好調。第2戦では能見篤史から貴重な2点目となる特大のレフトスタンドへの一発は、甲子園の雰囲気をガラリと変えた。また、第3戦では6回2死満塁からダメ押しとなる2点適時打を放つなど、第1戦から3試合連続で打点をマーク。阪神の4番打者ゴメスとの“4番打者対決”は、トータルでみると、李大浩に軍配が上がったといってもよいだろう。
この李大浩を中心とした、大型打線にスポットライトがあたりがちなソフトバンク。ただし、勝敗を分けた本当のところは、細かい「走力の差」にあった。第4戦の初回、レフト前の安打を放った柳田悠岐は、思い切りのいい走塁で二塁打にした。さらに10回裏、阪神の捕手・藤井彰人の野選を誘った明石健志の走力が、中村晃のサヨナラ本塁打を呼んだ。こうした選手がチャンスを作り、内川聖一、李大浩、松田宣浩らのお膳立てをしていた。