オリックスに新しい風を吹かせる西野真弘!小さくたって負けない、背が小さい選手が必要な理由
オリックスの小柄なドラ7ルーキー・西野真弘が奮闘中だ。5月11日現在、22試合に出場し、打率.264と順応している上に、得点圏打率.438と勝負強さを発揮。4月29日の楽天戦では初ホームランも記録するなど、最下位脱出へのきっかけを見出したいチームの起爆剤となりつつある。
西野は、東海大学浦安高、国際武道大、JR東日本を経て、昨秋のドラフト7位で入団した24歳。167センチという、パッと見は一般人のような体格ながら、50メートルは6秒1という俊足とシュアなバッティング、複数のポジションをこなせる器用さが持ち味だ。
西野を見出したオリックスの牧田勝吾スカウトは『野球太郎 No.014』の中で、その指名理由をこう話している。
「何よりも彼の野球に対する『がっつき感』というか、気持ちを前面に押し出すプレーが好きですね。それと、バンバン走れる訳ではありませんけど、相手にプレッシャーをかけられる走塁の巧さがあります」とプロ向きのメンタルの強さと、俊足を生かした走塁センスを挙げた。
さらに、「以前のオリックスは外国人の大砲を揃えているけど、なかなか得点に結びつかないケースが多かったように感じます。(中略)大きい選手の中に、西野のような小さい選手が1人入ると、うまいこと野球が回っていく気がします」と、チーム全体のバランスを考えれば、小柄であることは決してマイナスではなかったようだ。
12球団の現役で、1軍である程度の成績を残している170センチ未満の選手といえば、野手では163センチの内村賢介(DeNA)、168センチの松本哲也(巨人)、三輪正義(ヤクルト)、中東直己(広島)、169センチの大崎雄太朗(西武)、平野恵一(オリックス)といった名前が挙がる。特に内村賢介は、水口大地(西武・育成選手)と並んで現役選手の中で最も身長が低い。
投手では、167センチの石川雅規(ヤクルト)、谷元圭介(日本ハム)、169センチの美馬学(楽天)らの名前が挙がる。
また古くは、首位打者を2度獲得した“小さな大打者”若松勉(元ヤクルト)、その華麗な守備は“牛若丸”とも称された吉田義男(元阪神)、俊足巧打で盗塁王にも輝いた大石大二郎(元近鉄)など、170センチに満たない体格ながらファンを魅了するプレーを連発していた名選手も少なくない。
ドラフト下位指名ながら、1年目の開幕からベンチ入りし出場機会も与えられていることから、西野がプロ向きの選手であることは間違いない。開幕から調子が上がらない実力者たちが復調し、故障者も戻ってくれば出場機会は減っていく可能性もある。本当の戦いはここからだ。全国の小柄な野球少年たちの希望の星となるべく、さらなる活躍に期待したい。