7月3日に阪神とヤクルトがともに敗れ、全チームが借金を抱える史上初の事態を招いたセ・リーグ。話題のバンドをもじった「セ界 NO OWARI」や「セ・リーグが財政破綻した」、「セ界恐慌」とさまざまな言葉で、この現状が表現されていった。
未曾有の事態になった最大の要因はズバリ、交流戦だ。同一リーグ内での争いなら、1試合の勝ちと負けはどちらもそのリーグ内に帰着するが、交流戦では半分は他リーグに記録されることで、史上初となる出来事を招いてしまった。
今シーズンの交流戦は、パ・リーグの61勝44敗3分。つまり、17の勝ち星がセ・リーグからパ・リーグへ流出したことになる。これは珍しいことでもなく、2005年の交流戦開始以降の11年間のうち、セ・リーグが勝ち越したのは2009年だけで、残る10年はパ・リーグが圧倒。2010年は22個、2011年と2013年には20個のもの勝ち星がセからパへ献上されている。
ただ、そんな年でも、セ・リーグ内にも大きく勝ち越したり、負け越したりしたチームが存在したため、今季ほど目立たなかっただけ。
今季の場合は、交流戦前に調子がよかったDeNAと巨人が、交流戦で12位、11位とそろって低迷し、反対に最下位だった広島が5割で乗り切ったために、それぞれの貯金・借金がうまい具合にならされていった。9日の試合終了段階で、蚊帳の外気味の中日も借金は1ケタ台。ちょっと連勝できれば、一気に浮上できるチャンスは十分にある。ただ、いずれのチームも決め手に欠けるため、しばらくは空前のダンゴ状態が続きそうだ。
一方、交流戦の成績の影響は、セ・リーグ球団だけでなく、勝ち越したパ・リーグの球団にも影を落としている。そのあおりを最も受けているのがロッテだ。
7月8日終了時点で36勝38敗1分。5割前後で何とか4位に踏みとどまっているロッテは、例年であれば、3位争いを演じているところで、夏場に勢いづけば、首位争いも考えられる状況だろう。ところが、パ・リーグの上位3球団(ソフトバンク、日本ハム、西武)は、交流戦でも勝率1位〜3位と揃って好成績を残したこともあって、ロッテは3位・西武に6ゲーム差もつけられている4位、という状況に置かれている。
ロッテのチーム防御率がパ・リーグ6球団の中で唯一の4点台と、投手陣がギリギリの状態にもかかわらず、7月6日の日本ハム戦では、チームの勝ち頭である石川歩が5回11安打5失点と打ち込まれ、不安材料が増してしまった。さらには4番のデスパイネが、母国・キューバが参加する「パン・アメリカン国際大会」に出場するためチームを離脱。再来日はオールスター明けとなる見込みで、得点力ダウンも懸念される。