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表も裏も“天王山”が同時開催!優勝は?入替戦は?最後の1球まで見逃せない「戦国東都」がここに。

 2014年東都大学春季リーグは、1部の最終週を残して全日程を終了。先週の記事で、2部は振り返っているので、3部と4部リーグの戦いを紹介していこう。

3部優勝の芝浦工業大は、なんと35年ぶり!

 3部リーグはここ13季、順天堂大と大正大が優勝を分け合ってきた(なお、この2校以外で3部優勝を果たしたのは、平成19年春の拓殖大)。その牙城を崩してきたのは3年前に3部に昇格してきた芝浦工業大。実に昭和54年春以来となる35年ぶりのリーグ戦優勝となった。

 また、5月11日の順天堂大との2回戦でノーヒットノーランを達成した佐藤翔吾(2年・桜美林高)が属する学習院大は、2季連続のBクラスに沈んだ。

4部リーグは一橋大が2連覇!

 4部リーグはともに5勝3敗、勝ち点2で並んでいた一橋大と東京工業大が最終週で対決。2連勝で一橋大が勝ち点を挙げて連覇を果たした。

1部はまさに「戦国東都」。最下位争いはまさかのプレーオフへ

 1部は優勝校、そして最下位校が5月26日時点で未だ決まっていない。

 1週間前の5月20日、駒澤大vs中央大で今永昇平(3年・北筑高)の完投で駒澤大が勝利し、最下位回避を決定。最下位の可能性を残すチームは青山学院大と中央大に絞られた。

 同日に行われた青山学院大vs拓殖大の初戦、まず青山学院大が接戦を制した。雨天順延を挟んで迎えた中央大vs駒澤大の2回戦で中央大が2連敗したことにより、青山学院大は拓殖大戦に勝てば自力で最下位回避を決められる絶好のチャンスとなった。

 その重要な試合の青山学院大・先発は、いつもと変わらずに福本翼(4年・大阪桐蔭高)。一方の拓殖大は大学初勝利を目指す宮城慎之介(4年・滋賀学園高)を先発に起用した。

 互いに点数を奪えない展開でスコアボードにはゼロが並ぶ。拓殖大・宮城が先にマウンドを降りたものの、7回途中から登板した佃勇典(4年・広島商高)が危なげない無安打投球で流れを呼び込んだ。2日前に完投負けを喫したイメージは消し去っていた。


▲先発、救援に大車輪の活躍で単独トップとなる5勝を挙げてリーグ戦を終えた拓殖大・佃

 そして迎えた9回裏の拓殖大の攻撃。先頭打者の4番・末廣瞭介(4年・中津北高)が二塁打で出塁すると、青山学院大ベンチは福本を諦めて近藤卓也(2年・秋田商高)をマウンドに送る。対する打者は、一昨日の1回戦で大学初安打初打点となる本塁打を放った加藤敦之(1年・寒川高)。当初はバントを試みるも、ファウルなどで追い込まれてしまう。すると一転してヒッティングの構えに。サインプレーが決まらないと、流れは変わってしまうことが多いが、なんと加藤の振りぬいた打球はセンターへ抜けるサヨナラタイムリーヒットとなった。

 生還する末廣、二塁から整列の輪に加わる加藤らに笑みは見えるものの、選手は大騒ぎせずに淡々としていた。そして挨拶を終え、スタンドにも礼をし終えると、山下峻吾(4年・八王子高)がすかさず加藤にバント指導。拓殖大の選手たちの、勝ってもなお抜かりのない意識の高さが印象的だった。

▲サヨナラ打を打った加藤(右)にバント指導をする山下

 そして3回戦。青山学院大は、前の試合同様に勝てば5位確定となる試合だったが、0-4と完封負け。実に22回連続無得点となった。「あと1勝」ができないまま青山学院大は中央大と勝ち点、勝率ともに並んだため、5位・6位順位決定プレーオフ(27日10時半試合開始)に臨むことになった。

▲チームを窮地から救えるか? 青山学院大・福本

優勝するには越えなくてはならない「亜細亜の壁」

 その一方、リーグ5連覇中の亜細亜大と7季ぶりの優勝を狙う國學院大との、優勝を決める直接対決も、更新日の今日5月27日から行われる。

 今春の戦いぶりを振り返った時に、特筆すべきことは亜細亜大の選手層の厚さだ。山?康晃(4年・帝京高)を筆頭とする投手陣はもちろんだが、これまでの4カードでのべ29人の代打を起用してきたという数字にも表れている。

(※他5チームは以下の通り。國學院大9人、駒澤大8人、拓殖大14人、青山学院大23人、中央大20人)

 亜細亜大は犠打のために選手を代打起用することも多く、選手それぞれが自らの仕事を理解している。そして、この29度の代打起用の内、14度がヒット、四球、犠打飛の結果を残している。この代打成功率は5割に迫り、東都の1部6チームで最も高い確率だ。

 しかし、20回連続タイムリーなしというデータもある。チャンスにあと1本が出ずに前節(拓殖大戦)を落としているだけに、この辺りを改善していきたい。

 対する國學院大は平成22年秋以来、亜細亜大から勝ち点を挙げていない。その22年秋とは、國學院大がリーグ優勝を果たしたシーズンである。また、その時に優勝を決めた試合の相手は亜細亜大。昨秋もこの2校での優勝争いの中、直接対決で涙をのんでいるだけに、かかる思いも強いだろう。

 亜細亜大と國學院大、勝ち点を取ったチームが優勝に輝く。

▲1部デビューは今春だが、すでにエースとして貫禄あるピッチングで活躍中の國學院大・田中大輝


▲完全復活を期待したい、亜大エース・山?


■ライタープロフィール
山田沙希子(やまだ・さきこ)/東京都出身。早い時期から東都大学リーグの魅力にハマり、大学生時は平日の多くは神宮球場または神宮第二球場に通い詰めた、三度の飯より東都大学リーグが好きなライター。多くの東都プレイヤーの取材を通して、さらに東都愛は加速。ナックルボールスタジアム主催のイベント「TOHKEN〜東都大学リーグ野球観戦研究会〜」でも活躍。

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