熊本の有望選手、大会展望
7月5日〜23日(藤崎台県営野球場ほか)
日増しに高まる「多良木の善」包囲網!
新監督の秀岳館に熊工打線など群雄割拠
投手編
▲善武士(多良木)
多良木の善に厳重警戒
「多良木の善をどう攻略するか」。県内各校の監督の間では、そんなことがささやかれている。それほど善武士(多良木)に対する警戒感が高まっている。ここへきて、球にスピンが効き始め、力を抜いても140キロ台の球速を計測するようになった。点を取られた後の立ち直り方、要所での力の入れどころも覚え始めており、いい意味で泥臭くなってきた。
昨秋、善と壮絶な投げ合いを演じた井手真悟(御船)の評判もいい。140キロ台の快速球が際立つが、野手としての評価も高く、ガツンと弾き返す打撃と脚力、そして顔つきまでもソフトバンクの今宮健太を彷彿とさせる。善と同じく郡部の公立校だけに、地元の応援を力にひと暴れしそうだ。
しなやかな腕の振りから高角度の球筋を誇る超大型右腕・諸富将士(城北)は、今春の県大会で未登板だったが、RKK旗野球大会での試運転も上々。夏のバトルモードに照準を合わせている。
今年の熊本は、速球派右腕が多いのも特徴だ。昨夏は3番中堅手として甲子園を経験した山本力也(熊本工)、力士クラスの体幹を持つ赤池寛樹(千原台)らは、電光掲示板に140キロ台の球速を表示させ観客をざわつかせた。
2年生では、投打の大黒柱で投げっぷりがいい西村雅暉(熊本国府)、右サイドハンドから快速球を繰り出す伊勢大夢(九州学院)、野手としてもセンスが光る浦本千広(必由館)ら、来季も楽しみな逸材から目が離せない。
その他、春のブレークが著しい実戦派右腕・清田翔吾(文徳)、ゲームメーク能力が高い河?健生(八代東)、迫力ある球筋を投げる山下孝也(八代農)、幾度も好投手相手に投げ勝っている射場柊斗(熊本農)などが名を連ねる。
打者編
▲西山天翔(熊本工)
熊本工に強打者がズラリ
昨夏の大舞台を経験した逸材が残る熊本工は、シュアな打撃と俊足が光る大型遊撃手・西山天翔、甲子園でアーチを描いた工藤誠也、左のハードパンチャー・高木栄志に加え、昨秋は控えだった2年生の深水裕貴が4番捕手として頭角を現した。さらに下位に座る宮崎勝基も春の熊本大会で2試合連続弾を放り込むなど、重量感のある打線は空気抵抗をものともしない。
強力打線といえば、開新からも目が離せない。熊本工時代に1996年夏の甲子園準Vの主将を務めた野田謙信監督のもと、福田敦史、野田文哉、前田紘斗という三連装砲を完成させた。ズドーンと勢いよく打球が飛び出す攻撃力は、県内屈指のド迫力を誇る。
扇の要に目を向けると、センバツで佐野日大の田嶋大樹から3安打を放った島崎真門(鎮西)、強肩を併せ持つミドルヒッター・藤吉優(秀岳館)、圧倒的な猛送球が光る中村浩人(多良木)らは、マスク越しからも目を光らせる。
ほかにも、持ち前の守備アクションと巧打に磨きをかける宮本秀明(秀岳館)、走攻守に勝負根性が光る中野航汰(鎮西)、大技小技で相手を撹乱させる小林太一(済々黌)、卓越したバットさばきを誇る巨漢打者・猪口雄大(東海大星翔)、ライナー性の打球が広角に伸びる片山竜也(専大玉名)など、多彩な逸材がひしめく。
大会展望
上位5校中心に群雄割拠
5月のRKK旗を制した秀岳館、タレントが揃う古豪・熊本工、抜群のチーム力で春の王者に輝いた文徳、大舞台を経験した鎮西、技にパワーを加えた済々黌。春の九州大会に出場したこの5校を中心に群雄割拠の戦いになりそうだ。特に鍛治舍巧監督が就任した秀岳館には勢いがあり、熊本県内の勢力図を変えるのではという声も聞かれる。さらに善武士と中村浩人の強力バッテリーで昨秋の熊本を制した多良木、新チーム結成時から評判のいい東海大星翔らも猛チャージをかける。